旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#14

韓国ドラマ考察〈7〉キンパッに思いを乗せて

文・『韓国TVドラマガイド』編集部 /高橋尚子

 

定番アイテム、キンパッ(海苔巻き) 

 良い気候になり、花見や山歩き、ちょっとしたランチなど、外でお弁当でも…という気分の今日この頃。お弁当は何かな?というワクワク感に加え、この“外で食べる”って行為がいいんだよなぁ。

 というわけで、思い出したのが、10年近く前、韓国ドラマの地方ロケ取材に行ったときのことです。撮影現場がソウルから離れていたこともあり、プレス関係者が1台のバスに乗り込み、道中おやつの時間をとりつつ、片道2~3時間かけて訪ねるという、ちょっとした遠足気分で向かったこの取材。その遠足感を高めたのが、「おやつ」として皆に1本ずつ配られたアルミの物体、つまり、キンパッ(海苔巻き)でした。

 当時まだ韓国慣れしていなかったわたくし、手にずしっとくるほどの重いホイル巻きに、「これは何ぞや?」だったわけですが、なかを開けばなんてことない、日本でいう巻き寿司で、1本丸ごとで渡されたものだから「恵方巻きか」と理解した次第。端から具材が大胆に飛び出した状態のそれに、良くいえば“手作り感・出来たて感たっぷり”、正直に言えば“雑だな、おい!”という第一印象です。

 でもまぁ、巻き寿司は味を知っているもの、安心感もあり、なんの迷いもなくかぶりついたわけですが、ここで再びきょとん。「す、酢飯じゃない…」。この衝撃はかなりのもので、韓国料理において、見た目と実際の味で裏切られた最初の体験だったかもしれません(悪い意味じゃなく)。以来、手軽に食べられ、街中どこでも買えるキンパッ(しかも安い)は、韓国に行った際、ほぼ必ず食べる小腹満たしフードとなってしまうわけですが。

 

 で、このキンパッ、韓国ドラマでも出てくる出てくる。しかも、公園デート用、意中の男子に何かのお礼をしたいとき、女子が気合を入れて作る定番アイテムってな利用法です。手軽なお弁当という意味では「おにぎり」の立ち位置に近そうですが、男の胃袋を掴むシンプル料理という意味では、ある種「肉じゃが」に近いのか?いや「卵焼き」レベルか?などと想像。

 

 

『2度目の二十歳』『最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~』~男が食べたいキンパッ 

 そんなわけで、キンパッを巡る「ときめき」ドラマエピソードその1が、『2度目の二十歳』です。40歳を手前に人生初の大学生活に飛び込んだ主婦ヒロインのノラ(チェ・ジウ)は、高校時代の同級生でヒョンソク(イ・サンユン)に、大学の演劇科兼任教授と受講生徒という形で再会。不慣れな環境で苦戦するなか、何かと助けてくる彼に、お礼をしようと考えるのですが、そこで思いついたのが手作りのキンパッ弁当です(第7話)。

 早朝からせっせとキンパッを巻くノラを見て、隠れて不倫中のダメ夫ウチョル(チェ・ウォニョン)は自分のものかと勘違い。「いつも食べないじゃない」と妻にばっさり切られたうえ、それがヒョンソクへのお礼と知ると、ウチョルに沸き起こる嫉妬心(笑)。残っていたキンパッの切れ端をこっそり盗み食いして、美味しさのあまりどんどん食べてしまうウチョルの様にニヤリです。ちなみに、ノラはこのキンパッ弁当を通して同じ大学に通う息子のミンス(思春期真っ只中)と母子の絆を取り戻すという、心温まるエピソードにまで広がり。いやぁ、手作りキンパッ、侮れない!

 

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『2度目の二十歳』主婦歴の長いノラにとって、キンパッ作りはお手の物!

©CJ E&M CORPORATION, all rights reserved

 

 

 大ヒットラブコメディ『最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~』では、ヒロインのエジョン(コ・ヒョンジョン)が一緒に暮らす甥ヒョンギュの遠足用に、前夜キンパッ作りに精を出すシーンがありました(第10話)。ヒョンギュと遊んでいたトッコ・ジン(チャ・スンウォン)はそれを見て、自分用でもないのに「ゴボウは入れないのか」と注文したり、「キュウリは嫌いだ」と文句を言いつつ、つまみ食いしたり。

 さらに、雨で遠足が中止になると、偶然やってきたピルジュ(ユン・ゲサン)がエジョンの手作りキンパッ弁当を見つけ、食べたいばかりにドーナツとのトレードをヒョンギュに申し入れたり。男どもが揃いも揃って、エジョンの手作りキンパッに群がるんですなぁ。

 

 

『ロマンスが必要2』『ゴハン行こうよ♡2』~手作りキンパッ弁当に懸ける思い 

 

 さらに、『ロマンスが必要2』でも、ヒロインのヨルメ(チョン・ユミ)が新しい彼氏ジフン(キム・ジソク)と施設を訪ねるため、せっせっとキンパッ作りをするエピソードがありました(第11話)。

 同居人で元彼のソクヒョンはそのキンパッに手を出そうとし、「ジフンのために作っているんだから!」と怒られてしまう始末。あげく切れ端を与えられ、「切れ端人生ね」と言われたり。切れ端の方が具も多くて美味しいらしいのですが、残り物には変わりません。本編を食べられるか、切れ端をかろうじてもらえるかで、男たちの格付けが明白になるんですねぇ。

 

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『ロマンスが必要2』元彼にもこんな風に作ったっけ…と思い出しながら作るヨルメは、恋愛あるある!

