日本全国 相撲めしツアー!

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#10

『ジンギスカン ゆきだるま 中野部屋一門』

文・武田葉月

元幕内・若孜が経営する人気ジンギスカン店

「大関獲り」がかかった大相撲春場所で、見事11勝を挙げた朝乃山が、場所後、大関に昇進。
 高砂部屋大阪宿舎を訪れた使者に対して、
「大関の座に恥じぬよう相撲を愛し、力士として正義を全うし、一生懸命努力します」
 と、堂々とした口上を述べました。
 26歳。188センチ、172キロの恵まれた体格を持った朝乃山は、近い将来、横綱に駆け上がることがおおいに期待できる逸材です。
 新型コロナウイルスの拡大を受けて、残念ながら、大相撲夏場所の開催は7月19日に延期になりました。初々しい「新大関」のお披露目は、少し先になりそうですが、23歳の大関・貴景勝と共に、大相撲界を引っ張ってほしいものです。
 最近の角界は、170センチ未満の炎鵬、照強など、小兵力士の活躍が目立っています。
 1990年台後半から、約10年に渡って、172センチの身長で土俵で奮闘していたのが、元幕内・若孜(わかつとむ)の中尾浩規さんです。
 小学生の頃から相撲を始めた中尾さんは、明大中野中に入学し、相撲部に入部。チームメイトには花田光司さん(元横綱・貴乃花=元貴乃花親方)らがいました。
「貴乃花親方は最初から強かったです。ずっと彼を追いかけていました」(中尾さん)
 中学卒業後、藤島部屋(当時)へ入門した貴花田は、18歳で幕内力士になり、一方の中尾さんは明大中野高を経て、中央大学へ進み相撲を続けました。その後、日本通運に就職した頃には、貴花田は貴乃花として横綱を張る立場になっていました。
 脱サラし、22歳で松ヶ根部屋(当時)へ入門した中尾さんは、2000年秋場所、新十両に昇進。01年夏場所、幕内力士になります。
「横綱・貴乃花と対戦したい、その一心でした」と振り返る中尾さんですが、本場所での対戦が叶わぬまま、貴乃花は現役を引退。中尾さんも06年名古屋場所を最後に、相撲界を後にしました。
「相撲をやりきった!」
 完全燃焼した中尾さんは、第2の人生を模索します。
 現役時代を過ごした松ヶ根部屋は千葉県船橋市にあります。中尾さんには、最寄駅・西船橋から、東京・中野まで通っていたお店がありました。その名も、『ジンギスカン ゆきだるま』。当時の店のオーナーから、「よかったら、お店をやらない?」と誘われていたこともあり、同店を引き継ぐ形で、経営を始めたのです。
 現在は、『中野部屋(本店)』、『はなれ』、『本八幡部屋』など5店舗を展開し、ジンギスカンファンの気持ちをガッチリつかんでいます。

 まずは、ジンギスカンスタートセットから。アイスランド産の肉、玉ねぎ、ししとう、ピーマンが鍋に並びます。

 

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スタートセットは、このボリュームで963円。

 

 アイスランド産の肉は、1人前778円で追加ができて、他にもワイルド感あふれるラムチョップ(1本=698円)などのメニューも人気です。
 

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迫力のラムチョップ。

 

「アイスランド製のラム肉は、クセがありません。ヒツジが食べる食材に関しても、安心、安全にこだわっているからです。いわば、『安心安全の国からの贈り物』と言えます」
 肉を焼きながら、お客さまとの会話も盛り上がります。

 

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肉を焼く中尾さん。ジンギスカン食べ飲み放題90分コース=4680円、120分コース5180円もあり。(食べ放題コースは税込価格)

 

 お酒はビール、定番のサワー、ハイボールなどのほか、こだわりの焼酎、北海道産ワインなど種類が豊富。
 北海道の焼酎に合わせて、北海道産の珍味ニシンの切り込み、数の子入り松前づけなどもいただけます。

 

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焼酎と北海道珍味(いずれも286円)。

 

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北海道産ワインは、ジンギスカンとの相性が抜群。

 

 店内(『中野部屋はなれ』)には、「若孜」時代の化粧まわしが飾られています。

 

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母校・明大中野高から贈呈された化粧まわし

 

 壁に貼られた写真の中には、横綱・稀勢の里と今年初場所で優勝した徳勝龍との3ショットも。中尾さんの幅広い人脈を感じさせる1枚です。


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食、酒ともに豪快だというお2人。

 

 新型コロナウイルスによる自粛で、時短営業中は、タレントのコニシキさん(元大関・小錦)や、先輩の花田虎上さん(元横綱・若乃花)がオンラインショップでジンギスカンセットを注文してくれたりと、「相撲仲間の強い絆を感じる」と中尾さんは語ります。
「夏場所が延期になって、力士のモチベーションの維持が心配です。本場所がないということは、チャンスがないということですからね…。でも、人生にはいろいろな浮き沈みがあるし、我々を含めて、それを糧にしていかないといけませんね」(中尾さん)
『ゆきだるま』の5店舗では、元力士や相撲経験者を積極的に採用。
「飲食店はセカンドキャリアとしての需要があります。彼らの第2の人生の受け皿であり続けたいと思っています」
 取材にうかがった『中野部屋はなれ』はカウンター席が充実しています。1人ジンギスカンを楽しむお客様が増えたというのも、新しい時代を象徴しているのでしょう。

 

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中尾さんと『中野部屋はなれ』のスタッフ。

 

 

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本店は交通の便のよい中野五差路にある。


*今回訪れた相撲めしのお店
『ジンギスカン ゆきだるま 中野部屋はなれ』
住所:東京都中野区中野2-26-10 中村ビル3F
電話:03-6323-6350
営業時間:11:30~24:00(お店にご確認をお願いいたします)
定休日:月曜(本店は定休日なし)

 

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※他に『中野部屋本店』(無休)、『本八幡部屋』、『両国部屋』、『亀戸部屋』があり。
http://nakano.kita-yukidaruma.com
☆おいしいオンラインショップはこちらから↓
http://nakano.kita-yukidaruma.com/lp/

 

 

*本連載は月1回配信予定です。次回もお楽しみに!
 

 

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武田葉月(たけだ はづき)

ノンフィクションライター。山形県山形市出身。出版社勤務を経て、現職。おもに、相撲の世界を中心に、取材、執筆活動をおこなっている。近著に『大相撲 想い出の名力士たち』(双葉文庫)、『横綱』(講談社)など。文芸誌『小説推理』(双葉社)で「ザ・大関 ~綱に手をかけた男たち~」連載中。

ノンフィクション書籍 好評発売中!!

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大相撲 想い出の名力士たち
著・武田葉月

     

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