台湾の人情食堂

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#25

台湾が一人旅に向いている7つの理由

文・光瀬憲子    

 

 一人メシ、一人映画……昨今では臆することなく何でも「一人」でチャレンジする人が多い。私のまわりでも「一人旅」を実践する人が目立ってきた。先日、名古屋のカルチャーセンターで講師を担当した台湾一人旅講座にも80人以上が集まり、関心の高さに驚かされた。受講者は中高年層が多かったが、時間的にも経済的にも余裕ができると、自分の時間を自分だけのために贅沢に使える一人旅に魅力を感じるのかもしれない。

 台湾は、一人旅初心者には最適な渡航先だ。今回は台湾が一人旅に適している7つの理由と楽しみ方を挙げてみた。

理由その1、外国人に親切  

 台湾人は親切だ。台湾を訪れたことがある人なら誰でも、台湾人に親切にされたり、親身になってもらったりした経験が一度や二度はあるはず。困っている外国人を見ると放っては置けないのが台湾人だが、これには根拠がある。

 台湾人とひとことで言っても、実際には台湾人(本省人)、戦後台湾に渡った外省人、独特な文化背景を持つ客家人、古くから台湾に住む先住民などが存在し、もともと多民族国家なのだ。このため、他の民族と調和してうまく暮らす方法を古くから身につけており、自分と違う文化や言葉を大らかに受け止める人が多いのだ。だから外国人に親切に、穏やかに接することを当たり前だと感じている。

 

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台北の下町酒場「祖師廟口自助餐」で、常連客と談笑する筆者。高齢者が集まる店には日本語を話せる人が多い

 

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阿里山で立ち寄ったコーヒーショップのオーナーとスタッフは先住民のツォウ族の人だった

理由その2、日本に対する関心が深い  

 台湾人は日本をよく知っている。日本のテレビ番組や雑誌が普及している台湾では、日本人が思う以上にみな日本のことをよく理解している。これには日本時代を過ごしたお年寄りの影響も大きい。日本人として、日本語を話して暮らした人たちが、まだ台湾には大勢いる。そんな彼らが、子供や孫に日本のことを話し、日本人の考え方や文化を伝えている。

 

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いたるところで日本の食べ物のお店に出合う。写真は台北駅構内の寿司店

理由その3、一人メシが当たり前  

 台湾では一人メシが当たり前である。夫婦とも働きが多く、3食すべてを外で食べる人も少なくない。そうなると必然的に一人で食べることも多くなる。屋台にしても、食堂にしても、一人で食事している人が多い店には、外国人旅行者も一人で入りやすいというわけだ。

 さらに、台湾の食べ物は1人前が少なめで、1人で1品だけ頼んでも嫌な顔をされない。あちこちの食堂や屋台で、つまみ食い感覚で食べ歩きが楽しめる。

 

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台北、福華大飯店(ハワードプラザホテル)2階「珍珠坊」には、北京ダックのハーフサイズがあるので、1人でも利用しやすい

 

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台北にある一人鍋専門店のカウンター

 

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半屋台のような食堂でも女性が一人で食事している

理由その4、漢字文化圏  

 台湾では日本で見慣れている漢字に近い繁字体が使われているため、看板やメニューを見ただけで、おおよその意味がわかる。

 筆記用具を携帯していれば、いざというときに筆談で店の人やタクシーの運転手さんとコミュニケーションが図れるのでとても便利だ。

理由その5、スマホが活躍する  

 同じ漢字文化圏ということもあり、スマホを活用すると一人旅はぐっと便利になる。これにはWi-Fiルータのレンタルが必要になるのだが、台湾旅行向けのWi-Fiルータは日本でレンタルしても1日当たり400~500円と非常に安い。

 私はいつも日本からネットで申し込み、台湾の桃園空港でピックアップできる「iVideo」(http://www.ivideo.com.tw/japanese/)を利用している。これだと一週間レンタルしても2000円程度。ただし、旅行中は1日中ルータを持ち歩くため、バッテリーが切れてしまいがちだ。そんなときのためにバッテリーも一緒にレンタルするプランがあるが、日本で独自に買ったものを持参してもよい。スマホやルータ用のバッテリーは日本でも数千円で手に入るので、これを持っていればバッテリーのレンタルは不要。ルータ充電用、スマホ充電用などのUSBケーブルを忘れずに。

