日本一おいしい!沖縄の肉食グルメ旅

日本一おいしい!沖縄の肉食グルメ旅

#42

栄町のタイ料理店~『Chill Out』

文・藤井誠二 写真・深谷慎平

 

栄町で本格的なタイ料理が味わえる店

 肌に湿気がまとわりつくような日が続くと、タイ料理が食べたくなる。もちろん沖縄はそんな日が多い。栄町の『Chill Out(チル アウト)』に前日に電話して、魚の姿揚げが食べたいとオーナーシェフの黄泰灝(ファン・テホ)さんに頼んだ。魚はおまかせだ。

 栄町の薄暗い道に面した階段をのぼると、そこが『チル アウト』。カウンターに座り、黄さんと世間話をしながら、何を食べようかを相談する。

 

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お洒落で居心地もいい店内。カウンターとテーブル席がある

 

 たまたまたぼくは取材でバンコクに行ってきたばかりだったので、たまたま屋台で食べたイサーン料理(タイの東北地方)いかに辛かったかを話していると、ハーブ野菜のカップが出てきた。これは箸休めと思われるかもしれないが、供される料理にあえて食べるのだ。どんな料理と混ぜてもいい。金属製のカップにたっぷりとハーブが数種類盛られてくる。

「それが本格的なタイ料理の食べ方なんですが、まだ食べ方が知らない人が多い。うちはまずハーブセットを最初に出して、その中にゴーヤーを混ぜることもあります。それを自由に料理や調味料とまぜて食べてくださいと言っています」(黄さん)

 

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最初に供されるハーブ野菜

 

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オーナーシェフの黄泰灝さん

 

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_DSC5047webタイ料理はビールが進む。筆者はタイでメジャーなLEOビールをぐびっ!

 

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普久原氏はシンハービール

 

 まずは頼んでおいた 「プラーラードプリック」が出てきた。魚の姿揚げ。ナンプラーやレモン、唐がらしなどで味付け、香味野菜などをたっぷりと盛る。この日は沖縄でよく食されるアカマチだった。プラーラードプリックはあらかじめ予約をしておかないと食べられない。値段は時価だが、これは2500円。魚の大きさと見た目の豪華さ、そして味を考えたらじつにリーズナブルだ。

 皮目はパリッとしていて、身はほろほろとほぐれる。タイの調味料とハープをあえながら食べると、汗が吹き出してくる。三バカが次々と手を伸ばすと、あっと言う間にアカマチは骨だけになった。

 

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_DSC5065web事前にお願いしていたプラーラードプリック。この日の魚はアカマチ。素揚げして、香味野菜や唐辛子をたっぷり盛り付ける

 

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_DSC5073webプラーラードプリックの完成!

 

_DSC5091web美味しい!!

 

 次は「ガイヤーン」をオーダーした。タイのローストチキン。黄さんが丸鶏をさばき、タレに24時間漬け込み、丁寧に焼き上げる。そしてタイの牛ステーキのサラダ(ヤムヌア)。「ヤム」は「あえる」、「ヌア」は牛肉という意味。挽き肉とミントのサラダ(ラープムー)も出てきた。豚もミントも沖縄産を使っている。

 彼の作るタイ料理は、どれを食べても、繊細なのだ。オープンキッチンなので、丁寧に食材に仕込みをし、豪快かつ慎重に火を入れているのが、傍目で見ていてもわかる。

 

_DSC5054webガイヤーン

 

_DSC5025webヤムヌア

 

_DSC5017webラープムー

 

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仲村氏はLEOビールとともにガイヤーンに舌鼓!

 

 黄さんは、名古屋で生まれ育ち、沖縄にはもう10年以上住んでいる。沖縄に来て最初は伊江島に住み、タバコの葉の収穫の仕事をしていた。そのうちに当連載#42でも紹介した『ルフュージュ』で働いた縁で、栄町に店を持った。

「名古屋で割烹で働いていたのですが、知り合ったタイ好きの人にタイにつれていってもらって、ハマりました。衝撃でした。辛味、甘み、酸味が主張しながら、同調しているというか、味のコントラストが自分に合っていた。けっきょく、割烹をやめて、タイ料理を名古屋で3年ぐらいやっていました。タイに住みたかったのですが、日本のこともまだ、よく知らないなと思って、一人でぶらぶら旅をしているうちに、沖縄に来たんです。そしたら沖縄が居心地よくてそのままいるというわけです」

