琉球島猫百景

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#34

名護 屋根の上のニャ~ゴ

写真・仲程長治 文・シマネコキネマ  

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名護らしく、セメント瓦の屋根の上であんぐりと口を開けたシーサーニャ~ゴ


 やんばると呼ばれる沖縄本島北部の中核都市、名護。今回はその市街地を、島猫を探しながらフラフラと散歩してみた。
 最初に出会った1匹は、ユニークな建築で知られる名護市役所近くの裏道。猫を探しながら歩く時は「足元」や「隙間」を覗き込むことが多いのだが、ふと空を見上げた瞬間、屋根の上にちょこんと白い耳が見えた。4月上旬の沖縄は寒さも柔らぎ、夏ほど陽射しも強くなく、心地よい風が吹き抜ける「うりずん」の季節。花々も彩りを増した春の昼下がり、屋根の上でのんびりと昼寝する名護のニャ〜ゴの姿が多く見られた。

 

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最初に出会った1匹は、屋根の上でお昼寝していたさくらねこ

 

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続く1匹も屋根の上。それから10分のうちに、屋根の上の名護ニャ〜ゴをなんと4匹も見つけてしまった

 

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赤い縁取りのコンクリート瓦を背に、青いトタン屋根の上で眠る島猫


 名護市の繁華街は「みどり街」と呼ばれている。みどりといっても色ではなく、沖縄の言葉で「新しい通り」を意味する「ミードーリ」がその由来だ。名前とは裏腹に、通り沿いにある店の看板には古き良き昭和の香りが漂っているが、いかにも島猫がいそうな雰囲気も満点。夜の社交街ゆえ昼間の人影は少ないが、スナックの軒先に置かれた空の皿が、この街で暮らす島猫の存在を示していた。

 

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スナック前のエサ置き場をパトロールしていた、周辺のボスとおぼしきオス猫

 

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スナックとバーの間にある筋道に逃げ込み、振り返ったみどり街の姉さん

 

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お決まりのエサ場らしい。昨今のコロナ禍で、野良猫たちへのエサの供給が途絶えないか心配だ


 実はカメラを持って名護の街を散歩するのは今回が初めてではなく、以前も「歴史」や「アート」をテーマにして巡ったことがあったのだが、これほど多くの島猫に出会うことはなかった。いや、気がつかなかったと言うべきかも知れない。
 名護にも那覇と同じように地域の台所である市営市場があり、その周辺には昔から野良猫が多いそうだ。市場周辺で暮らす「いちば猫」の生活環境を整えるために、これ以上増えないよう避妊去勢手術(TNR)をしたり、子猫の保護・里親探しをしているお店もあった。名護といえばオリオンビールの工場があり、日本で一番最初に桜が咲く土地である。この街のさくらねこたちにも、桜の花と同じように人間たちの愛ある視線が注がれますように。

 

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背後に視線を感じて振り向くと…網戸越し見つめられていた

 

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大通り沿いの居酒屋の前で、人間との距離感を保ちつつ店の開店を待つキジトラ

 

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名護市営市場近くにある「アトリエはーべーるー」では、市場周辺の野良猫のお世話や子猫の譲渡を行っている

 

 

*シマネコキネマの公式インスタグラム(今日の「ニャンくるにゃいさ」配信中)
https://www.instagram.com/shimanekokinema/
 

*仲程長治監督の最新作、イリオモテヤマネコの島、西表島を舞台にしたドキュメンタリー映画
『Us 4 IRIOMOTE(アスフォーイリオモテ)』ではクラウドファンディングを開催中です。
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*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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仲程長治(なかほど ちょうじ)

1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。2018年に完成した島猫映画『Nyaha!』が初監督作品。現在、イリオモテヤマネコの島、西表島を舞台にした映画『Us 4 IRIOMOTE』を撮影中。

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シマネコキネマ

沖縄を拠点に活動するメディアファクトリー。島猫映画『Nyaha!』の企画・制作、『琉球島猫百景』のコンテンツ制作などを担当。沖縄の猫メディアでつくる「島猫力向上委員会」のメンバー。

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島猫と歩く那覇スージぐゎー
著・仲村清司 写真・仲程長治

     

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