旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#17

韓国ドラマ考察〈8〉犬も歩けばチキン屋に当たる?

文・『韓国TVドラマガイド』編集部 /高橋尚子

 

韓ドラ定番食にチキンが台頭! 

 ドラマは文化を、その国の食を映し出す。

 というわけで、これまでは韓国ドラマの食といえば、サムギョプサル! 豚を焼いて葉物に巻いて食う! なイメージでしたが、ここ数年、韓ドラ定番食にある変化が生じている模様。それは、チキンの台頭です!

 ドラマを見ていると、出てくる出てくる、チキンを食べつつビールを飲むの図が。登場人物の店がチキン屋というケースも多く、大ヒットドラマ『トッケビ(原題)』では、死神(イ・ドンウク)が一目惚れする女性ソニ(ユ・インナ)がチキン屋のオーナーだったり、『私の心が聞こえる?』ではヒロイン、ウリ(ファン・ジョンウム)の幼なじみスンチョル(イ・ギュハン)がチキン屋修行の果て、自分の店をオープンさせたり(いい話です)、『私の心きらきら』では、小さいけれど味は確かなチキン屋の三姉妹と大手フランチャイズチキン店の息子の因縁が描かれていたりと、あげればキリがありません。

 ここで誤解のないようにことわっておきますと、韓国でチキンといえば、「フライドチキン」です(その他の鶏料理は、タッカルビ(鶏と野菜の炒め料理)、タッカンマリ(鶏の水炊き)、タッパル(鳥の足の甘辛焼き)…と、それぞれ料理名で呼ばれます)

 実際、ソウルの街はそこらじゅうチキン屋だらけ。日本のコンビニばりの乱立、犬も歩けば棒に当たる状態です(チキン屋の店舗数は、日本のラーメン店の数を上回るそう)。

 

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『私の心きらきら』では韓国のチキン屋事情が知れる!©SBS

 

 

「サムギョプサルと焼酎」か「ビールとチキン」か 

 もともと人気のチキンでしたが、あるとき、ビールとの組み合わせにより大脚光を浴びます。その火付け役となったのが、キム・スヒョン×チョン・ジヒョン主演の大ヒット作『星から来たあなた』の、あるシーン、あるセリフでした。

 劇中、盲腸で病院に運ばれたトップ女優のヒロイン、ソンイ(チョン・ジヒョン)は、窓の外の初雪を気づき、こう言います。

「初雪の日は……チキンにビールよね」

 付き添うハメになった隣人ミンジュン(キム・スヒョン)は、「初雪の日は…」のあとに、ロマンチックな言葉を想像していたものだから、がっくり(笑)。さらに、ソンイは、「ギアラ(牛ホルモン)に焼酎、豚の皮もいい。海鮮チヂミにマッコリも」と、続けるのですが(笑)。

 フォローしておきますと、実はソンイにとってチキンは、家を出ていった父親が幼い頃によく買ってきてくれた思い出の食べ物。初雪=チキン=父との思い出につながっておりました。

 とにかく。この「初雪の日は、ビールにチキン」というセリフによって、“チメク”(チキンの“チ”に、メクチュ(ビール)の“メク”を付けた造語)が大流行になるのです。

 確かに、韓国ではサムギョプサルに焼酎、チヂミにはマッコリ、という組み合わせが定番。そこに、昨今はチキンとビール、という組み合わせが新勢力として伸してきているわけです。

 

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©HB ENTERTAINMENT 韓国のみならず中国でも空前の“チメク”ブームを巻き起こした『星から来たあなた』

 

 

「いつでも、どこでも、すぐに!」のチキン文化 

 しかし、サムギョプサルやチヂミとチキンが大きくことなる点があります。それは、「いつでも(ほぼ)どこにでもデリバリー可!」ということ。

 それを証明するエピソードが、『恋のゴールドメダル〜僕が恋したキム・ボクジュ〜(原題:力動妖精キム・ボクジュ)』にありました。このドラマのヒロインは、体育大の重量挙げ選手ボクジュ(イ・ソンギョン)で、チキン屋の娘です。店が忙しいときは学校の合間にデリバリーの手伝いもします。

 そんなある日、同じ大学の水泳選手ジュニョン(ナム・ジュヒョク)は後輩にチキンをおごることになり、美味しいと評判のチキン屋にデリバリーで注文。チキンを持って現れたのが、ボクジュなのです。このときの代金を巡るボクジュとジュニョンのやり取りは、不器用な恋心が絡んでいて愉快かつ微笑ましいのですが、気になる方は本編を見ていただくとして。

