究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#36

タイの古都チェンマイの安宿事情&最新スポット

文と写真・菅原大成

 タイ北部の古都チェンマイは旅行者に人気の街だ。山岳地帯が間近で自然に包まれた旅が楽しめること、バンコクよりもずっと物価が安く長期滞在にも向いていること、山岳少数民族の文化を見られることなどから、バックパッカーも多い。そんなチェンマイの旅行事情を見ていこう。
 

落ち着いた滞在ができる北の都 

 タイの11月を彩るローイクラトン。収穫を祝い、水の女神に感謝をささげるため、人々は灯篭をつくって川に流す。
 チェンマイでは灯篭の代わりに、コムローイというランタンを空高く放つのだ。暖かな灯かりを灯した数千、数万のランタンが夜空を舞う幻想的な光景は、いまやチェンマイの一大名物ともなった。この時期は世界中から旅行者が訪れる。
 それ以外のシーズンも賑わいを見せる。旧市街に立ち並ぶ歴史ある寺院群、きらびやかなナイトマーケット、郊外に足を延ばせば山岳地帯では少数民族の村を訪ね歩くトレッキングや、エレファントライドなどを楽しむこともできる。なによりも、タイ第2の都市とはいえ、首都バンコクよりもさらにのんびりとしており、ゆったりとした気分で過ごせることが大きな魅力だろう。そんなチェンマイで、私は日本人向けのゲストハウス『EZ STAY Chiangmai』を運営している。
 宿泊しているお客さんに話を聞いてみると、チェンマイの良さとしてまず上がるのは、やはり「静かで滞在費が安いこと」。だからゲストハウスではなくアパートを借りて、長期滞在する人も多い。外国人でも5000バーツ(約1万8000円)程度で、そこそこ快適なアパートが簡単に借りられるのだ。
 食費はバックパッカーが立ち寄る屋台や食堂なら20バーツ(約70円)くらいからあり、これもバンコクよりずっと安い。
 つまり月に5万円ほどあれば生活できるのだ。だからパソコンひとつで仕事をするノマドワーカーが多く集まってくる。カフェに行くとそんな欧米人がタイ人よりも多いなんてのはよく目にする光景だ。
 それに女性旅行者にとっては、オーガニックやハーブ関連のグッズ、ヨガ教室などが充実していること、民族雑貨が可愛いことも、チェンマイの大きなポイントのようだ。

 

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11月のローイクラトンではランタンが夜空を埋め尽くす。コムローイ祭り、イーペン祭りとも呼ばれる

 

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タイで一番高い山ドイ・インタノン(2565m)からの眺め。時期によっては雲海も。チェンマイからは車で2時間ほど

 

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チェンマイでは歴史ある寺院に立ち寄り、上座部仏教の世界にも触れたい

 

バックパッカーなら旧市街の安宿へ 

 バックパッカーがチェンマイで宿を取るなら、お堀に囲まれた旧市街が一番だろう。観光スポットの中心部であるターペー門のあたりなら、どこに行くにもアクセスがいい。旧市街を起点にチェンマイの街は発展しており、ソンテウ(乗合バス)や、配車アプリgrabを使えば市内のどこでもすぐに行ける。
 ターペー門の近辺にはバックパッカーが泊まるような1泊100バーツ(約350円)のドミトリーから5000バーツ(約1万8000円)を超える高級ホテルまで、さまざまな宿泊施設がある。またナイトマーケットもあり、さらに旧市街から東のロイクロー通り周辺の夜遊びエリアも至近だ。
 旧市街の北側チャーンプアック門付近は、とくに安宿が集まっている。少し歩けば、あらゆるものが安く揃うタニン市場もあるので、バックパッカーにとっては嬉しいエリアだ。
 私が個人的にオススメしたいのは、旧市街の南側チェンマイ門付近だ。私が運営している宿があるので宣伝したい気持ちも含めてではあるが、このあたりはタイ人が暮らすローカルな地域で、街の素顔に触れられる、それに食事が安い。そして静かに滞在することができるのだ。
 街の西側、ニマンヘミン付近にはおしゃれな店が多い。ショッピングモールやレストランなどが並び、チェンマイでも最新スポットだ。ホテルが多く人気だが、宿泊費はやや高め。安さを求めるなら旧市街がいいだろう。
 チェンマイの安宿の底値は100バーツ(約350円)くらいだろうか。この値段もバンコクよりもずっと安い。かといって汚かったり、設備も充実していないわけではない。エアコン完備のところも多いし、ドミトリールームの各ベッドにカーテンや電源や読書灯がついていたりするなど、大部屋でも快適に滞在できるように工夫されている。安宿は非常に多く、競争が熾烈なため、クオリティを上げて単価を下げている。バックパッカーにとってはありがたい話だ。

 

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ターペー門はチェンマイ旧市街のランドマーク。そして赤いソンテウもチェンマイ名物だ

 

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『EZ STAY Chiangmai』のドミトリーもカーテンがついてます。プライベート空間を確保

 

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ナイトマーケットでは少数民族の雑貨に目移り

 

郊外に人気スポットが点在する 

 チェンマイでは市内だけでなく郊外にも足を延ばしたい。ほんの少し離れるだけで、空気は澄み、山の緑は鮮やかで、穏やかな村の生活がある。温泉や滝などをめぐる旅行者も多い。本格的にトレッキングなどをしなくとも、自然に触れ、素朴な暮らしに触れることができる。
 最近、旅行者に人気となっているのは、市内から南に30分ほど行った郊外にある『ホシハナ・ビレッジ』だ。緑いっぱいの広大な敷地にコテージが点在するホテルで、小林聡美主演の映画『プール』(2006年)の舞台になったことでも知られる。映画にも出てくるプールがあるなどインスタスポットにもなるほどきれいで設備充実の宿だけに、料金は1500バーツ(約5400円)~と、バックパッカーの予算的には厳しい。しかし土日のランチ営業時は宿泊客以外でも利用できるので、訪れるバックパッカーも増えている。
 旧市街から西にバイクで20分ほど走った場所にあるお寺ワット・ウモーン近郊のエリアも、このところ注目されている。山の中に掘られたトンネルの奥に仏像が安置されていることで知られているが、周囲は手づくりの雑貨や洋服を取り扱う店が点在しており、地元の人々にも人気。
 ここはバーン・カット・ワットと呼ばれる場所で、毎週日曜日の午前中は青空マーケットが開催され、個性あふれるアーティストの作品が並ぶ。ここでしか買えないオリジナル品を見たり、カフェでくつろいだりと、バンコクからこのマーケットを目当てに足を運ぶ人もいるほどだ。
 こうした郊外まで含めるとチェンマイは何日過ごしても飽きることがない。またラオスやミャンマー、中国・雲南省へのゲートウェイでもあり、陸路でインドシナ半島を旅するバックパッカーが必ず立ち寄る街だろう。しばらくゆっくりして、古都の風情を堪能してほしい。

 

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『ホシハナ・ビレッジ』にある、映画の舞台となったプール

 

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チェンマイ市内のナイトマーケット。そぞろ歩くのが楽しい

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

菅原大成

1991年、北海道出身。タイ北部チェンマイにあるゲストハウス「EZ STAYチェンマイ」にて日本人スタッフとして常駐。タイ人オーナーとともに日々ゲストハウスの在り方を模索中。Jリーグ北海道コンサドーレ札幌のサポーターでもある。

 

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