琉球島猫百景
#20
〈番外編〉 雨の日の猫たち
写真・仲程長治 文・シマネコキネマ
島猫たちは天然仕様の雨宿
大雨の日、ティーリーフを傘にしてじっと雨宿り
2月の沖縄は、1月末に開花した寒緋桜が満開を迎えて、ほんのりと春の気配が漂い始める。とはいえ不安定な天候も多く、急に風向きが変わって大雨が降り出すこともある。夏日になったかと思えばまた寒くなったりで、人間たちも体調を崩しがちなこの季節を、外で暮らす島猫たちはどんなふうに過ごしているのか? 冷たい雨から身を守れているのだろう?と、雨が降り出すたびに心配していた。
映画『Nyaha!』に桜公園のさくらねことして出演してもらった“なちぶ〜”の雨宿り
大きなガジュマルは根っこの影や木のうろなど、島猫たちの頼もしい雨宿り場所だ
シマネコキネマの事務所裏にある公園には、たくさんの野良猫たちが暮らしている。広い公園内にはベンチがあるだけで東屋などはないのだが、ガジュマルやアコウ、デイゴなどの大木が日除け、雨除けになって彼らの暮らしを見守っている。また、珊瑚礁が隆起してできた島の成り立ちに由来する琉球石灰石の小さな洞穴も点在している。そうした場所は御嶽や拝所であることも多く、戦時中には防空壕として人間たちの生命を守っていた。そして今は野良猫たちの避難場所として、小さな命たちを守っている。
天然の小洞窟に入れるのは先着1匹のみ。この日はサビ猫が早々に収まっていた
雨が止むまでとにかくじっと待つしかない。悟りを感じさせる眼差し
雨の日の猫たちは実に哲学的だ。大きな葉の下や木のうろに身を隠して、とにかくじっとしている。雨音を聞き、風の気配と湿度を感じながら、雨雲が通り過ぎるのをただただ静かに待つのみだ。天然の雨宿り場所では雨風が強くなると体が濡れてしまうこともあるのだが、そんな時でも雨に打たれるまま、日頃から手入れをしている毛皮の上を雨粒がすべり落ちていくままである。この忍耐力、現代の人間たちにあるだろうか?
水たまりは猫の鏡。雨ふりの日には自分の顔を確認しているのかも?
毛が濡れるのは命とり。野良猫たちはそれぞれに自分の雨宿り場所を持っている
「ようやく上がりましたね.. 」という顔つきで、そろりと穴から出てきた
*島猫映画『Nyaha!(ニャハ!)』上映情報は公式フェイスブックをご参照ください。
公式フェイスブック→https://www.facebook.com/nyaha28/
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*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!
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仲程長治(なかほど ちょうじ) 1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。20代の頃より沖縄県内であらゆる分野のアートデザインを手がける。琉球・沖縄の文化誌『モモト』の撮影とアートディレクションを32号まで担当。2018年冬に沖縄本島北部で開催された「やんばるアートフェスティバル2018-2019」の総合ディレクター。現在、西表島の自然と暮らしをテーマにしたドキュメンタリー映画を撮影中。 |
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シマネコキネマ 島猫映画『Nyaha!』(ニャハ!)(撮影・編集・監督/仲程長治、音楽/宮沢和史、脚本原案/仲村清司)の制作プロダクション。 沖縄の猫メディアの面々と共に、沖縄の島猫の地位向上を目指す「島猫力向上委員会」を発足、「ニャハ市長選」などを企画・開催している。 |