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 もひとつ、キュンとくるキンパッ弁当シーンがありました。それは、『ゴハン行こうよ♡シリーズ2』第13話。ヒロインのスジ(ソ・ヒョンジン)は、付き合いたての彼氏サンウ(クォン・ユル)のためにキンパッ弁当を作ろうと、早起きして人生初のキンパッ作りに挑戦。上手くできたか不安なのか、お向かいさんで小学校時代の同級生デヨン(ユン・ドゥジュン)を起こすと、キンパッを口に詰め込み、味見させちゃうんですねぇ。

 巻いている間に海苔が破けてしまい苦戦するスジを見たデヨンが、彼女に教える上手な海苔の巻き方ミニ講座もお役立ちネタ。また、デヨンがスジのオデコについていたご飯粒を手でとり、「こんなところにつけて」と、そのまま口に入れちゃうシーンもキュンキュンで。サンウのために作ったキンパッですが、その味見役をさせられたデヨンとの関係の方に萌えを感じる名シーンでありました。

 

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『ゴハン行こうよ♡シーズン2』デヨンによる料理のウンチクもこのドラマの見どころ!

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 他にも、『フルハウス』で撮影中のヨンジェ(RAIN)のスタジオに“偽装”妻のジウン(ソン・ヘギョ)が差し入れに持っていくのがキンパッだったり、『カインとアベル』ではヨンジ(ハン・ジミン)がガンホ(ソ・ジソブ)と一緒にピクニックに行こうと朝からキンパッ作りに励んだり(結局行けない展開で涙)、『匂いを見る少女』でもチョリム(シン・セギョン)がムガク(パク・ユチョン)に差し入れしようとキンパッを作り、公園で待っているシーン(でも会えない展開でハラハラ)もありました。

 

 キンパッの世界は奥深く。泣けるエピソードもあります。『がんばれ!クムスン』の88話、死んだと思っていた実母が生きていたことを知ったクムスン(ハン・ヘジン)が、眠れずに大量のキンパッを作ってしまうシーンです。朝起きてその光景を目にした義母は驚き、「遠足にでも行くのか?」と問うのですが、クムスンは泣きながらこう答えるのです。

「キンパッ、大好きなんです。小さい頃、遠足に持って行けないことが多くて。祖母が忙しかったから。だから初めて習った料理もキンパッです。自分で作れるように…」

 キンパッ作りに込める思いって、想像以上に深いのです。

 

 ちなみに、『ごめん、愛してる』では、主人公ムヒョク(ソ・ジソブ)の甥ガルチ(パク・コンテ)は学校にも行かず、知能障害のある母親とともにキンパッを駅前で売り、家計を支えていました。そんなに簡単に食べ物屋をできるのか?という疑問はさておき。それくらい手軽で、それくらい日常的な食べ物なんですね。

 作り方はいたって簡単。炊いたゴハンに酢ではなく、ごま油と塩をまぜ、海苔の上に乗せて、具と一緒に巻くだけ。入っている具は、カニカマ、ほうれん草のナムル、卵焼き、にんじん、牛ひき肉などを基本に家によって異なってくるかと思いますが、それによって「母の味」を感じたりするのでしょう。

 そんなわけで、韓国女子が突然キンパッを作り出したら、そこには何か意味があると考えてもいいのかもしれません(ドラマのなかの話だけど)。

 

 

●DVD情報

『2度目の二十歳』

〈シンプルBOX 5,000円シリーズ〉DVD-BOX 1&2各5,000円 

発売・販売元:エスピーオー

[2015/全16話]出演:チェ・ジウ、イ・サンユン、チェ・ウォニョン

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『ロマンスが必要2』

〈シンプルBOX 5,000円シリーズ〉DVD-BOX 5,000円 

発売・販売元:エスピーオー

[2012/全16話]出演:チョン・ユミ、イ・ジヌク、キム・ジソク

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『ゴハン行こうよ♡シーズン2』

DVDコンプリートBOX 22,500円 

セル発売元:アイコンエンタプライズ

セル販売元:TCエンタテインメント

提供:博報堂DYミュージック&ピクチャーズ

[2009/全20話]出演:ユン・ドゥジュン、ソ・ヒョンジン、クォン・ユル

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*本連載は月2回配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

『韓国TVドラマガイド』編集部

韓国のTVドラマ、映画、K-POP総合情報誌『韓国TVドラマガイド』(双葉社スーパームック・偶数月22日発売)編集部。本誌では人気スターのインタビューやドラマの詳しい解説、DVDリリース情報、テレビ番組表、現地エンタメの最新情報も掲載。編集部公式ツイッターはこちら→https://twitter.com/kankoku_tvguide

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