旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#41

韓流歴史紀行〈2〉『雲が描いた月明り』所縁の王宮

文と写真・康 熙奉(カン ヒボン)

 韓国を旅する楽しみの一つが王宮めぐりだ。ソウル市内には正宮の景福宮(キョンボックン)を初め、離宮の昌徳宮(チャンドックン)、昌慶宮(チャンギョングン)、徳寿宮(トクスグン)などがある。その中で特に人気が高いのが昌徳宮だ。

 

写真1web国王の執務室と寝殿を兼ねた熙政堂(ヒジョンダン)

人気の秘苑

 ハン・ヒョジュとペ・スビンが2011年10月に来日して東京の韓国文化院で『トンイ』の公開記者会見を開いた。

 そのとき、観客席から「ソウルで特にお勧めの観光名所は?」と尋ねられたペ・スビンは、「秘苑(ピウォン)が一番です」と答えていた。

 その答えを聞いて私も大いに納得した。

 

写真2秘苑(ピウォン)では『宮廷女官 チャングムの誓い』のロケも行なわれた

 

 昌徳宮の奥にある秘苑(後苑〔フウォン〕とも言う)は、ソウルのど真ん中に位置しているということを忘れさせるほど静寂に包まれていて、緑の風景が本当に美しい。

 ここは『宮廷女官 チャングムの誓い』のロケも行なわれており、朝鮮王朝時代の情緒を感じるのに最適な場所だ。

 この秘苑の中でひときわ優雅な外観を持っているのが暎花堂(ヨンファダン)だ。緑があふれる秘苑の雰囲気に本当によく合っている。

 

写真3優美な外観を持った暎花堂(ヨンファダン)

 

 ただし、昌徳宮の中で、私が一番好きなのは熙政堂(ヒジョンダン)である。

 この熙政堂は国王が執務を行なったり寝殿として使ったりした施設で、格式と威容を誇っている。

 そうした外観だけでなく、この建物がとても印象深いのは、孝明世子(ヒョミョンセジャ)がここで亡くなったという事実があるからだ。

突然の病魔

 孝明世子といえば、ドラマ『雲が描いた月明り』でパク・ボゴムが演じたイ・ヨンのモデルとなった人物だ。

 史実を見ても、孝明世子は容姿端麗で頭脳明晰だった。朝鮮王朝の数多い世子の中でも特筆すべき能力を持っていたと言われている。

 彼は、23代王・純祖(スンジョ)の長男として1809年に生まれた。

 あまりに才能が素晴らしかった。その証拠に、18歳だった1827年から父の純祖に代わって政治を仕切るようになった。

 巧みな人事活用、庶民のための刑罰改善、宮中行事の整備などで成果を発揮した若き世子は、将来の名君を予感させたのだが、突然の病魔に襲われてしまった。

 それは、1830年の閏4月22日のことだった。

 孝明世子は喀血して病床に伏した。

 昌徳宮の正門である敦化門(トンファムン)の前も急に慌ただしくなった。朝鮮王朝の一大事とあって、側近や侍医たちがあわてて敦化門を出入りした。

 

写真4

昌徳宮の正門となる敦化門(トンファムン)

 

 孝明世子は熙政堂で治療を受けていたが、5月2日には側近の臣下たちを呼んでいる。話ができるほどに回復してきたと見ることができる。

 さらには、孝明世子が自ら薬の種類まで決めている。彼は処方薬についても相当詳しい知識を持っていたのだ。

早世した彼の無念

 5月4日になると、孝明世子の妹であった明温(ミョンオン)王女の夫が病床を見舞っているし、側近の臣下たちも再び孝明世子に呼ばれている。

 いくらか容態も落ちついてきたのか……。

 そう思われた矢先、5月6日に病状が急変して亡くなった。

 熙政堂は悲しみに包まれた。あまりに早い21歳の死。誰もが朝鮮王朝の未来に希望を持てなくなってしまった。

 

写真5web

孝明世子は熙政堂で1830年に亡くなった

 

 才能があふれていた孝明世子が王になって統治すれば、朝鮮王朝はどのように発展したのだろうか。

 惜しくも急死によって孝明世子は歴史の中に埋もれてしまったのだが、それから180年以上が経って時代劇の主人公として登場し、改めてその名が知られるようになった。

 しかも、孝明世子ことイ・ヨンを演じたのはパク・ボゴムという長身でハンサムな俳優。ドラマで描かれた姿も凛々しくて、堂々たる世子であった。

 国王になれずに早世した孝明世子……。

 熙政堂の前に立って彼の足跡をたどりながら、「早世した彼の無念を『雲が描いた月明り』というドラマが少しでも晴らしてくれたのではないか」と思った。

 

 

*筆者・康 熙奉のプロフィール&近況はtwitterをご覧ください→https://twitter.com/kanghibong

 

*本連載は月2回配信(第1週&第3週木曜日)予定です。次回もお楽しみに!

 

 

 

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