究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#31

台北の安宿事情

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

 アジアのバックパッカー旅を変えつつある、安くてきれいなおしゃれドミトリー宿。台湾でもすっかり普及した存在だが、いったいどんな場所なのだろうか。

 

1000円以下でベッドにありつける 

 台湾を目指すバックパッカーが増えているらしい。
 理由はたくさんある。まずLCC路線が充実していることが大きいだろう。予約する時期にもよるが、片道1万円を切ることは珍しくない。安いのだ。
 フライト時間も成田・羽田から3時間程度と近い。時差も1時間だから国内旅行感覚でいい。週末にサクッと楽しむにはちょうどいい場所なのだ。
 親日的で、親しみやすいお国柄というのはもう知っての通りだ。料理もおいしい。日本人にとって最も手軽に海外旅行が楽しめる場所かもしれない。
 しかし台湾は日本と同じ生活レベルであり、物価もたいして変わらない。屋台などの外食文化が発展しているから、庶民的なところなら食費は日本の半分以下で済むのだけれど、宿代がけっこうかかるのだ。だからバックパッカー的な旅はしづらかった。
 しかし、数年前からアジア各地でどんどん新形態のホステルが現れ、広がっていった波は台湾にも押し寄せている。
 このホステルについては本連載#18#19で詳しく解説しているが、ドミトリーが基本の安宿だ。大部屋なのだけど、カーテンや仕切りがあって最低限のプライバシーは確保され、各ベッドに電源があり、荷物を入れるロッカーなども完備。そしてなんといっても、清潔でおしゃれなのだ。シャワーやトイレはたいてい共同になっているが、こうした水回りもよく手入れされている。昔ながらの「古くてボロイがとにかく安い」というドミトリー宿のイメージを一新させた、ちょっとした革命的な存在かもしれない。
 こんなホステルが台北にもいまや数えきれないほどある。早めに予約すればベッドひとつ1000円以下で泊まれる。高いところでも2000円前後だろう。

 

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安くておいしい台湾の夜市はバックパッカーの味方だ

 

 

とにかく全館キレイでおしゃれ 

 ちなみに編集部員が泊まってみたのは台北西部、MRT西門駅から徒歩10分ほどの「台北漫歩旅店(Meander Taipei Hostel)」。入ってみると、おしゃれカフェみたいな内装にまずびっくり。ほど良く冷房が利いていて、広々としている。大きなリュックを背負った欧米人バックパッカーが出入りする。
 迎えてくれたのはやたら英語の流暢な若い女性で、タダのドミトリー客なのにまずはつきっきりで館内を案内してくれるのだ。旅人が集まってくるロビー、コーヒーや軽食などがフリーになっている共用のキッチン、洗濯機や乾燥機が並ぶスペース、開放感たっぷりの屋上。もちろんWifiは全館で強力だ。
 そして目を引くのはロビーに掲げられた大きな黒板。台北市内の楽しげなウォーキングマップだ。わくわくしてくる。台北の市内ツアーも寺巡りから旧市街散策、祭りなどのイベント探訪までたくさん用意されている。このロビーでうろうろしていれば、だれか友達はできそうだ。
 それと、ここも同様なのだけど、ホステルでは靴を脱いで入るところが多いように思う。欧米人が戸惑っていたりするが、これがアジアの作法。土足厳禁にすることで、館内もドミトリー内も清潔に保たれている。
 こんな感じの台湾ホステル、とっても居心地がいいのだけど、基本的には若者の世界。もちろん中高年だって歓迎してくれるが、おじさんおばさんはちょっと気後れしてしまうかもしれない。

 

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安宿とは思えない「台北漫歩旅店」のロビー。英語は完璧に通じる

 

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旅人たちがくつろぐ共用スペース。どのホステルも宿泊客同士の交流を大事にしているように思う

 

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ホステルはドミトリーだけでなく個室もある。中級ホテルよりも設備が整ってるところばかり

 

 

若者の集まる西門か、古い町並みも残る台北駅周辺か 

 台北では、もう市内全域にさまざまなホステルが点在している。とくに集中しているのは、西門と台北駅のまわりだ。
 西門はよく「台北の渋谷」なんて言われることもある。若者の集まる街だ。服などのショップやカフェ、レストランも多く(タピオカ屋の行列もよく見る)、賑わっていて、台湾の若いエネルギーを感じられる場所だ。
 一方で少し裏道に入ると、ローカルな風景もまだまだ残る。魯肉飯(ルーローハン)や麺線など50台湾元(約170円)くらいでお腹を満たせる食堂や、シブい飲み屋などもちらほら。そんな古い家やビルを再利用する形で、ホステルも営業しているのだ。
 そしてコンビニや食堂の合間にいきなり天后宮が現れたりして、線香の香りが漂う。都会の中のエアポケットのように、心安らぐ空間が広がる。入ってみると、ブランドショップにいそうな女子が熱心に手を合わせていたりする。西門は最先端の街並みの中にも、昔の台北が見えてくるエリアなのだ。
 もうひとつ、台北駅の周辺はかつての安宿街。どこか日本の地方都市にも似ている。煤けた感じの老朽化した旅社が並び、「住宿700(台湾)元(約2500円)」などと看板を出している。おしゃれにはほど遠いが、こういう宿だとロビーに日本語のわかるおばちゃんがいたりする。そしてドミトリーはなく個室メインだ。そんな旅社の合間に、新しいホステルも点在している。
 このあたりは庶民的な商店街が広がり、歩いていても楽しい。駅という場所柄か旅行用品店もたくさんあり、安い食堂には事欠かない。各所にあるMRT駅への階段やエスカレーターを降りれば、広大な地下街が広がっており、ここはインドネシアやベトナムなどの格安食堂、食材店も多い。移民の街でもあるのだ。
 台北駅の南側には安宿がいくつか固まっていてわかりやすい。大通りである重慶南路の東、懐寧街だ。500台湾元(約1700円)前後の旅社やホステルが並んでいる。台北駅からは台湾各地への新幹線も出ているし、バスターミナルも近い。
 西門も台北駅もMRTの複数路線が乗り入れる交通の要点でもある。どちらもアクセスはいい。まずはどちらかのホステルに泊まって、台湾の旅を始めてみてはどうだろう。

 

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西門には人気タピオカ屋がたくさん。同じ行列するなら日本より本場でしょう

 

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台北駅南、懐寧街にある安宿密集地帯

 

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台北駅のまわりには、どことなく昭和的な商店街が広がっている

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

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