韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#35

ソウルと釜山、冷麺が1000円以下で食べられる店!

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有名店の冷麺は1万ウォンから1万3000ウォン! 

 韓国の冷麺専門店に日本からの旅行者を連れて行くと、1万ウォン(約1000円)を超える価格にびっくりする人が多い。日本の手の込んだラーメンでも1000円を超えることは稀だろうから無理もない。韓国料理としてはかなり薄味だが上品な旨味のあるスープや、そば粉をぜいたくに使った自家製麺は、実際かなり手間がかかるので法外な値段とはいえないのだが、我が国では汁物とごはんにキムチやナムルなどのつきだしが何皿も添えられる定食が6000ウォンくらいで食べられるので、冷麺が高く感じられてもしかたがないかもしれない。

 そこで今回は、ソウルや釜山の中心部にあって利用しやすく、1万ウォン以下で食べられる冷麺店を5軒紹介しよう。

 

 

青果市場の路地裏の本格冷麺 「抱川メミル冷麺」

 南大門市場や東大門市場の陰に隠れて目立たないが、ソウルの台所と呼ばれているのが地下鉄1号線「祭基」駅の東側に広がる京東市場。その京東市場に隣接する青果市場を通り抜けたところを左に曲がり、最初の路地を左に曲がったところにあるのが「抱川メミル冷麺」。

 5000ウォンという価格に、最初は「?」がよぎったのだが、麺をすすり、スープをひと口飲むと、市場で働く人や買い出しに来た人たち(いずれも庶民)のために、できるだけ安く冷麺を提供しようという心意気が感じられ、頭が下がった。

 麺の配合については教えてもらえなかったが、そば粉の香りは豊かで、スープもコクがある。こう言ってはなんだが、冷麺1万ウォンは高い! あらためてそう思ってしまった。

 

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「抱川メミル冷麺」の冷麺。ボリュームも有名店に負けないのに5000ウォンは破格だ

 

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京東市場(キョンドンシジャン)の路地裏にある「抱川メミル冷麺」(ポチョンメミルネンミョン)

ソウル市東大門区祭基洞646  07:00~19:30 無休

 

 

明洞聖堂やホテルPJから近い人気店「平来屋」

「平来屋」は1950年創業の歴史ある冷麺専門店だ。5、6年前に訪れたときは、たまたま野菜の甘味が出てしまっていたのだろうか、スープにキレがなかった。そのせいで、しばらく距離を置いていたのだが、久しぶりに味わってみたら改善されていた。

 スープは肉でダシをとったものと水キムチの汁を混ぜたもので、清涼感とコクが両立している。その日は数時間のうちに冷麺を3杯食べるというスケジュールで、ここは3軒目だったのだが、苦痛でないどころか完食してしまった。

 場所は明洞聖堂の入り口と、昔から日本人の利用の多いホテルPJ(旧プンジョンホテル)を結ぶマルンネ路の中間地点。

 

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麺もスープも1万ウォン超えの他店に見劣りしないのに9000ウォンとはうれしい 「平来屋」(ピョンレオク)の冷麺

ソウル市中区苧洞2街18-1 11:30~22:00 第2、第4土曜休

 

 

南大門市場観光の途中で気軽に寄れる「富元麺屋」

 南大門市場というベタ過ぎる観光地にあるが、観光客は少なく、市場に出入りする人たちでランチどきは特に賑わう店だ。それでも市場の食堂としては広くてきれいなので、女性旅行者でも利用しやすいだろう。

 キュウリなどの具の盛り付けはお世辞にも洗練されているとはいえないが、スープは肉のダシがきいていて飲み干せる味。7500ウォンでこの水準なら十分満足できる。1万ウォンクラスの冷麺との差額でカフェのコーヒーが飲めるのだからありがたい。

 

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「富元麺屋」(プウォンミョノク)の冷麺7500ウォン。1万ウォンを超える他の有名店と比べると、スープは少々野暮ったいが、南大門市場という環境を考えるとむしろ似つかわしい

 

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 「富元麺屋」は靴屋さんなどが並ぶ路地の2階にあって少々わかりづらいので、この入口を手がかりに

ソウル市中区南大門市場4キル41-6 11:00~20:30 第1、第3日曜休(12月、1月、2月は毎週日曜休)

 

 

“先酒後麺”に打ってつけの「春川マッククス」

 乙支路4街駅の周辺には拙著『韓国ほろ酔い横丁  こだわりグルメ旅』本連載#23で取り上げた韓国版“角打ち”(シュポ)が集まっていて、大衆酒場巡りが楽しいエリアだ。

 とはいえ、つまみに限りがある角打ちばかりハシゴしていても飽きてしまう。そこで私がよくコースに組み込むのがここ。フロアに隙間なく置かれたテーブル、低い天井など、店内は80年代テイストにあふれ、麺屋というより酒場という言葉がぴったりくる。

 ここでは、まず茹で豚肉(チェユク)をつまみにビールや焼酎、マッコリを飲み、最後に麺で〆るという“先酒後麺”スタイルが楽しめる。うれしいのは、茹で豚も韓国のつまみとしては量が多過ぎず、麺も日本の立ち食いそばくらいのボリュームなので、お腹がいっぱいになり過ぎないこと。

 この店の冷麺はマッククスと呼ばれる、そば粉のビビン麺タイプ。甘辛いタレがかかっているので、そのまま混ぜて食べてもいいし、麺だけを取り出し、つきだしの水キムチの汁につけて食べてもさっぱりする。

 

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「春川マッククス」(チュンチョン・マッククス)のチェユク15000ウォン。まずはこれで一杯

 

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「春川マッククス」のマッククス6000ウォン

ソウル市中区乙支路4街61 月~土曜、祝日11:30~22:00、日曜11:30~20:00 無休

 

 

釜山駅近く「ヨンドン・ミルミョン・テジクッパ」の小麦粉冷麺

 釜山では、そば粉の冷麺よりも小麦粉の麺を使ったミルミョンのほうがよく食べられている。朝鮮戦争が勃発したころ、冷麺の発祥地である半島北部から多くの避難民が釜山に押し寄せ、彼らによって冷麺が南部に広まったのだが、戦後は食糧難でそば粉の確保が難しく、米軍の支援物資である小麦粉で打った麺で代用した。それが釜山名物ミルミョンの始まりだ。

 この店ではそのミルミョンの小が3000ウォンで食べられる。そば粉よりも安価な小麦粉とはいえ、南浦洞辺りの有名店では小でも5000ウォンはするから大特価といえる。小とはいっても日本の人には十分なボリューム。小腹がすいたときにちょうどよい。

 

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「ヨンドン・ミルミョン・テジクッパ」のミルミョン(小)3000ウォン

 

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釜山駅前を横切る大通りの向かい側の通りを入ったところにある「ヨンドン・ミルミョン・テジクッパ」。よく見ると店舗は植民地時代の日本家屋で、これも見もの

釜山市中区草梁洞460-4 10:00~24:00 日曜10:00~22:00 無休  

 

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/

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