THE 百年宿

THE 百年宿

#10

よろづや ‐YOROZUYA NAGANO・YUDANAKA-

 

 

「THE 百年宿」連載第10回は、信州の古湯・湯田中温泉の老舗「よろづや」をお届けします。
「百年宿」の魅力を支えるのは、建築、温泉、料理、おもてなしはもとより、季節だけでなく、人生の節目などにも合わせて部屋を彩る室礼(しつらい)や、伝統技術に寄り添い、文人墨客らを陰で支える心遣いなど、その文化にある。

よろづや ―長野県・下高井郡山ノ内町―

信州・湯田中温泉で、200年以上続く老舗旅館。
国の登録有形文化財で、自家源泉から引き込んだ
天然温泉をかけ流しで楽しめる数少ない宿だ。

 

文:金井幸男

よろづや登録有形文化財の温泉: 国の登録有形文化財に指定される純木造伽藍建築の「桃山風呂」。屋外には四季を映す「庭園露天風呂」も。

 

寛政年間から愛され続ける
源泉かけ流しの湯。

 

号からもわかるとおり、もともとは雑貨店からはじまった「よろづや」の歴史。いつしか北国街道筋の旅人を受け入れるようになり、寛政年間ごろに宿屋業へ転身。現在で七代目を数える北信州屈指の老舗である。
 名物は、ともに国の登録有形文化財である大浴場「桃山風呂」と離れ「松籟荘」。前者は今では貴重な純木造伽藍建築を誇り、これまでに多くのメディアでも取り上げられてきた。屋外には日本庭園風の庭園露天風呂もあり、信濃路の四季を楽しむことができる。一方の後者は、純木造数寄屋建築の三階建て。昭和十四年に建てられた館内には、館主が収集した珍しい書画骨董が要所を飾る。客室も日本建築の魅力が詰まった設計だ。
 また「松籟荘」限定で提供されるディナーコース「萬」は、専用の厨房で一品ずつ手づくりされる特別懐石。北信州が誇る山川の幸を、厳選された器で楽しめるのが魅力だ。
 お風呂とお部屋という、日本旅館にとって欠かすことができない要素に、格別のストーリーを持つ「よろづや」。特別なひとときを過ごすための場所にふさわしい宿だ。

すべては快適のために。
伝統と機能美が見事に調和する空間。

見どころが充実する「よろづや」のしつらえ。本館・離れともに、日本の美意識を感じることができる。登録有形文化財の館はもちろん、狩野派の屏風絵や松本の民芸品など、見どころも満載だ。よろづや02よろづや03【写真・上】大正ロマンの情緒を残す本館1Fのロビー。木とコンクリートがつくり出す和空間が広がる。 【左下】離れ「松籟荘」の内玄関には、囲炉裏などの日本的情緒を掻き立てるしつらい。移動で疲れた心を和ませる。 【右下】離れ「松籟荘」の露天風呂つき客室「しゃくなげ」の寝室。

自家源泉三箇所から引く豊富な湯量。

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同宿の名物ともいえる「桃山風呂」。登録有形文化財の湯殿はもとより、自家源泉3箇所から引き込まれる毎分約250ℓを誇る豊富な湯量も自慢だ。桃山風呂へと続く脱衣所も必見。柱や天井に残された数々の千社札が歴史を物語る。

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【写真・左】離れ「松籟荘」の客室「菊」に設けられた露天風呂。総檜の浴槽など、随所に贅を感じる。
【右】離れ「松籟荘」の客室「こまくさ」に設けられた露天風呂。自慢の温泉を静かに堪能することができる。

北信州の山川の幸を
本格会席料理で味わう。

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地元・北信州の山川で採れたこだわりの食材を、本館と離れそれぞれに異なる趣向を凝らした懐石料理で提供する。
【写真・左】離れ「松籟荘」のお部屋でいただく、本格会席料理の一例。選りすぐりの器とともに。【右】本館の食事会場では、信州牛や川魚、信州蕎麦など、北信州ならではの味覚を余すことなく味わえる。

よろづやロゴ


よろづや

〒381-0401
長野県下高井郡山ノ内町大字平穏3137
電話0269-33-2111 (代表)
www.yudanaka-yoroduya.com


ISBN978-4-575-45557-1 (1)


THE 百年宿

このサイトで紹介する百年宿は、こちらのMOOKでまとめて読むことができます。各地に点在する23施設、創業100年以上の老舗宿。建築、料理、温泉、おもてなし…確かな価値のある宿だけを厳選してお届け。

 

 

 

 

 

 

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