究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

#14

イラン旅行術〈3〉交通、言葉、注意点

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

 意外なイメージかもしれないが、イランは旅行がしやすい。とくに日本人はどこに行っても好意的に見られ歓迎されるだろう。西側のマスコミが伝える一方的なニュースを真に受けて忌避するのはもったいない。ぜひ多くのバックパッカーに歩いてもらいたい国だ。

 

国内交通はバスがおすすめ 

 イランのバス網はかなり発達しており、旅行者でも使いやすい。「テルミナーレ」というバスターミナルに行けば、たいてい整然としており、行き先別にブースが並んでいる。言葉がわからなくても行き先を聞きまわれば案内してくれるだろう。英語のわかる人を連れて来てくれることもある。
 バスは全土を網羅しており、主要都市間は複数の会社が頻発している。そのためあまり待たず、予約も必要なく乗れるはずだ。ターミナルはカフェもあり簡単な食事ができる。
 車体はボルボといわれる2×1の広々としたものが多い。飛行機のビジネスクラス並みに快適だが、それでも例えばテヘランからイスファハンまで6時間ほどのドライブで1000円程度。空調の効いた車内ではお菓子や水の入ったボックスが配られる。
 道路は荒涼とした高原や砂漠、小さな村が続き情緒がある。産油国らしくパイプラインも走る。道路状態は極めて良い。
 近郊の街を結んでいるのは乗り合いのミニバスだ。これは客で満席になったら移動するというもの。イラン庶民と肩寄せ合って行く旅路となる。いがいにぽんぽん発着するものだ。
 鉄道も同様に快適で安いが、全土をカバーしているわけではなく、また本数も少ない。ただマシュハドやバンダルアッバースなど、遠く離れた場所に行くなら夜行列車を利用すると楽々だ。
 飛行機も他国よりは安めだが、バックパッカー的には陸路移動が楽しいかもしれない。
 街から離れた遺跡に行くときはタクシーをチャーターすることもあるだろう。1台あたりだと高くても、同じ宿の仲間を誘って行くと意外に安く上がる。

 

01web
こちらはサナンダジュのバスターミナル。田舎町ではこんな感じだ

 

 

言葉はあまり通じないがなんとかなる 

 イランで英語が通じるところは外国人の多い観光地、ホテル、レストランくらいだ。マイナーな街のホテルなどではいっさい通じない。それでも人々はばんばん話かけてくるのだ。
 交通、宿泊、食事、買い物と、身振り手振りでかなりの用が足せるし、数字はスマホを使えばいい(ペルシャ数字を覚えるだけでかなり助かるが)。google翻訳もペルシャ語に対応している。
 困っていると、どこからともなく英語のわかる人を連れてきてくれたりもするし、それどころか日本語ぺらぺらの人が現れたりもする。日本で働いた経験があるのだ。
 それほどに言葉の壁は感じずに旅できるといえるだろう。

 

02web
イスファハンのバザールでいきなり声をかけてきた人々

 

 

注意したい点もある 

 ジャパン・フレンドリーな国ではあるのだが、ときどき腹の立つこともある。観光地ではタクシーなどが、かなり手ひどくぼったくってくる者がいる。少数ではあるが、こういう輩と交渉の余地はないのでほかをあたろう。
 また田舎街では、子供たちが「チーノ! チーノ!」とはやし立ててくる。かなりしつこい子供もいる。チーノとは中国人というよりも東アジア人全体を指す蔑称だ。が、本人たちはそのつもりもなくただ遊びたいだけなのだとはいうが……けっこう辟易するかもしれない。これでイランを嫌いになるバックパッカーもいる。しかし子供のすることにいちいち反応していても仕方ないだろう。
 イランというと女性が旅しにくかろうと思われるが、実際セクハラはあるそうだ。逆に、日本人女性旅行者が珍しがられてたいへんなもてなしを受けた人も多い。ともかく服装は肌のラインが出ないゆったりしたものを。とはいえ全身黒ずくめのチャドルをまとう必要はない。ジーンズの上から、マントといわれるコートをかぶればいい。スカーフはしっかり着用しよう。
 それとイランでは見知らぬ男女が座席をともにすることはない。長距離バスなどでも、家族以外なら、女性のとなりは女性と決まっている。だから混んできても、男性がとなりに座ってくることはない。地下鉄では女性専用車両があるし、市内バスでも乗る場所はわかれている。
 いろいろ窮屈な環境にも映ってしまうのだが、そんなイラン女性たちが旅行に行くのか、テヘランの空港を飛び立ちドバイ空港に着いたとたん、スカーフを脱いであでやかな黒髪を見せたのが印象的だった。

 

03web
アフヴァーズのバザールにて。果物は実に豊富だ

 

 

お金の事情は少々やっかい 

 イラン旅行最大の問題点は、現金のみしか使えないということだろう。国内ではいたるところにATMがあるのだ。しかしそこで使えるのは、イランで発行されたカードのみ。さらにクレジットカードも使えない。イランは西側を中心とした国際的な金融システムから外されている。そのことを現地の若者たちも知っており、不満を煽る一因にもなっている。
 現金のみで旅をする。やはり紛失のリスクがある。安全にはしっかり気をつけて、お金は分散して持つなどの対策をしよう。
 そのくせ使い勝手がいいのは米ドルとユーロだが、日本円も大都市なら通用する。このとき銀行で両替してはならない。両替商のほうがはるかにレートがいいのだ。
 いくつか問題はあるが、それでもイランは旅する価値のある国だ。バックパッカーも増えていくだろう。

 

04web
タブリーズのバザールは世界遺産に登録されている。昔ながらの佇まいだ

 

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

紀行エッセイガイド好評発売中!!

okinawa00_book01

最新改訂版 バックパッカーズ読本

究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本
バックナンバー

その他の辺境・秘境の旅

ページトップアンカー