究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#33

旅を広げるレンタルバイク

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

 東南アジアの地方やリゾート地では定番のレンタルバイク。異国での運転はちょっと緊張もするけれど、乗ってみれば想像以上に気持ちがいい。自由さもさることながら、効率よく見どころを回れる。安全運転で走ってみよう。


 

公共交通のない場所では大活躍する 

 バックパッカーは、しばしばアシに困る。
 公共交通機関もない観光スポットに出かけてみたいと思ったときに、まずタクシーという選択肢が予算的に消えるだろう。タイなどインドシナ諸国ではトゥクトゥクやバイクタクシー、インド圏ならオートリキシャなど「準タクシー」的な乗り物もあるが、距離や時間次第でやっぱりけっこうお金はかさむし、メーターがなければ値段交渉の必要もある。ボラれることもあるだろう。
 行きにくい観光地へは、安宿などで主催しているツアーに乗っかることもできる。だけど誰に気兼ねすることなく、ひとりで回りたい気分のときだってある。
 そんなときに、レンタルバイクが活躍する。これならどこに行くのも自由だ。距離にも時間にも人にも縛られることはない。気の向くままに、好きな場所に走っていける。
 バックパッカーに人気の東南アジアやインド周辺では定番の乗り物となっていて、たくさんの外国人旅行者が活用しているのだが、日本人が乗っているところはあまり見ないようにも思う。もっと活用してはどうだろうか。

 

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タイ・サムイ島にて。アジアのビーチリゾートでは外国人旅行者もバイクを使う

 

02
こんな店を東南アジアではよく見る。バイクレンタルはちょっとした産業になっている

 

パスポートがあればすぐに借りられる 

 バイクのレンタルに必要なものはパスポート(あるいは写真付きのIDなど)だ。バイク返却時まで店が預かることになる。このルールは国が違っても変わらない。もしパスポートが必要になった場合のことを考えて、あらかじめ写真とビザ、出入国印のページのコピーを取っておくといい。
 料金はタイを例にとると24時間100~300バーツ(約360~1080円)といったところ。北部は安く、南部のリゾート地は高い。ドミトリーに泊まっていれば1泊分の宿代と同じくらいの出費になってしまうかもしれないが、それでもタクシー使うよりは断然安いし、なにより快適で爽快だ。
 それから簡単な契約書をチェックしてサインする。このとき、もしバイクを傷つけたり壊した場合の修理額も書かれている。それとバイクをぐるりとスマホで撮影するように言われることも。返却時に「ここを傷つけただろう」「いや、借りる前かたあったものだ」なんて揉めないためだ。すでに傷がついてるところはきっちり撮影しておくといい。
 バイク本体はギアがオートマティックのものが楽でいいだろう。運転が久しぶりだという人でも乗りやすい。そもそもオートマティックしか置いていない店も増えてきた。なお数日間ずっと貸し切ることもできるので、夜は宿の駐車場に停めておこう。
 手続きはこの程度の簡単なもので、10分もあれば終わる。最後に鍵を渡されてすぐに乗ることができるが、ヘルメットすら渡されないこともある。ノーヘルでも咎められない場所なんだとは思うが、安全を考え借りておくといい。
 さあ、走りだそう。

 

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ガソリンは小さな村の雑貨屋でも売っている

 

慎重にゆっくり運転しよう 

 外国でバイクを運転する爽快感は、これはもう何物にも代えがたい。公共交通と歩きだけで旅しているのと比べれば、大げさにいえば翼が生えたような感覚だ。5キロや10キロの移動なんてあっという間だ。
 公共交通機関の届かない観光スポットが目的地だったかもしれないが、それだけではない。バスや列車では通り過ぎてしまう、ありふれた小さな村や市場。外国人が絶対に立ち寄らないような場所にバイクを停めてみて、ちょっと歩いてみる。
 あのカーブの先には、なにがあるんだろう。好奇心のままに、観光地にも寄らずに走っていく。
 その自由さこそが、旅なのだと思う。バックパッカー旅を好む人なら、バイクとはきっと相性がいい。
 ただし、くれぐれも安全運転で。
 スピードはのろのろ、後続に抜かされまくるくらいでちょうどいいと思う。アスファルトがガタガタだったり、砂利やビーチの砂で滑りやすかったりもする。山道のカーブや傾斜は日本よりもずっと容赦なく険しい。とにかく慎重に、集中力をキープして走ろう。
 だからバイクを借りて運転するのは、大都市は避けたほうがいい。郊外や地方都市、ビーチ、島といった、交通量が少なく走りやすく、そして外国人向けレンタルショップの多い場所なら比較的安心だ。
 雨が降ったら無理をせずに雨宿りを。濡れたマンホールにタイヤを取られたりもするし視界も悪い。雨でなくともこまめに休んで少しずつ進む。それもまた楽しい。
 もし故障しても慌てずに。トラブルのほとんどはパンクだろう。道路事情が悪い国では日常的なので、いたるところに修理工が店を開いている。見当たらなければ誰かに聞こう。パンクしたバイクを持ち込めば、あっという間に直してくれる。
 もちろん海外旅行保険は忘れずに。万が一ケガをしたときに備えて、キャッシュレスで治療が受けられる病院が近くにあるといい。それと最近では、レンタルショップでバイク破損の保険をかけられることがある。軽微な損傷ならカバーしてくれる。
 なお外国人向けのレンタルバイクがある街なら、きっと自転車も借りられる。ただ、やはり体力を相当に使う。欧米人バックパッカーは厳しい坂道を自転車でがしがし上っていたりするが、なにをアシとするかはその人次第だ。

 

04
こちらはタイの地方でよく見る無人の給油スタンド。操作方法に迷ったら近くの人に聞こう

 

自動二輪の国際免許が必要ということになってはいるが…… 

 さて、運転にあたり気になるのは免許のことだ。日本の運転免許証はもちろん外国では使えない。
 しかし、外国人相手のレンタルショップがたくさんある国なら、その国の免許がなくてもあまり問題視はされないのだ。貸している業者も、地域の警察も、外国人が「無免」であることはちゃんと知っている。それでも観光客に配慮してそこは触れず、スルーしてくれる。

 ただし大きな事故を起こしてしまったら別だ。免許がないことが問題になるだろうし、海外旅行保険も適用されないかもしれない。また警察も時と場合によっては、外国人を狙い打って検問を張ることがある。みんな無免なのだ。外国人から罰金という名のワイロを徴収するためだ。
 面倒ごとを避けるためにも、国際運転免許証を持っているに越したことはない。「ジュネーブ条約」加盟のおよそ100カ国で通用するもので、各都道府県の免許センターや警察署で申請できる。

 ただし、日本の普通免許からつくった国際免許では、バイクは運転できない、ということになっている。日本は普通免許を取れば自動的に50ccまでの原付バイクの運転も許可されるが、海外で50ccの小さなバイクを貸し出しているところはあまりない。125cc~が多いのだが、そうなると日本の自動二輪免許を国際免許に切り替える必要が出てくる。
 ……というのはすべて建前で、現地ではそのあたり聞かれることもなく貸してくれる。もちろん事故を起こさないことを前提として、外国人を優遇してくれているのだ。とにかく安全運転を心がけよう。

 

05
バイクで走れば最高の気分と景色とを味わうことができるのだ

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

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