究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#23

海外へのお金の持っていき方

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

 現金だけで旅をしているバックパッカーは、安全面を考えてもさすがに少ないだろう。ほとんどの人は、手持ちの現金は数日分の生活費に留め、カードを駆使している。皆さんどんなカードを使って、どう旅しているのだろうか。
 

 

いまや途上国の小さな町でもATMがある 

 この10年ほどで、途上国でも一気に普及したもの……そのひとつがATMだろう。アジアを例にとってみると、カンボジアやラオスの小さな地方都市や村でもいまではATMを見る。道路の舗装すらろくにされていないような村にぽつりとATMがあって、そこに民族衣装をまとった少数民族が並んでいたりするのだから時代は変わった。
 大都市に行けば、それこそどこにでもATMがある。コンビニ、地下鉄などの駅、ホテル内、ショッピングセンター、街角のビルの壁面……その密度は日本を上回っているだろう。
 この全世界的ATM網の拡大によって、バックパッカーの旅も大きく変わった。カードを駆使して旅することが一般的になったのだ。小額の現金+カードという組み合わせで世界を駆けていく。
 いまも昔も、旅先では多額の現金を持ちたくないのは当然のことだ。だからカードやATMが普及していない頃は「トラベラーズ・チェック」という小切手を持って旅をするのがバックパッカーたちの、ある種の常識だった。これは購入時に自分でサインをするのだが、現地銀行での窓口でもやはり同じ筆跡でのサインが求められ、行員がそれを確認してから両替するという仕組みだった。加えて紛失時には再発行される。安全だったのだ。
 しかし面倒でもあった。現地の銀行では手間取られることも多い。小さな銀行ではトラベラーズチェックに対応していなかったりもした。事前に日本の銀行で購入する必要もある。それはそれで「いざ
出発」の気分を盛り上げてもくれたが、世のグローバル化とマネーの流動化が進んだ現在、トラベラーズチェックはその役割を終え、日本では発行が終了。その代わりに安全なお金の持ち運び手段として、バックパッカーたちはカードを手にした。

 

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ラオス中部、パクベンにて。小さな村にもATMの勇姿が

 

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こちらもラオス、北部のルアンナムター。市場のはずれのぽつりと立っていた

 

どんなカードを持っていけばいいのか 

 カードはおもにふたつだろう。クレジットカードとデビットカードだ。
 クレジットカードは最低でも1枚は持って旅したい。とりわけ欧米ではキャッシュレス化が進んでいて、小額の支払いでもクレカ払いが多くなっている。レンタカーを借りるときの身分証明として提示を求められたりもする。
 そしていまでは、ゲストハウスでもLCCのチケットでも、あらかじめネットで予約しつつ旅を進めていくバックパッカーが増えている。列車やバスなども同様だ。もちろん支払いはカードとなる。すると「宿」「足」という、旅の予算の中でも大きな比率を占めるものについて、現金要らずとなるわけだ。あとは現地ATMから小額ずつ引き落として、日々の生活費にあてて旅をする。
 デビットカードも基本的な機能は一緒だが、大きな違いは引き落としされる時期だ。クレジットカードは使用から1、2か月後というところが多いだろう。一方でデビットカードは、口座から即時、一括で引き落とされる。そして使えるのは口座の残高まで。クレジットカードだと残高がなくても使用限度額まで使えるので、ちゃんと管理していないと「つい使いすぎて」ということがある。また分割払いにすると金利がかさむ。しかしデビットカードであれば「歯止め」が自動的にかかる。
 いまはクレジットカードでもデビットカードでも専門サイトやアプリが充実していて、使用ごとに通知があったりするので、旅の予算はしっかり把握しておこう。
 プリペイドカードという手もある。デビットカードと似ているが、審査がなくカンタンにつくれる。こちらは事前に口座にチャージしておいて、使えるのはその額まで。
 それぞれ使用や、現地ATMでの引き出し(クレジットカードの場合はキャッシング)には手数料が必要だ。これが各サービスによって異なっている。さらにポイントやマイルが貯まるカード、初年度は会費を無料にしているカード(1年間だけ使って解約する裏技を使うバックパッカーも……)など、各社サービスにしのぎを削っている。まずは自分が口座を持っている銀行や、ふだん使っているカードの海外での手数料などを調べて検討してみよう。

