料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

#24

パリ(前編)

 

 

パリ;シャルティエ カルゴ

 

 

何度も訪れているパリ。
パリに着いた晩は、予約のいらない大衆食堂へ

 

 

■若者のグループから年配の常連客達で賑わう「Chartier(シャルティエ)」

パリへはこれまで200回近くは出かけていて、海外では最も旅慣れた場所なのですが、この連載では初登場です。
パリのホテルも最上級から安価な宿まで、少なくとも50軒は泊まっていると思います。最上級は「リッツ」「クリヨン」「ブリストル」「プラザ・アテネ」「ジョルジュ・サンク」それに「ムーリス」が古参の代表格で、どこもパリならではの雰囲気が漂っていますが、もし、1軒選ぶとなると、私のお気に入りは「ブリストル」です。いつかこの連載で詳しくご紹介出来たらいいですね。
ホテルの3本柱は「安全」「清潔」「静寂」です。いろいろと泊まり歩いているうちに、いつしか定宿ができました。メトロのグラン・ブールヴァールからほど近い「Acadia」です。いつでも1泊2万円以内で泊まれます。本来なら、自分がさんざん泊まり歩いた末に見つけた宿など紹介したくないのですが、今回だけは、このホテルの近くの食事処も紹介しますので、内緒にするのをやめました。といっても、それほど秘密にしておくことはないのですけど。
なにしろ便利なのです。まずは、パリに着いたその晩出かけるにはうってつけのレストランや朝食に美味しいクレープやワッフルが食べられる店が、至近距離にあるのです。それを一つ一つご紹介してまいりましょう。
1軒は「Chartier(シャルティエ)」。予約のいらない大衆食堂です。しかし、天井の高い食堂は歴史的建造物に指定されていて、そこで若者のグループから年配の常連客達がわいわいがやがや、賑やかに楽しそうに食事しています。これぞ、パリ!といった感じなのです。必ず、注文するのは「茹でたポロ葱のクリーム」と「エスカルゴ」。そして、主菜は「ポトフ」か「シュークルート」か「鴨のコンフィ」、どれも、フランスの郷土料理、大衆料理です。デザートは「ババ」にとどめを刺します。パリに着いた晩ですから、頭を使わなくてよい、ひたすら懐かしい料理がいいのです。給仕がテーブルに敷いたペーパーにオーダーを書き込み、最後はそれに値段をつけて、暗算でお会計となります。ワインを飲んでいるうちに眠たくなっても、宿は目と鼻の先。夜は11時まで営業していて、まことに便利です。パリの名だたるレストランをよくご存じの食いしん坊も「シャルティエ」を知らない方がほとんどで、お連れするとどなたも喜んでくださいます。なかには「マスヒロさんは、こういう安食堂までご存じなのですね」と仰る方がいらっしゃいます。40年も前からパリを食べ歩いていれば当然ですよね。
「シャルティエ」へ出かけたことがある方ならば、ホテルからタクシーで15分ほどの「CoqRico(コクリコ)」という鶏料理専門店がお薦め。この店は次回にご紹介しましょう。
朝食は、ホテルの地階で食べずに、「シャルティエ」の目の前にあるクレープとワッフルの専門店が朝から開いていて、そこへ出かけて簡単に済ませたいときには、クロワッサンとカフェ・クレーム(パリではカフェオレをこう呼びます)。朝ごはんをいただくうちに、パリに馴染み始めた自分に気付き、爽快になってきます。
次回は「パリ (後編)」です。


 

 

 

 

■「Chartier(シャルティエ)」  PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO

 

ym24paris1 ym24paris2 ym24paris5
エスカルゴ
 
ポトフ シュークルート


 

 

 

ym24paris3 ym24paris4  
テーブルに敷かれたペーパー
 
オーダーに値段をつけて、お会計
 
 

 

 

ym24paris7 ym24paris8  
パリ9区、赤いネオンが目印
 
1日中賑わう店内  

 

 

 

 

■「Les meilleures galette & crêperies de Paris」  PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO

 

ym24paris9 ym24paris10 ym24paris11
「シャルティエ」の目の前にあるクレープとワッフル専門店
 

 
ハムと卵のクレープ
 

 
クロワッサンとカフェ・クレーム
 
 

 

 

 

 

 

■「Chartier(シャルティエ)」

 

住所/7 rue du Faubourg Montmartre 75009 Paris 
問い合わせ/+1-47-70-86-29
営業時間/11:30-22:00
定休日/無休


http://www.bouillon-chartier.com/  (フランス語・英語)

 

*この連載は毎月25日に更新です。次回はパリ<2>へ。

 

 

山本さん顔

山本益博(やまもと ますひろ)

1948年、東京・浅草生まれ。早稲田大学第ニ文学部卒業。卒論が『さよなら名人藝―桂文楽の世界』として出版され、評論家としてスタート。幾度も渡仏し三つ星レストランを食べ歩き、「おいしい物を食べるより、物をおいしく食べる」をモットーに、料理中心の評論活動に入る。82年、東京の飲食店格付けガイド(『東京味のグランプリ』『グルマン』)を上梓し、料理界に大きな影響を与えた。長年にわたる功績が認められ、2001年、フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを受勲。2014年には農事功労章オフィシエを受勲。「至福のすし『すきやばし次郎の職人芸術』」「イチロー勝利への10ヶ条」「立川談志を聴け」など著作多数。 最新刊は「東京とんかつ会議」(ぴあ刊)。

 

 

料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」
バックナンバー

その他のTRAVEL

ページトップへ戻る

ページトップへ戻る