究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#27

茨城空港はバックパッカーの港になるか?

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

 成田空港の北部に位置する「首都圏第3の玄関口」茨城空港。国内線のほか、近隣諸国へのLCCが就航している。アクセスに難があるのが問題だが、そこをクリアすれば中国、台湾、韓国へのゲートウェイとして使えそうだ。

 

自衛隊との官民共用空港 

 台湾を旅しているときのことだ。帰国便はどうしようかと思った。検索してみるとさすがにご近所、LCCを中心にたくさんの路線が出てきたが、タイガーエア台湾が気になった。8000円ほどという料金も良かったが、目的地が茨城というのも面白そうだった。
 台北・桃園空港からおよそ3時間30分。快適なフライトを終えると、飛行機は北関東の農村地帯へと降りていく。上空からはビニールハウスの連なりが印象的だった。
 そして着陸した茨城空港は、とっても小さなかわいらしい空港であったのだ。ボーディングブリッジもバスもない。乗客は降機すると、徒歩でターミナルビルへと向かうのだ。そして空港の敷地のすぐ外には、でっかいカメラを構えるたくさんのマニアの姿。狙いはLCCなんかではなく、自衛隊機だ。
 ここは航空自衛隊・百里飛行場との共用空港でもある。2010年に開港してから、「成田、羽田に次ぐ首都圏第3の空港」と位置づけられ、おもにLCC空港として利用されてきた。いまいち存在感が薄いながらも、実は利用者数は毎年伸びており、オープン時の約20万人から、2018年度は76万人となった。

 

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なんとなくアジアの僻地の空港みたい。飛行機を降りたらみんな歩いてターミナルビルに向かう

 

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なかなか乗り心地の良かったタイガーエア台湾

 

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とってもシンプルなターミナルビル。賑わうのはフライトがあるときだけ

 

まるで道の駅? ターミナルビルは地元の名産がずらり 

 ターミナルビルに入ると、すぐにイミグレーション。小さなスペースだ。係官もローカルな気さくさで、
「便にもよるけど、国内線は日本人と外国人が半々くらい。国際線はほとんどが外国人ですかね」
 なんて教えてくれる。
 ちなみに国内線は札幌、神戸、福岡、那覇(いずれもスカイマーク航空)。国際線は上海(春秋航空)、ソウル(イースター航空)、そして台北(タイガーエア)に飛んでいる(2019年8日現在。ただしソウル便は9月19日から約1か月運休の予定)。
 無事に日本に帰国すると、目の前にはターンテーブルがある。広い空港を延々と歩かなくてもいいのでラクなのだ。荷物だってすぐに流れてくる。このあたりは小さな空港の利点だろう。
 ターミナルビル内は茨城グッズがいろいろ売っている。出迎えてくれるのは納豆の妖精ねばーる君だ。このゆるキャラがアピールする納豆関連商品はさすがの品揃え。
 それに地元特産の干し芋、乳製品、地酒、漬物、佃煮などなど豊富に並び、空港というより道の駅のような感じだろうか。さらに自衛隊グッズはプラモデルやTシャツ、制帽などがあり、子供たちに大人気だ。
 ほかコンビニ、家電店などもあって旅に必要な品々も揃う。春秋航空が運営する免税店もある。春秋航空の利用者であれば、ここで買い物をしたぶんは手荷物の重量には含まれないのだそうだ。
 小さいながらも充実しているターミナルビルだが、レストランはいまいち。そば、うどん、ラーメン、カレーなど定番ばかりで、地元メシでもあれば嬉しかったのだが。

 

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ゆるキャラねばーる君に、ついつい土産コーナーに誘い込まれてしまう

 

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ターミナルビルは小さいので歩き疲れることもない

 

 

東京駅まで500円のワンコインバスは要予約 

 最大の問題はアクセスだろう。
 茨城便に飛びついた理由のひとつは、公式サイトの「東京駅までワンコイン500円バス!」というキャッチに惹かれたからだった(飛行機の乗客以外は1200円)。
 そこでしっかり調べなかったこちらが悪いのだが、実はこのバス1日わずか8便。日、木曜のみ運行と、火、木、土曜のみ運行がそれぞれ1便ずつあるが、それでも少ない。そして到着直後の便は台湾人の予約で埋まっており、空きがまったくなかった。うかつであった。東京駅まで500円バスを使うなら、あらかじめ予約が必須だったのだ。なお所要は2時間30分なので、時間には十分な余裕を持って動きたい。
 500円バス以外では、自家用車、タクシー、それに外国人はツアーバス利用が多いのだが、日本人バックパッカーはどれもあまり使わないだろう。となると、公共の路線バスということになる。水戸方面、常陸太田方面、つくば方面などにバスが出ているが、もっとも便数が多く、すぐにやってきた石岡行きに乗り込んでみた。客はほかに、台湾人らしきふたり組だけだった。

 

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帰路であれば、きっと買ってしまうであろう水戸納豆

 

 

海外に行くついでに、茨城も旅する 

 空港の敷地を出ると目の前にいきなり、ごぼうの直売所があった。上空から見えた畑とビニールハウスと農家が続く、とってものどかな道だ。エアポートバスなどではなく、ごくフツウの路線バスなのである。
 このあたりも過疎が進んでいるのか、シャッターだらけのさびれた町を走り、狭い路地を通り、西へと進んでいく。台湾から帰国したはずが、さらに旅が続いているような面白さ。
 バスは途中から専用レーンに入り、こんな田舎であるのに、高台に整備された直線路を走っていく。後から知ったが、ここはかつて鹿島鉄道が走っていた廃線跡らしい。路盤を再利用してバスを走らせているのだ。これも好きな人にとってはたまらないかもしれない。
 30分ほどのドライブで、JR常磐線の石岡駅に到着した。駅から伸びる商店街を歩くが、やはり寂しい雰囲気が漂う。学校帰りの子供たちが家路に着くと、ひと気はなくなってしまった。しかし旅気分を十二分に楽しみながら空港と行き来できるのはバックパッカー的にはポイントが高い。
 茨城空港から石岡駅までは620円。石岡駅から都内まで行くとしたら、北千住まで1時間10分1317円、上野まで1時間20分1490円だ。お金だけを考えるなら、やはり500円バスが一番だろう。
 ただ、茨城にあまり来ることがない人にとっては、海外旅のついでに茨城を見ることができる。中国、台湾、韓国を目指す旅なら、考えてみても面白い。

 

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石岡もシャッター街が目立ったが、昭和初期の歴史的な建物もある

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

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