琉球島猫百景

琉球島猫百景

#39

阿嘉島 島猫と島鹿が仲良く暮らす島

写真・仲程長治 文・シマネコキネマ 

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一瞬、目を疑うような光景がこの島の日常


 国立公園にも指定されている美しいサンゴ礁の海が、世界中のダイバーに愛されている慶良間諸島。那覇からは高速船で小1時間ほどの距離だが、訪れるのは実に15年ぶり。以前から渡嘉敷島と座間味島に猫がいることは聞いていたのだが、阿嘉島の情報はなかったので「運よく猫に会えたらいいなぁ」ぐらいの感覚で訪れた。
 午後からの撮影をひとしきり終えて、陽射しが和らいだ16時過ぎに小さな集落の散歩に出かけると、まず最初に出会ったのは島猫ではなく島鹿だった。

 

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最初に出会った1匹はさくらねこ。小首をかしげて様子を窺っていた

 

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離島らしい風景の中で、家主の帰りを寝て待つ

 

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御嶽の一番いい場所でうたた寝をしていた


 慶良間諸島には、日本でいちばん小さな「ケラマジカ」という鹿が生息している。天然記念物にも指定されてる希少な固有種で、15年前の阿嘉島ではそう簡単には出会えなかったのだが、島の人によれば、最近は集落の近くでもよく見かけるそうだ。
 結局、小1時間の散歩中に出会ったのは、4頭のケラマジカと3匹の島猫、そして1人のおばぁであった。鹿も猫も人を極度に怖がることはなかったが、近づくと離れる一定の距離感を保っていて、まだきちんと野生が残っていることを感じさせた。
 …そしてこの後、私たちは非常に珍しい光景に出会うことになる。

 

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一緒に朝の散歩を楽しみ、浜辺の草むらで戯れる鹿と白猫

 

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IMG_0484とある民家の庭では、鹿と猫とが毛づくろいし合っていた


 筋道を歩いていた1匹の島猫を追いかけて、ある民家の生け垣に辿り着くと何匹かの島猫たちが
戯れていた。「わ〜 たくさんいるぞ〜」と夢中でシャッターを切り、ふと庭に目を向けると、くつろぐ猫たちに交じって1匹のケラマジカがじっとこちらを見つめていた。
 最初は驚いたが、しばらくそっと眺めていると、やがて鹿が1匹の猫に近づいてお互いに毛づくろいを始めた。家主さんいわく、この鹿は夕方になるとやってきてガジュマルの葉などを食べながら庭で過ごし、翌朝帰っていくのが日課だそう。その通り、鹿は日の出前に猫たちと一緒に浜辺に出かけ、静かに山へと帰っていった。

 

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慶良間諸島には、毎冬、クジラが出産のためにやってくる

 

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屋根の上で夕焼けを眺めていた彼らは、朝、木登りも楽しんでいた
 

 

*日本全国で「さくらねこTNR」の活動を広げている公益財団法人どうぶつ基金の新作絵本冊子「さくらねこ」の制作をシマネコキネマが担当しました。以下よりぜひ、e-bookをご覧ください。

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*シマネコキネマの公式インスタグラム(今日の「ニャンくるにゃいさ」配信中)
https://www.instagram.com/shimanekokinema/
 

 

*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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仲程長治(なかほど ちょうじ)

1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。2018年に完成した島猫映画『Nyaha!』が初監督作品。現在、イリオモテヤマネコの島、西表島を舞台にした映画『Us 4 IRIOMOTE』を撮影中。

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シマネコキネマ

沖縄を拠点に活動するメディアファクトリー。島猫映画『Nyaha!』の企画・制作、『琉球島猫百景』のコンテンツ制作などを担当。沖縄の猫メディアでつくる「島猫力向上委員会」のメンバー。

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著・仲村清司 写真・仲程長治

     

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