 栄町はそれまで来たことがなかったそうだ。何度も当連載で書いていることだが、栄町の才気溢れる料理人ネットワークは次々に新しい才能を包摂し、それがまた客を呼ぶ。町全体が一軒の多国籍・多文化レストランのようだ。

「沖縄の食材は、タイ料理に合います。青パパイヤ、空心菜とか、フーロー豆とか。フーロー豆はいんげん豆に似ていて、沖縄の夏野菜です。ゴーヤーはスープに入れたり、ハーブとして(ハーブのカップに入れる)使って、生でヌードルにいれたりします」

 

_DSC5023web「沖縄の食材はタイ料理に合う」と黄さん

 

_DSC5143web大満足の三人衆。次に向かったのは……

 

 ああ、お腹いっぱい。うまかった。ビールもたらふく飲んだ。黄さんに挨拶をして道路に出ると、一階部分に屋台が出ていた。その名も『CHIBI OUT(チビ アウト)』。今年の2月に新設したのだ。

 椅子が4席しかなく、つまみはうずら卵をタコ焼き器で目玉焼きにしたものだけという潔さ。じつはぼくは目玉焼きには目がないので、とうぜん陣取った。完全に道路の端っこで飲むスタイル。アーケードのような屋根もない。だから雨の日は無理。知り合いが通り掛かると、挨拶を交わす。仲村さんはいったい何人と挨拶を交わしていたかわからないほどだった。

 

_DSC5154web『チル アウト』の1階にできた『チビ アウト』。屋外のオープンな雰囲気が楽しい

 

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_DSC5176webビールのつまみはタコ焼き器で焼いたうずら目玉焼き。みんなで撮影

 

 我々はビールを飲みながら、うずら目玉焼き8個入りパックを2パックも食べてしまった。大半はぼくが食べたのだが。

 道端で高温多湿の空気をもろに浴びながら飲むビールはおいしい。ただし『チビ アウト』が出るのは、20時から。飲んでいると、バンコクで食べたイサーン料理の屋台を思い出した。引いていた汗がまた吹き出してきた。

 

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_DSC5203web栄町の宴はまだまだ続く……

 

『Chill Out(チル アウト)』

那覇市安里安里388-6 2F 電話098-884-1558

https://www.facebook.com/taeho19770702/

 

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*本連載は、仲村清司、藤井誠二、普久原朝充の3人が交代で執筆します。記事は月2回(第1週&第3週木曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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仲村清司(なかむら きよし)

1958年、大阪市生まれのウチナーンチュ二世。作家、沖縄大学客員教授。1996年、那覇市に移住。著書に『本音で語る沖縄史』『消えゆく沖縄 移住生活20年の光と影』『本音の沖縄問題』『ほんとうは怖い沖縄』『島猫と歩く那覇スージぐゎー』ほか。共著に『沖縄 オトナの社会見学 R18』(藤井、普久原との共著)のほか、『これが沖縄の生きる道』『沖縄のハ・テ・ナ!?』など多数。現在「沖縄の昭和食」について調査中。

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藤井誠二(ふじい せいじ)

1965年、愛知県生まれ。ノンフィクションライター。現在、沖縄と東京の往復生活を送っている。著書に『人を殺してみたかった』『体罰はなぜなくならないのか』『アフター・ザ・クライム』ほか、共著書多数。『漫画アクション』連載のホルモン食べ歩きコラムは『三ツ星人生ホルモン』『一生に一度は喰いたいホルモン』の2冊に上梓。最新作『沖縄アンダーグラウンド──消えた売春街の戦後史と内実』刊行予定。

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普久原朝充(ふくはら ときみつ)

1979年、沖縄県那覇市生まれ。建築士。アトリエNOA、クロトンなどの県内の設計事務所を転々としつつ、設計・監理などの実務に従事する。街歩き、読書、写真などの趣味の延長で、戦後の沖縄の都市の変遷などを調べている。本書の取材を通じて、沖縄の伝統的な豚食文化に疑問を持ち、あらためて沖縄の食文化を学び直している。

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