 何に驚くって、大学に着いたボクジュは、広い構内で「福チキンです~。注文された方はどこですか~」と大声で注文客を探し歩くのです。◯◯大学の◯◯室に、という指定ではなく、◯◯大学の構内に、というざっくりした場所の指定でデリバリーできてしまう。

 

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ボクジュの豪快な食べっぷりも魅力の『恋のゴールドメダル〜僕が恋したキム・ボクジュ〜』©2016-7 MBC

 

 ドラマのなかのチキンについては間接広告である可能性もなきにしもあらずですが、にしても、違和感がないほど、チキンは韓国人が日常よく食べるもののひとつというイメージ。サムギョプサルのように道具がいらないため場所も問わず、「いつでも・どこでも・すぐに」を好む韓国人の心を掴んだのもしごく納得です。実際、散歩中の漢江沿いで、さらに滞在中のホテルの部屋で、チキンがデリバリーされる様を目の当たりにしたときは、この情景が「当たり前」のチキンはやはり韓国のソウルフード!と思った次第。

 加えて、韓国の友人に言わせれば、「チキンは韓国が一番!」という自負もあるようで、たびたび味の深さを説かれます(笑)。基本の味は、日本のフライドチキン的なもの(というか、ケンタッキー風)と、韓国ならではのヤンニョムチキン(コチュジャンベースの甘辛だれ味)。各店オリジナルの味付けもありますが、人気はこの2種です。

 そして、確かにビールに合う(とくにヤンニョムチキン)! そのうえ、「手で持って、豪快にかぶりつく」という食べ方が、美味しさを倍増させるマジックとして効いているのです。

 

 

「丸ごと調理し、豪快に食す!」が生む鶏マジック 

 さて。韓国人がチキンを好むのは、何も今に始まったことではありません。フライドチキンは最近のものだとして、サムゲタンやタッカンマリ(水炊き)は、以前からドラマでよくお見かけしていたメニュー。いずれも鶏を丸ごと煮込むものですが、これに慣れない者はどーんと目の前に出された鶏一羽に驚く(戸惑う)ことも多々。この鶏を手で割いて(むしって)、人の皿に乗せては、食え食えと勧める場面を、ドラマはもちろん韓国人との食事の席で、どれだけ見てきたことか。

 思えば、豚にせよ鶏にせよ、そのまま大胆に調理し、切り分ける、というのが韓国の食文化。こと鶏に関しては1羽まるごと調理することが少なくなく、そんな状態の鶏肉は箸で切って食べるより、手で割いたり手で直接持って食べた方が数倍食べやすい!!

 つまり、鶏を食べる=手で持って豪快に食す=原始の血が騒ぐ=うまい!!!

 という脳内変換が起きるのではないかと思うのです。

 ちなみに、最近では『雲が描いた月明り』で、男装ヒロインのラオン(キム・ユジョン)が自ら捕まえたヤマドリ(地鶏)を煮たものを、ヨン(パク・ボゴム)に「もてなす」場面がありました(割いて渡すのではなく、骨付きの足の部分をそのまま差し出していたけれど)。

 

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手渡しで”ふるまわれた鶏の食事で心掴まれた王世子ヨン!『雲が描いた月明り』

Licensed by KBS Media Ltd. (c) Love in Moonlight SPC All rights reserved

 

「唐揚げの国」である日本人の私は、手が汚れるの(口の周りも)に抵抗はあり、まるごとどーんな鶏料理は一瞬戸惑いますが、やってみると実にハマる食べ方であることは否めず。やはり初雪の日かどうかはさておき、「韓国に行ったら、チキンとビールよね」と思うのです。

 

 

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発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

[2013/全21話]出演:チョン・ジヒョン、キム・スヒョン、パク・ヘジン

 

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『雲が描いた月明り』

BD-SET1&2 価格:各21,000円

DVD-SET1&2 価格:各19,000円

発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

[2016/全18話]出演:パク・ボゴム、キム・ユジョン、ジニョン(B1A4)

 

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『恋のゴールドメダル〜僕が恋したキム・ボクジュ〜』

2017年11月8日(水)DVDリリース&レンタル開始!

発売元:コンテンツセブン 販売元:TCエンタテインメント

[2016-17/全16話]出演:イ・ソンギョン、ナム・ジュヒョク、イ・ジェユン

 

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『韓国TVドラマガイド』編集部

韓国のTVドラマ、映画、K-POP総合情報誌『韓国TVドラマガイド』(双葉社スーパームック・偶数月22日発売)編集部。本誌では人気スターのインタビューやドラマの詳しい解説、DVDリリース情報、テレビ番組表、現地エンタメの最新情報も掲載。編集部公式ツイッターはこちら→https://twitter.com/kankoku_tvguide

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