究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#39

風邪やインフルエンザなどの感染症を防ぐには

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

 世界中に広がりつつある新型肺炎。いまは旅行を慎むべき時期なのかもしれない。やがてまた、旅を楽しめる日がやってくるだろう。そのときはコロナウイルスの一件も教訓に、感染症の予防をしながら歩きたい。

 

グローバル社会がもたらした弊害 

 コロナウイルスの感染拡大が止まらない。
 その大きな原因となったのは、グローバル社会だ。ビザの緩和、LCC網の発達、ネットの普及による国を越えた情報共有や決済システムによって、世界は本当に狭くなった。海外に旅行やビジネスに出かけるハードルが、これほど低くなった時代もないのかもしれない。
 だけどそれは、病原菌にとっても同様なのだ。かつてないほど激しくなった人の流れに乗って、ウイルスは世界中に拡散していく。武漢で発生した病が、あっという間に日本を侵し、ヨーロッパやアフリカにまで広がっていく。
 だから世界各国は入国制限を設け、旅行者の行き来を減らして、感染者の増加を防ごうとしている。グローバル社会を逆に封鎖することで、コロナウイルスの拡散に歯止めをかけようとしているのだ。
 つまりバックパッカーにとって、いまは厳しい状況だ。僕たちはグローバル化した世界の中を、国境を越え、雑踏に紛れ、大人数が共有するゲストハウスのドミトリーに泊まって旅をする。自分が感染する可能性もあれば、他者を感染させてしまうかもしれない。マスクをしていればいいという問題でもなかろう。すでにタイや台湾は、日本人からの入国者に対して、公共の場にはあまり出入りしないようにとの要請を打ち出している。そこを堂々と旅行するのは、ちょっと憚られるというものだ。
 3月は、とりわけ日本人の学生にとっては最高の旅行シーズンではあるけれど、コロナ禍が落ち着くまでは自粛したほうがいいのかもしれない。

 

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いつもは中国人で混み合うタイ・ドンムアン空港も閑散としている

 

疲れが免疫力の低下を呼ぶ 

 コロナウイルスの流行を見るまでもなく、感染症対策は海外旅行する上で大事だ。とくに風邪やインフルエンザは旅行者がかかりやすい、身近な病気といえる。それはバックパッカーに人気の東南アジアなどの熱帯でも同様で、暑い国だってインフルエンザが流行していることがある。近年はタイでインフルエンザが猛威を振るっている。
 感染の原因のひとつは、疲れによる体力の低下だ。バックパッカー旅行はなかなかにハード。重たい荷物を持って、ローカルなバスに揺られ、見知らぬ街をさまよって旅をする。誰も助けてはくれない。自分ひとりで旅を切り開いていくという行為は大きな醍醐味でもあるけれど、反面、緊張もするし、心身ともにぐったりと疲労することがある。それは心地よい疲れではあるけれど、免疫力や抵抗力が落ちると、やはり風邪をもらいやすくなる。
 ちょっときついなと感じたときは、しっかりと休むことだ。少し背中が寒かったり、熱っぽかったりだるかったりと「風邪の引きはじめかな」と思ったときも同様に、いったん旅の歩みをゆるめたほうがいいだろう。
 ドミトリーに泊まっているなら個室に移ろう。ひとりの風邪がドミトリーの全員に広がるのはよくある話だ。プライベートが確保され、他者と「濃厚接触」することのない個室のほうが静養にはいい。
 あまりがしがしと観光したり歩き回ったりせずに、宿のまわりを軽く散歩するくらいにとどめて、身体を休めよう。旅にはそういう時間も必要だ。むしろ、少し立ち止まってその街をじっくりと見るチャンスかもしれない。

 

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やはり人の少ないバンコク・カオサン通り。コロナ問題だけでなく、通りを掘り返して全面石畳に変える工事をしているから

 

03
カオサン通りがまた姿を変えていく。コロナ禍が収まったらまた賑わうはず

 

移動はなるべく避けて 

 体調を崩したな、と思ったら、その街を動かないほうがいいだろう。旅の中でも「移動」はとくに疲れる場面だ。荷物を運んで駅やバスターミナルまで行き、ときには車内で何十時間も過ごす。エアコンがなかったり、すし詰めになることもある。そして、着いた先でまた宿を探すわけだ。楽しい時間ではあるけれど、体力は消耗する。ちょっとしんどいな、熱っぽいなと感じているときは、できれば移動はしたくない。
 どうしても動かなくてはならないなら、少しお金を使おう。バスなら2等ではなく1等を使うとか、少しでも快適な方法を選ぶといい。結果としてそのほうが、余計な治療費などがかからず、回復も早かったということになるはず。こういうときはバックパッカーといえどあまり節約を考えたくはない。
 食欲はないかもしれないが、しっかり食べるべきだろう。滞在している場所によってはスパイスや油がきついものばかりかもしれないが、そんなときはお粥、フルーツ、ヨーグルトあたりがおすすめ。ビタミンCが免疫力を高めるといわれる。
 補助としてサプリメントもいいだろう。日本から持っていくのもいいし、途上国でもドラッグストアなどで手に入る。
 そして現地の病院にかかることも考えよう。そのためにも海外旅行保険は必須だろう。仮に保険に入っていなくても、風邪の治療くらいならそうたいしたお金はかからないはず。
 そして元気なときでも、手洗いやうがいは忘れずに。バックパッカーは衛生的に問題のある国を旅することがよくある。大気汚染がひどい街では、うがいをするだけでずいぶんさっぱりするものだ。
 こうした注意を払って、風邪やインフルエンザに罹らないよう旅したい。もちろんコロナウイルスの流行が収まってから……。

 

04
成田空港ではこんな看板があるが、果たしてどれだけ効果があるやら

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

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