料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

#37

宮古島

文と写真・山本益博

 

紺碧;イナムドゥチ

 

 

 

 

伊良部島の「紺碧The Villa All Suite」へ
宮古島、伊良部島の大地で料理を堪能する

 

沖縄へは何度も出かけているが、宮古島へは初めての旅である。沖縄本島よりもさらに南で、台湾はもう目と鼻の先といった感覚、羽田からの直行便でも3時間かかる。
宿泊先は、じつは宮古島ではなく、大橋でつながった伊良部島にあり、空港から車で20分ほど。その名を「紺碧The Villa All Suite」スイートルーム8室のみのホテルで、そこは別世界だった。
 

 

紺碧;オールスイートルーム広い敷地に8つのスイートヴィラ
 
 

紺碧;エントランス紺碧の楽園
 

 

ここへなぜやってきたかと言うと、食事、それもフランス料理が出色だからという情報を得たからなのだが、「沖縄でフレンチ?」と、当初はほとんど期待せずに、夫婦でシーズンオフにリゾートでゆっくりしたいと、出かけて行ったのだった。
チェックインして、一軒家のスイートに案内されると、目の前のプールの先には、それこそ「紺碧」の海が広がり、とても12月とは思えぬ景観だった。
 

 

紺碧;プールからの眺望スイートルームからの眺め


 

宮古島;紺碧ふたり妻の美穂子と

 

そして、夕闇が迫るころ、ダイニングルームへ出かけた。これが、目の覚めるような料理の数々。フランス料理というより、フランス料理の技法と地元の食材を駆使しての、シェフの「きょうの料理」。
テーブル上においてあるメニューには次のようなメッセージが書かれてあった。
「宮古島の言葉で畑のことをパリと言い、そこで働く女性のことを言葉遊びで“パリジェンヌ”と呼びます。
島の大地からなる恵み 海から来る豊富なミネラル、田畑や牧場 漁師たちの汗に心から感謝しテーブルを通して 皆様の身体に戻してあげたい。
その思いを込めて私たちはこのメニューを“ムニュ パリジェンヌ”と呼びます。」
初日は、「生姜のチュイール」「マングローブ蟹のコンソメ」「パリジェンヌ」「鰹/ビーツ」「祝いの山羊」「空想の鹿」「プラリネ/洋梨/ブリュレ」など全11皿。
二日目は、「ブロッコリーのエクレア」「牡蠣/ラード」「孔雀のコンソメ」「パリジェンヌ」「石垣米/胡瓜」「イナムドゥチ」「クロバニ赤仁/ゴボウ/山芋」「島豚/白子/春菊」
「マンゴー/ココナッツ」「デセールパリジェンヌ/茄子」など全11皿。
どれも火入れと調味が精妙で、食材の味が際立ち、完成度が高かった。とりわけ印象に残ったのが、「マングローブ蟹のコンソメ」「鰹/ビーツ」「イナムドゥチ」「デセールパリジェンヌ/茄子」。その中でも、「イナムドゥチ」は、フランスはカルカッソンヌの白いんげん豆と肉を煮込んだ郷土料理「カスーレ」をヒントに、それを地元の食材を駆使し、応用して作った傑作と言ってよい。
 

 

紺碧;イナムドゥチ傑作の「イナムドゥチ」

 

紺碧;サラダ(ディナー)「サラダ」

 

翌朝の「伊良部島の朝御飯」も、「ラフテー」「はんだまのおひたし」「ドゥルワカシー」など、沖縄の料理を洗練させた、量も程よい健康的な朝ごはんだった。
 

 

紺碧;朝ごはん「伊良部島の朝御飯」


 

滞在中の昼ごはんは、ホテルマンがお薦めの「春おばあ」の「ソーキそば」と「ササキ バー&カレー」の「宮古牛カレー」。
「ササキ バー&カレー」は今年9月に開店したばかりとのこと。出かけてみて驚いた。主人のササキさんは、昨年まで銀座の中国料理「厲家菜」でサービスをしていた佐々木さんだった。旅にはハプニングがつきものだが、こんな嬉しいハプニングはそうそうないものである。
佐々木さんご夫婦、昨年、宮古島を訪れたところ、「まるで天国!」と感じて、移住することを即決したのだそうだ。
書き忘れてならないのが、「宮古牛カレー」お薦めの一皿である。
 

 

宮古島;ササキカレー1「ササキ バー&カレー」
 

 

宮古島;ササキバー&カレー表札スタイリッシュな看板が目印

 

宮古島;春おばあのどかな雰囲気の「島とうふ 春おばぁ食堂」

 

宮古島;春おばあのソーキそばシンプルな「ソーキそば」

 

 

滞在中、「雪塩」の生産場所を訪ねた。この「雪塩」お土産に最適、空港でも買い求めることができる。

次回は、鳥取です。

 

 

 

 

■「紺碧ザ・ヴィラオールスイート」

 

住所/沖縄県宮古島市伊良部字池間添1195-1
問い合わせ/0980-78-6000
https://www.konpeki.okinawa

 

 

■「島とうふ 春おばぁ食堂」

 

住所/沖縄県宮古島市平良下里3107-140
問い合わせ/ 080-6497-4747    
営業時間/11:00~16:00
定休日/不定休

 

■「ササキ バー&カレー」

 

住所/沖縄県宮古島市平良字東仲宗根233
問い合わせ/ 00980-79-9333
営業時間/11:30〜15:00 18:00〜23:00
https://www.facebook.com/sasakibarandcurry/

 

 

 

*この連載は毎月25日に更新です。

 

山本さん顔

山本益博(やまもと ますひろ)

1948年、東京・浅草生まれ。早稲田大学第ニ文学部卒業。卒論が『さよなら名人藝―桂文楽の世界』として出版され、評論家としてスタート。幾度も渡仏し三つ星レストランを食べ歩き、「おいしい物を食べるより、物をおいしく食べる」をモットーに、料理中心の評論活動に入る。82年、東京の飲食店格付けガイド(『東京味のグランプリ』『グルマン』)を上梓し、料理界に大きな影響を与えた。長年にわたる功績が認められ、2001年、フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを受勲。2014年には農事功労章オフィシエを受勲。「至福のすし『すきやばし次郎の職人芸術』」「イチロー勝利への10ヶ条」「立川談志を聴け」など著作多数。 最新刊は「東京とんかつ会議」(ぴあ刊)。

 

 

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