韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#112

「韓国ロス」のみなさんへ〈7〉

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 梅雨が居座っている。

 私はかなりの雨好きなのだが、今年の空気の湿り具合は正直こたえる。旅どころか、飲みに行くのもはばかられる日本にいるみなさんは、もっとしんどいのではないだろうか。

 過去20余年の取材旅行で撮った写真を見ながら往時を振り返る特集の7回目。今回は、いま恋しくてたまらない青空の写真を集めてみた。

 

釜山港国際旅客船ターミナルで 

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2015年夏にオープンした釜山港新ターミナルに停泊中の釜関フェリー(釜山⇔下関)とパンスターフェリー(釜山⇔大阪)。2015年9月撮影

 

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釜山港を出て大阪南港に向かうパンスターフェリー。向こうに釜山港大橋が見える。2015年9月撮影

 

 数年前、我が国を揺るがせた船舶事故が起きたときも熱が冷めなかったくらい船旅が好きだ。(本コラムのバックナンバー参照)

 上の写真を撮った半年前、私は『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』(双葉文庫)という本の取材で釜山港からフェリーに乗って下関に渡った。そのときは写真の新ターミナルではなく、まだ旧ターミナルが現役だった。

 

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着岸直前の関釜フェリーの甲板から見た釜山港の旧ターミナル。この旧ターミナルは映画『10人の泥棒たち』(2012年)で、終盤の銃撃戦場面の撮影に使われた。2015年6月撮影

 

 出船、入船を甲板から見るのもよいのだが、陸地から船の出入りを見るのも楽しい。それが下関や福岡、大阪へ向かう大型客船ならなおさらだ。

 ターミナルを出た船が釜山港大橋の向こう側に消えるまでの約20分間は、映画でもなかなか味わえない優雅なひとときだった。

 コロナ明けの日本訪問は釜山から船に乗るのもいいなと秘かに思っている。

 

済州南西部で 

 日本より1カ月以上早く外出自粛ムードがゆるんだ韓国で人気があった旅行先は済州だった。その時期、私が実際に行くことができたのはマッコリツアーで巡った韓国北東部だったが、時間があれば済州の青い空と海が見たかった。

 

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大静邑、通称モスル浦に残された日本軍の飛行場跡の格納庫群。2006年9月撮影

 

 上の写真は南済州郡大静邑の平野に残された日本植民地時代の格納庫群跡だ。コンクリート部分の形状からセスナくらいの軍用機がおさめられていたことがわかる。太平洋戦争末期の1943年、劣勢の日本軍は本土を死守すべく済州を最後の砦とするために多くの軍事施設を作った。この格納庫もそのひとつだ。

 撮影時は格納庫のくり抜かれたような形状を間近に見て、多少のものものしさを感じた。しかし、一帯はすでに農地となっていて、麦わら帽子をかぶった中年夫婦がゴマの収穫中だった。その姿はあまりにものどかで、軍用機の出撃基地という悲しい物語とは結び付けにくかった。

 

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日本海軍の特攻艇が配備されていた松岳山の洞窟陣地。2006年9月撮影

 

 こちらは格納庫群跡の南東方向に半島状に突き出た松岳山(ソンアクサン)のふもとの海岸だ。東側の岸壁には穿ってあるいくつもの穴は、かつて日本海軍特攻挺(小型ボート)の洞窟陣地だった。写真をよく見ると穴が確認できる。

 ここは日本でも人気のあったドラマ『宮廷女官  チャングムの誓い』最終回で、チャングム(イ・ヨンエ)が難産の妊婦と出会い、当時はタブーとされていた外科手術によって母子を救う感動的なラストシーンが撮影された場所でもある。

 済州は2年前の3月に一人旅をして以来のごぶさただ。この20年で観光開発はさらに進んだが、島の西側はまだ手付かずの自然が残されている。近いうちに行ってみたい。木浦港から船で渡るのも一興である。

 

(つづく)

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属www.k-word.co.jp/ 著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

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