 

03
タイではマクドナルドにもしっかりATMが併設されているなど、至るところにある

 

どうやってATMから現金を下ろすのか

 海外でのATMの使い方はカンタンだ。どの国もほとんど共通。まずカードを入れると、たいてい言語の選択画面が出てくるだろう。タイや韓国では日本語を選べるATMもあり、この場合は迷うこともないだろう。
 そうでなければ英語を選択。PIN(暗証番号)を入力すると、操作画面になる。Withdrawal(引き出し)を選び、金額を入力。単位はもちろん現地通貨のものだ。いろいろな額が表示されるが、異なる金額を下ろしたかったらOther Amountから入力を。そして最後にどの口座から引き落とすのかを選ぶ。クレジットカードならCashingやCredit Account。デビットカードやプリペイドカードはSaving Accountということになる。
 そして出てきたお金をしまって終了。このときカードの取り忘れには注意。日本のATMはまずカードが戻ってきてから現金が出てくるが、海外だと逆のこともある。現金をちゃんとしまわなくては、と気をとられて、後から出てきたカードのことを忘れてしまうイージーミスは意外とある。日本のようにカードが挿しっぱなしだと警告音が出るATMもあまり見ない。

 

04
タイではカシコン銀行などのATMが日本語対応

 

それでもやっぱりトラブルはある 

 カードの取り忘れだけでない。海外ではときどき、カードを飲み込みそのまま沈黙してしまうATMもけっこうあるのだ。機械の誤動作なのだが、もし周囲になにもない、夜の路上のATMだったりするとどうしようもない。ATMには緊急連絡先も書いてあるが、ろくに英語も通じず、通じたところで対処には時間がかかる。また飲まれたカードが戻ってきても、その後の使用を差し止められる場合もある。対策としては、銀行の店内などにあるATMを、営業時間内に使うことだろうか。もし飲まれてしまっても、すぐ行員に相談できる。
 そして必ず2枚以上のカードを持って旅することだろう。万が一の事態となっても、もう1枚あればしのげる。この複数のカードはブランドをわけよう。VisaとMasterの2種を持つというバックパッカーが多いようだ。JCBはアジア中心。店によっては使えるブランドが限られていることもあるので、2種以上あれば安心だ。
 またATMは、ローカルな地元銀行発行のカード限定というものもある。日本で発行されたものが使えないのだ。国際ATMネットワークであるCirrusやPLUSのマークがあれば大丈夫だろう。いくつかATMが並んでいたら、このマークを探すといい。
 それといくらATMが普及してきたとはいえ、僻地はその限りではない。山間部や離島などに分け入っていく旅をしていれば、ATMが見当たらないところだってまだまだある。そんな場所を目指すなら、事前に多めの現金をあらかじめ引き出しておこう。またイランは国際的な金融システムからハジかれてしまっており、国内のATMはすべてローカル仕様。クレジットカードも使えない。現金のみで旅をすることになるので管理には十分気をつけて(#14も参照)。
 最後にスキミング対策。カードの情報を読み取られて不正使用されてしまうという犯罪だが、最近は非接触型のカードも増えてきた。自分で機械にかざすだけで、相手にカードを預けないので安心度が高いといわれる。また磁気ストラップ部分をスライドさせるタイプのカードではなく、ICチップ内蔵のカードのほうが情報が読み取られにくい。
 非接触型ですら特殊な電波で読み取ってしまうケースも出てきているが、その電波を遮断するケースや財布というのもある。旅行用品店やネットでも販売されている。
 ATMに不正読み取りのメカが取りつけられていることもあるので、あやしい機器にも注意。それと暗い裏路地のATMは避けよう。スキミング以前に強盗の危険もある。
 スキミング被害に遭ってもたいていカードの付帯保険でカバーされるし、不正利用がわかれば通知が来る。とはいえふだんからカードの利用状況はこまめにチェックしておきたい。

 

05
タイのコンビニでは必ず猫や犬がいて、現地通貨が引き出せるATMがある

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

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