 Wi-Fiさえ用意しておけば、台湾では離島や山奥でもかなりの確率でWi-Fiがつながる。TwitterやFacebookなどのSNSを活用している人なら、一人旅の様子を随時友達とシェアできるし、すぐに反応も返ってくるので、一人旅でふと寂しくなったときも癒されるだろう。

 また、常にインターネットがつながっていれば、現地で知り合った人ともSNSでつながっていられる。台湾人もFacebookやLINEを活用している人が多いので、LINEを通して帰国後も連絡を取り合い、次に台湾に行くとき、または親切にしてくれた台湾人が日本に来たときに恩返しができる。Facebookは台湾でも本名で登録することが基本なので、旅先でたまたま知り合った人でもその人の背景や交友関係がすぐにわかり安心だ。

 

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新竹の市場で鍋の店の行列に並んでいたら話しかけてくれた台湾人男性。以後、彼らが日本に来るたびに筆者が案内する仲に

 

 また、スマホの翻訳アプリも便利だ。無料のものも多いので現地で試してみるといい。あらかじめGoogle翻訳、Free Voice Translator、VoiceTraなどをダウンロードしておこう。どれもスマホに日本語で喋りかけると、その場で北京語や英語など、指定の言語に翻訳して音声で聞かせてくれる。

 Google翻訳でマイクのアイコンを押し、「台北駅へはどう行けばいいですか?」と日本語で喋りかけると、話すそばから同時通訳のように北京語に翻訳され、北京語の音声が再生される。機械翻訳なので完璧ではないものの、旅先で活用するには十分だ。

 Google翻訳にはほかにも手書き入力した文字をすぐに認識し、北京語に変換してくれる機能もあるので、たとえば読み方がわからない漢字を指で入力して認識させ、発音までチェックすることができる。

 

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翻訳アプリの使用例、「台北駅」の翻訳画面

 

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翻訳アプリの使用例、「台北駅へはどう行けばいいですか」の読み上げ画面

 

 さらにおもしろいのはカメラ翻訳機能。写真で撮った文字をスマホが認識し、日本語に訳してくれる。これは食堂などでメニューが読めない、どんな食べ物なのかわからない、というときに大いに役立つ。

 たとえば台湾の食堂のメニューが読めない場合。Google翻訳のカメラアイコンを押し、メニューの写真を撮る。するとアプリに北京語のメニューが表示されるので、知りたいメニューを指でなぞると、そこだけ日本語が表示されるという、まるで魔法のようなアプリだ。言葉の壁が少し低くなるだけで、一人旅はぐっと楽しくなる。

 

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翻訳アプリのカメラ翻訳機能でメニューを撮ったときの画面

理由その6、治安がよい  

 夜市ならば人出が多いので、一人でも夜11時頃までは楽しめる。都心ならコンビニが多く、道路も明るい。ただ、気をつけたいのは夜中の外出。夜中に何か足りないものができてコンビニに買いに行きたくなった場合、やはり女性一人でウロウロするのは危険なので、昼間のうちにホテルから一番近いコンビニの場所を確かめておくと、コンビニを捜して歩き回らずに済むので安心だ。

 また、タクシーは一人で利用しても安全だが、なるべく車体がキレイなタクシーを選ぶとよい。自分の車をきちんと手入れしている運転手さんは、お客さんにも親切で、誠意を持って仕事をしているからだ。

理由その7、都市構造がわかりやすい  

 台北を例に上げると、台北を東と西に分ける「中山路」と、台北を北と南に分ける「忠孝路」という2本の目抜き通りが台北を十字状に走っている。中山路よりも西にある道路には○○西路という名前がついていて、東にある道路は○○東路という名前がついている。また、建物の番地もしっかりしているので、道路の名前と番地さえあれば目的地を見つけやすい。

 こんなふうに、台湾のあらゆる条件が一人旅を後押ししてくれる。朗らかで器の大きい台湾人なら、一人で訪れるあなたをきっと歓迎してくれるはずだ。

 拙著『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』には、一人でも利用しやすい食堂を多く取り上げているので、ぜひ活用していただきたい。

 

 

 

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『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』 

定価:本体1200円+税

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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