旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#40

韓流歴史紀行〈1〉済州島の「徐福伝説」

文と写真・康 熙奉(カン ヒボン)

 パク・ボゴムとコン・ユという2人のトップ俳優が共演する話題の映画『徐福』。パク・ボゴムが演じるのは人類初の複製人間として開発された徐福だ。この複製人間をめぐって欲深き者たちが争うストーリーが映画の見どころで、コン・ユは国家機関のエージェントに扮している。

 

写真1

修学旅行の学生たちで賑わう正房瀑布(チョンバンポッポ)

済州島の正房瀑布

 映画のタイトルになっている徐福には不老不死の印象が重なる。彼は歴史上でも伝説的な人物だが、その伝説の1つが済州島(チェジュド)に残っている。

 済州島は韓国最大の島。大きさは、沖縄本島の約1・5倍だ。

 島の中央に韓国最高峰の漢拏山(ハルラサン)がそびえている。標高は1950メートル。これほど高い山が島を南北に隔てる壁の役割をしている。

 実際、北側と南側とでは地形も違う。

 

写真2

済州島の南岸から美しい海を望む

 

 済州島を一周してみるとよくわかるが、この島の北岸は平坦な海岸線が多いが、南側は絶壁ばかりである。

 それはなぜなのか。

 一説によると、漢拏山が大爆発したときに、その衝撃で南岸が隆起し北岸が沈んだという。火山の噴火で島が南北方向に傾いたというわけだ。

 観光で恩恵を受けたのは南岸だ。絶壁の風景は絵になりやすい。しかも、南岸には有名な滝がとても多い。

 代表格が正房瀑布(チョンバンポッポ)だ。

 

写真3

水が海に直接落下する正房瀑布

 

 この滝の高さは23メートルで幅は10メートル。規模はそれほど大きくはないが、海に水が直接落ちるところが秀逸だ。そういう滝は世界でも珍しいという。

 そして、正房瀑布に残るのが「徐福伝説」だ。

 果たして、徐福とはどういう人物だったのか。

「徐市過之」とは?

 徐福が生きたのは、史上初めて中国を統一した秦の時代だ。その秦を建国した始皇帝は栄華をほしいままにした。そんな彼にもできないことがあった。それは老いを防ぐことだった。始皇帝は死を極端に恐れて長寿を熱望した。

 そこで、始皇帝は不老長寿の薬を必死に探した。「私におまかせください」と名乗り出たのが徐福であった。

「東海上に神仙たちが住む場所があり、そこに不老長寿の薬があります。童男童女をそれぞれ500人ずつ引き連れて行けば、かならずや不老長寿の薬を探すことができるでしょう」

 始皇帝は興味を示し、徐福を派遣することにした。

 徐福は童男童女を500人ずつ連れて船出した。そんな彼が向かったところが済州島だった。

 一行は済州島に着くと漢拏山に登り、不老長寿の薬を探した。徐福は始皇帝の前ではあれほど自信満々だったのに、結局は見つけることができなかった。

 失意の徐福は漢拏山から南側に下山し、海辺で見つけた滝のそばの岩場に「徐市過之」という文字を記した。徐市は徐福のことであり、「徐福はここを通過した」といった意味だ。

 さらに、徐福は「西に向かって、いざ帰りなん」という言葉を残して去ったので、その浦の名が「西帰浦(ソギポ)」になった。今も西帰浦は正房瀑布がある地名だ。

 けれど、実際に徐福が西に向かったかどうかは定かでない。西ではなく、東の日本をめざしたという話もある。それゆえに、日本にも徐福伝説が残っているのだ。

不滅の人生

 西帰浦では、正房瀑布に本当に「徐市過之」という文字が記されていたと信じる人が多かった。20世紀の半ばまではあったのだが、瀑布の上にできた澱粉工場から出る廃水によって消されてしまった、という噂まで広まった。

  さらなる伝説もある。徐福が済州島を去るときに3人の童男を落伍者として残留させたという。それが眈羅(タムナ/済州島の旧国名)を建国した3人の始祖だという話も地元に残っている。

 そんな徐福伝説を思い出しながら、正房瀑布の落水を見つめる。修学旅行の学生たちが大勢集まって賑やかだ。

 滝の前の岩場には露店が出ていて、海女たちが採ってきたばかりの獲物を並べている。私の母も1930年代に正房瀑布の前の海岸で海女をしていた。目の前の彼女たちは母の後輩というわけだ。

 

写真4

海女が露店を開いていた

 

 急に親しみを感じて、獲物を覗いてみる。立派なアワビが堂々と並んでいる。愛嬌のある60代くらいの海女が大きなアワビを私に勧めたが、時価が恐ろしいので、一番小さいものを指名した。

 2万ウォン(約2000円)だった。焼酎を飲みながらアワビの刺し身を食べた。コリコリして食感が抜群だ。済州島の焼酎にもよく合う。

 

写真5

アワビの刺し身を食べながら焼酎を飲む

 

 心地よく酔いながら、再び徐福伝説のことを考えていた。徐福は済州島で不老不死の薬を見つけることができなかったが、映画のタイトルとして2000年以上も後に復活した。演じるのも当代随一のパク・ボゴムだ。未だに記憶されているという意味で「不滅の人生」を歩んだのではないだろうか。

 

*筆者・康 熙奉のプロフィール&近況はtwitterをご覧ください→https://twitter.com/kanghibong

 

*本連載は月2回配信(第1週&第3週木曜日)予定です。次回もお楽しみに!

 

 

 

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