台湾の人情食堂

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#104

台湾一周の宿〈前編〉

文・光瀬憲子

 3月に発売された『台湾一周!! 途中下車、美味しい旅』(双葉文庫)では、毎晩違う街の宿に泊まりながら7泊8日で台湾を一周した。あえていきあたりばったりの旅をしたので、ほとんどの宿は当日朝から探したのだが、ルームキーのトラブルがあった台北での1泊を除く6泊はいずれもコスパのよい、満足度の高い宿に恵まれたと思う。今回は台湾一周で利用したの宿を詳しく紹介したい。

 

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7泊8日の下車駅と宿泊地

 

台南 

 いきあたりばったりとは言え、初日(台湾到着日)だけはさすがに不安があったので、日本を発つ前に宿を決めておいた。台南の小さな民泊である。

 台南は台北の次に外国人旅行者が多い街だが、大きなホテルが少なく、そのぶん民宿や民泊が充実している。台南のKayさんがホストを務める民泊は、台湾一周の中で私がもっとも気に入った宿だ。外観も、リビングも、寝室も洗練されていて、無駄なものがないすっきりとしたデザインでありながら、雰囲気がアットホームなのは、もしかしたらリビングで戯れるKayさんの愛猫2匹のおかげかもしれない。民泊にはそれぞれホストが決めたルールがあり、それに従って宿泊するのがマナーだが、この宿のルールは「玄関を開けっぱなしにしない」こと。猫たちが外に出てしまわないようにするためだ。

『旺宅』という名のその宿は、台南の歴史的名所「赤崁楼(せっかんろう)」の脇の路地にある。白い壁に緑の植物が映えるおしゃれなたたずまいで、到着するとKayさんと猫が迎えてくれる。玄関を入るとすぐにリビングとキッチンがあり、ゆったりとしたソファで我が家のようにくつろげる。

 

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アットホームなリビングでホストのKayさんと情報交換。日本語の情報雑誌なども置いてある

 

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ホストのニャンコがお出迎え。ペットのいる空間に心が癒やされる

 

 寝室は2階と3階に一部屋ずつなので、収容人数は多くても2組、計4人まで。だから共有スペースであるリビングやキッチンが混雑しすぎることもない。2階の部屋は畳敷きの和室風で、布団で眠れるのでホッとできる。3階の部屋はフローリングで室内にバス・トイレもある。台南は観光客が多く、宿代は決して安くない。そんななか、このクオリティーで1室1泊4000円台後半はありがたい。

 

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白い壁、ベージュ色の畳、緑の棚。畳敷きの部屋は配色が可愛らしい

 

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無駄なものがないフローリングの寝室。観光名所に近いが、路地を入ったところにあるので夜は静か

 

 赤嵌樓は民族路という大通りに面していて、美味しいものも多い。台南一のごはん屋さんではないか? と通い続ける人も多い『福泰飯桌』もすぐそばにある。この店は定休日が多く、営業時間が短い自助餐(バイキング式の食堂)で、とにかく美味しいおかずが多いのだが、大変な人気店なので座れたらラッキーだ。

 また、國華街、西門路といったグルメストリートにも徒歩圏内なので食べ歩きに便利。台南はなかなかタクシーがつかまらない街なので、徒歩10分程度でどこにでも行ける『旺宅』はすばらしい立地だ。

 

台中 

 台湾一周の2日目、その日の午前中に決めた宿もとてもリーズナブルだった。Crystalさんがホストを務める台中の民泊は、駅チカなのが最大の魅力。台中駅は2018年にリニューアルされ、巨大化したので、駅自体がものすごく大きい。

 特に駅の北側はロータリーや大きな広場があって、駅にたどり着くまでに時間がかかる。その反面、南側の裏駅はもうすこし下町風情があり、小さな食堂や雑貨店などがひしめき合っている。そんななかにあるのがCrystalさんの民泊だ。台中でいちばん美味しいものが多い忠孝夜市からも徒歩10分。立地は申し分ない。

 

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広々としたシンプルな部屋には3人まで宿泊可能。部屋にはシャワー・トイレも完備

 

 Crystalさんは女性だが、その夫もホストとしてもてなしてくれる。台中の美味しい店や観光スポットはすべて旦那さんに教えてもらった。民泊では、宿泊客が少なく、また長期滞在する人も多いため、ホストとの距離が近くなる。ホテルと違って、地元の人と仲よくなり、直接情報を仕入れることができるのは民泊の大きな魅力だ。

 

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台中駅裏から徒歩10分ほどの場所にある忠孝夜市。台湾伝統グルメがぎゅっと詰まっている

 

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モダンに生まれ変わった台中駅のすぐ隣にある旧台中駅

 

 民泊アプリAirbnbの宿の価格は為替やホストの設定によって変動するので一概には言えないが、台中の宿は広々とした部屋に3人まで泊まれて3000円台後半。女子旅などで利用すればかなりお得感がある。

 

新竹 

 次の目的地は新竹。この街の宿は何度か利用したことがあるが、台湾きってのサイエンスパークがあり、海外から出張で訪れる人が多いため、どちらかというと観光客よりもビジネス向けの宿が多いのが特徴だ。

 だが、新竹には城隍廟(チェンホアンミャオ)という独特な雰囲気を持つ夜市と、絶品もち米餃子が食べられる大きな中央市場(朝市)がある。他にも美味しいB級グルメが目白押しの隠れグルメ都市だ。理由は、新竹を中心とする台湾北西部には客家人が多く住んでいるからだ。

 客家語という独自の言葉を話し、独特の文化を持つ客家人が台湾には一定数おり、全人口の2割近くを占めるともいわれている。そして、実は台湾の美味しいものは客家の食文化に支えられているといってもいいぐらい存在感があるのだ。

 新竹では駅から徒歩8分のほどの場所にリーズナブルな宿を見つけた。Li Juさんがホストを務める『天字一号房』~『天字六号房』(全6部屋)という名前の宿は、客が暗証番号だけで入室可能。自信がない場合は頼めばホストさんが出迎えてくれる。

 入口が急な階段になっていてエレベーターはないので、大きなスーツケースだとちょっと大変だが、部屋は広々としていて清潔感抜群。大きなダブルベッド2つに、パリッとした真っ白なシーツ、きれいなバスタオルなどが用意されていて、建物自体は古いが、寝るだけならじゅうぶんな施設だ。駅から8分という好立地だが、中央市場にも徒歩10分、城隍廟夜市にも12分ほどで歩いていけるため、観光利用には申し分ない。これでお値段は約3300円とはうれしい限りだ。

 

07清潔感のある新竹の宿。シャワー・トイレは共用だが、旅の疲れを取るには十分な施設

 

 台湾で食べ歩きを楽しむなら、毎食をおいしく食べるためにはよく歩くのが基本。新竹は古い建物も多く、路地裏が楽しい街なので、自分の足で歩いて美味しいものを見つけよう。

 

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新竹は隠れたグルメ都市。写真は駅南側にある朝食店『新銘早餐店』の名物、揚げパン卵巻き

 

*今回紹介した宿はすべてAirbnbで予約できる。価格は2019年11月末現在のもの(サービス料・手数料込み)

 

*新刊好評発売中!!

 著者の新刊が双葉文庫より好評発売中。『台湾一周‼ 途中下車、美味しい旅』、全国の書店、インターネット書店でぜひお買い求めください。

 

カバーA04

双葉文庫『台湾一周‼ 途中下車、美味しい旅』

著:光瀬憲子 定価:本体700円+税

 

*本連載は月2回(第2週&第4週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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