究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#37

タイ・バックパッカー・アイランド〈1〉タオ島

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

  旅の初心者には優しく、ベテランにとっては落ち着いて過ごせる国タイ。首都バンコクやその近郊エリアが最も人気だが、南部に行けばそこはビーチリゾートの宝庫。圧倒的な美しさの島々が広がっている。
 ただし、どこも離島ゆえ、あらゆるものを船で運ぶ必要がある。だから物価がやや高いのがネックだ。そんなタイのビーチアイランドを、少しでもリーズナブルに過ごすためのノウハウを紹介したい。

 

どこまでも透き通った海と出会えるタオ島 

 タオ島、パンガン島、サムイ島。タイ南部の、タイ湾側に浮かぶこの3つの島は、ヒッピーの時代には「秘島」と呼ばれ、旅人に愛されてきた。本土よりもさらにゆるやかな時間が流れ、開発はまだまだ進んでおらず、手つかずの大自然が広がり、バックパッカーたちは素朴なバンガローで何日も過ごした。
 そんな時代は過去のものとなり、どの島も一大観光地として賑わうようになったが、いまも透き通った海とけだるい空気とが待っている。やっぱり本土とはだいぶ風情が違うのだ。
 とくに最も小さなタオ島は、団体のツアー客や大型のホテルはまだ少なく、バックパッカーやダイバーたちに人気となっている。海の透明度も3島では一番だろう。長逗留する旅行者も多い。

 

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チュムポーンの港からタオ島行きの船が出港する

 

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タオ島の海はタイでも屈指の見事な色あい

 

チュムポーン、スラーターニーから船でタイ湾を渡る 

 タイ語でタオは「亀」という意味。「亀島」なのである。島の形が亀に似ているからとも、かつては海亀が多かったからともいわれているが、だから島のあちこちに亀のモニュメントが飾られ、ゲストハウスでもマスコットキャラのように絵が描かれていたりする。
 そんなタオ島へのアクセスは船のみ。飛行機はない。ポピュラーなのは本土チュムポーンからのアクセスだ。
 チュムポーン市内のホテルやゲストハウス、旅行会社などでフェリーのチケットが手に入る。最も有名なのはこの海域に緊密な路線網を持つロンプラヤー社。*サイト→https://www.lomprayah.com/

 競合のソンサーム社も同じようなサービスを展開している。*サイト→https://songserm.com/

 サイトや、アプリからチケットを買うこともできる。当日は購入画面を示すだけで手続きしてくれる。どちらの会社を使うかは、好みの発着時間で選ぶといいだろう。
 料金だが、チュムポーン市内から港までのバス+フェリーで、片道700バーツ前後(約2500円、所要2時間30分)。けっこう高いのだ。一泊の宿代よりも高くついてしまうかもしれない。
 チュムポーンのさらに南に位置する街スラーターニーから、サムイ、パンガンを経てフェリーで向かうという手もある。
 そしてスラーターニーからは、高速フェリーのほかのんびりひと晩かけて海を渡り、タオ島を目指すナイトボートも出ている。これだと600バーツ(約2100円)といくらか安く、また一泊分を浮かせることができるので、欧米人のバックパッカーには人気だ。もちろん船室はザコ寝。

 

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高速フェリーはなかなか立派。軽食を売る売店やトイレはついている。冷房はキンキンなので羽織れるものがあるといい

 

バンコクからダイレクトにタオ島を目指す 

 バンコクから一気にタオ島に向かう人もまた多い。ほとんどの旅行者は、カオサン通りなどの旅行会社で「ジョイントチケット」を購入している。これはバンコクからチュムポーンまでのバスor列車と、フェリーのチケットとが組み合わさったもので、通しで買えるので楽なのだ。
 さらにカオサンでバス+フェリーのジョイントチケットを買えば、出発もカオサン。いちいちバスターミナルに行く必要はない。夕方に夜行バスでカオサンを出て、休憩しつつタイを南下し、チュムポーンの街には寄らずに港まで直行、翌朝フェリーに乗り換えてタオ島に着く。とってもイージーなのである。
 ただ、乗客全員が外国人バックパッカーであり、彼らとツアーのように自動的に目的地まで運ばれていくだけという、どこか味気なさもある。タイを旅しているという実感は薄い。それよりも自力でバスターミナルや鉄道駅に行って、刻むように旅するほうが面白さはあるだろう。
 バンコク→タオのジョイントチケットは利用する会社にもよるが、1000バーツ(約3500円)前後。
 ところで、ひとつ注意したいことがある。バンコクとタイ南部を結ぶバスの中には、悪質なものが混じっているのだ。乗客に提供した飲み物の中に睡眠薬が入っており、昏睡したすきに貴重品を盗むという手口。昔よりもずいぶん減ったようだが、まだときどき報告されている。
 公営バスではなく、バックパッカーを満載する私営のもので被害が出ているようだ。他社よりもはるかに安い価格でバックパッカーを釣り、金品を奪うというわけだ。あまりにも安いチケットには手を出さないほうがいいだろう。

