究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#34

バックパッカー初体験にはミャンマーもおすすめ〈1〉

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

 アジアの急成長国ミャンマーは、隣国タイと比べるとまだインフラは未整備で、バックパッカーも多くはない。決して便利な国ではない。しかしそのぶん、旅の手ごたえを強く感じるし、アジアの古い習慣や人々の笑顔はきっと胸を打つ。初めての海外、初めてのバックパッカー旅行にも、向いている国だと思うのだ。
 

タイは確かに楽なのだけれど 

 旅をしよう! と決めたけれど、いったいどこに行ったらいいのかよくわからない……という人はけっこう多い。
 そんなとき『バックパッカーズ読本』では、よくタイを勧めてきた。古くから旅行者が集まる国であり、それなりに発展していて旅がしやすく、観光立国なので外国人にも慣れている。北部の山岳地帯、南部のビーチなど見どころも多い。そして首都バンコクには世界最大の安宿街、カオサンロードがある。
 入り口としては、理想的な国かもしれない。しかし、昨今のタイは大きく発展し、物価は上がり、どこもきらびやかなショッピングモールが増え、だいぶ様相が変わってきた。少なくともバンコク中心部では、大きなリュックを背負ったバックパッカーが、やや似合わない街になりつつあるようにも思う。
 それにバンコクは、地下鉄やBTSという高架鉄道が走り、どこに行っても日本食がありセブンイレブンがあり、誰もがみぎれいで、日本とあまり変わらなくなってきた。旅がイージーになって助かるのだけど、そのぶんカルチャーショックのようなものはあまり感じられなくなってきている。
 そこで、タイの隣国ミャンマーはどうだろうか。

 

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ミャンマーは民主化が遅れたぶんだけ、古き良き文化が閉じ込められている

 

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南部ベイの市場。こうした人々の生活の場がなにより面白い

 

「そこそこの難易度の国」ミャンマー 

 民主化以降、急速な経済成長を見せてはいるものの、ミャンマーにはまだまだ昔ながらのアジアが残っている。女性たちは伝統的な民族衣装である巻きスカート・ロンジーをまとい、街を彩る。頬やおでこを白く塗っている子供や女性も目立つ。これはタナカという木からつくった日焼け止めにして化粧であり、やはりミャンマーの伝統。最大都市ヤンゴンではバンコクのような大型モールも少しずつ増えてはいるが、それでもまだ、昔のままの暮らしの姿がそこにはある。
 お金の受け渡しのときにも、きっと感じ入るだろう。こちらが渡したお札を、ミャンマー人は両手で受け取るのだ。そしてお釣りを右手の上に載せ、左手をひじに添えて差し出してくる。なんと美しい作法なのだろうかと思う。かつてはこうした風習はアジア各地にあったらしいが、残っているのはミャンマーくらいだ。
 こんな習慣に見られるように、ミャンマー人はなんだか、昔の日本はこうだったかもしれない、と思わせるような礼儀正しさと控えめな笑顔で接してくれる。そしてきわめて親日的で、日本人だというだけで歓迎されることもある。
 しかし、そこは発展途上の国である。タイのような便利な国とは、ちょっと違う。
 停電は珍しいことではない。夜間しか電気が使えない地域もある。道路はだいぶ整備されたとはいえ、僻地に入っていくと険しい未舗装の道を行くこともあるだろう。衛生的な問題も残っている。安宿の中には、タイあたりではもう見なくなったようなぼろぼろで汚いところも多い。きつい旅になることもあるのだ。
 だけど、そこに手ごたえを感じるのも事実だ。つらいことがあるからこそ、旅は人を成長させてくれる。日本とまったく違う環境だからこそ、面白さも発見も学びもある。タイやマレーシア、シンガポール、台湾あたりとは違うハードさがミャンマーの旅にはあるし、いくらかのタフネスが必要だけど、それ以上に得られるものがあると思うのだ。
 かといって、インドほどの過酷さはないし、ぼったくりなどは少ない。中南米のような治安の悪さもない。同じ顔立ちのモンゴロイドが大半なので親しみやすさもある。ミャンマーは「そこそこの難易度の国」と言えるかもしれない。
 初めての海外旅行であれば「難易度の低い」台湾や韓国、タイ、マレーシアあたりが楽ではある。だけど、あえて少し難しい国にチャレンジしてみる。初めての旅ではやっぱり、異世界にガツンと打ちのめされるべきではあるまいか。

 

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どこに行っても子供たちの笑顔を見る。外国人にも笑いかけてくる

 

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中部バゴーにて。こうした青空市場もまだ健在

 

宿はシングルで10米ドル前後から見つかる 

 そんなミャンマーの「バックパッカー的・旅行インフラ」を見てみよう。
 まずは宿だろうか。
 最大都市ヤンゴンや、第2の都市マンダレー、それにバガンやインレー湖といった観光地には、バックパッカー向けのゲストハウスがたくさんある。安いシングルで10~20米ドルくらいだろうか。部屋はまさに寝るだけという感じでシンプル。バスルームが共同のこともある。Wifi可という触れ込みでも、電波が届くのはロビー周辺だけ、あるいは停電でWifi機器もダウン、というのはよくある話。
 ドミトリーはヤンゴンを中心に増えている。#18#19でも紹介したが「ホステル」と名のつく安宿ならドミトリーを持っているだろう。5~10米ドルくらいでベッドひとつ借りられる。最近のホステルはどこも清潔さをウリにしているが、ミャンマーの場合はけっこう厳しい物件もある。老朽化したビルをガワだけきれいにしたが、水回りはどうにも……という宿も見かける。
 いまはどの宿も予約サイトに対応している。レビューも参考になるが、それより街の中心部の宿であるかどうかを確認してから予約したほうがいい。ミャンマーは夜が早いし、レストランや屋台や雑貨屋なども、営業しているのはどうしても中心部ばかりだ。地図をチェックして便利な繁華街を選ぶといいだろう。

 

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チャイッティヨーの安宿、8米ドルなり。とりあえずエアコンとホットシャワーはあった

 

格安SIMカードを手に入れて旅しよう 

 ネット環境は前述の通り、宿ではいまいちのことがあるので、SIMカードが便利だ。SIMフリーのスマホを持っていこう。ヤンゴンの空港では外国人旅行者向けのSIMを売るブースがあり、しかも安い。3GBで4000チャット(約290円)、10GBで1万2500チャット(約900円)と、ほかのアジア諸国よりもだいぶ格安。アクティベートまでお任せしよう。
 小さな町でも村でもSIMを売る店はあり、そこで仕入れてもいい。日本資本も入っている国営のMPTや、ooredoo、Telenorの3大通信会社の看板はどこでも見るだろう。使いすぎてギガが尽きてしまったら、こうした店でチャージ(ミャンマーではtop upと言うと通じる)を。どこでも親切に応対してくれるはず。
 SIMを手に入れても、山中の移動ではところどころ電波が途切れる。広大な国土のかなりの部分が、深い森林や山岳地帯なのだ。こうした大自然も、ミャンマー旅行の魅力だ。

 

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3大キャリアのひとつ、ooredooのショップ。カタール資本だ

 

(次回に続く)

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

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