 

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島ではメーハートとサーイリーがバックパッカーの拠点。ビーチから離れるほど宿が安くなる

 

バックパッカー向けのドミトリーはたくさんある 

 タオ島の宿はバラエティに富んでいる。超高級リゾートから格安ドミトリーまでさまざまだ。
 安宿が多いのは、港のあるメーハート周辺。ビーチから内陸に入っていくと、ドミトリー200~300バーツ(約700~1000円)、シングル500バーツ~(約1800円)くらいの宿が点在している。シーズン中は、ドミトリーでも予約しておいたほうがいい。
 ダイブショップに併設されている宿があるのもタオ島の特徴だろう。ダイビングコースに申し込むと宿が割引になったりする。
 最近アジア全域で流行しているおしゃれホステルも増えている。『Dearly Hostel』(www.thedearlykohtaohostel.com)あたりを例にとると、きれいで快適なドミトリーが600バーツ~(約2100円)。広々とした屋上やプールなどもついていて、共同のバスルームも清潔。「ドミトリーのあるリゾートホテル」という感じだ。
 安宿やレストランなどが密集しているメーハートと、そこから2キロほど北にある、ちょっとした繁華街であるサーイリーが島の中心だ。それと南岸のチャロック・バーン・カオにも宿やレストランが多い。
 この3つのエリア、どこに行っても食事は最低でも100バーツ(約350円)はするだろう。タイ料理やシーフードのほか、おしゃれなイタリアンなどもあるけれど、どこも基本的に観光地価格で高い。
 節約派はメーハートとチャロック・バーン・カオの間の道に点在する安食堂、メーハートとサーイリーの間にある屋台街を利用しているようだ。こういうところなら50バーツ(約170円)くらいでタイ飯が食べられる。

 

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サーイリーにはバーがたくさん。ニューハーフショーもあるしビーチではファイヤーショーもやっている

 

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メーハートとサーイリーには宿、食事、ダイブツアーなどの店が無数に並ぶ

 

長期滞在する旅行者も多い 

 タオ島最大の見どころは、北に浮かぶナーンユアン島だろう。3つの小島が砂州でつながっている珍しい地形で、周囲の海もとりわけ透明度が高い。南側の小島の高台に上って見下ろせば、まさにインスタ映えな写真を撮ることができる。
 タオ島からは小舟をチャーターして向かうが、宿で仲間を集めてワリカンにすれば安上がりだ。
 島内の交通はソンテウという小型トラックがあるが、どこへ行くにも1台あたり200~300バーツ(約700~1000円)はする。これも複数人で利用して割るか、あるいはレンタルバイクを使うといいだろう。1日250バーツ(約900円)で島内を自由に走り回れるアシが手に入る。
 島の中部から東部はなかなか険しい山道になっていて、バイクでもけっこう手こずるので運転には要注意。しかしそこを乗り越えると、島を一望できる絶景カフェとか、バックパッカーたちがパーティーをしている隠れ家のようなバーなどが点在している。
 ダイビングやシュノーケリングにトライするなら島内のあちこちにあるダイブショップに行こう。宿でも手配できるだろう。英語はよく通じるし、欧米人のインストラクターもいる。日本人経営のショップもあり、日本人宿的な空気が苦手でなければ言葉の壁がないので安心して楽しめるだろう。
 タオ島を回って感じるのは、長期滞在しているバックパッカーの多さ。ムエタイジムで修業したり、ヨガ教室やタイ料理教室に通ったりして、のんびり日々を過ごしている。この島では旅の歩みを少し緩めてみよう。

 

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ナーンユアン島は必見。サムイ島などから、ここだけを訪れるツアーも出ている

 

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この美しさに惚れこんで、住みついてしまう外国人もいる

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

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