日本全国 相撲めしツアー!

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#09

『地鶏家 琴嵐』

文・武田葉月

佐渡ヶ嶽部屋直伝のちゃんこ鍋が味わえる大阪の名店

 新型コロナウイルスの影響で、無観客開催となった大相撲春場所。
「(力士、親方など)相撲協会員が1人でもウイルス感染した場合は、本場所の途中でも開催中止」という厳戒態勢のもとでおこなわれた春場所は、終始ピリピリとしたムードが漂っていました。
 春場所の話題は、関脇・朝乃山の「大関獲り」。昨年から急速に力をつけてきた朝乃山は、春場所で12勝を挙げれば、大関当確となります。朝乃山は、12日目まで、横綱・白鵬、鶴竜と共に優勝争いを演じたのですが、13日から2連敗で、結果は11勝4敗。
 千秋楽、結びの一番で、横綱同士の相星決戦を制して、優勝を遂げたのは、白鵬でした。また、朝乃山もギリギリのところで大関昇進を決め、夏場所では晴れて新大関として、土俵に上がることになりました。
 こうした中、次代を担う若手力士たちの活躍にも注目が集まりました。
 新入幕、佐渡ヶ嶽部屋所属の琴ノ若は、9勝。琴ノ若の父は、佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)。さらに祖父は、先代・佐渡ヶ親方(元横綱・琴櫻)というサラブレッド。22歳。188センチ、170キロの恵まれた体で、祖父も父も成し得なかった、新入幕での勝ち越しを果たしたのです。
 また、同じ部屋の十両、20歳の琴勝峰(ことしょうほう)は、十両優勝。夏場所での新入幕が確定的になって、佐渡ヶ嶽部屋は来場所、幕内に5力士が顔を揃えることになりそうです。


『地鶏家 琴嵐』のご主人、栗佳史さんは、かつて、佐渡ヶ嶽部屋に所属していました。
 大阪府寝屋川市出身の栗さんが初土俵を踏んだのは、昭和63年春場所のこと
 同期生には、若花田(のち横綱・若乃花)、貴花田(のち横綱・貴乃花)、大海(のち横綱・曙)、古賀(のち大関・魁皇)らのスター力士がズラリ。彼らの活躍を励みに、稽古に打ち込んだ栗さんは、平成2年、四股名を琴嵐に改名します。
 軽量のため、幕下で苦労を味わった栗さんが新十両昇進を決めたのは、8年夏場所、23歳の時でした。
「当時、佐渡ヶ嶽部屋には、琴錦関(現・朝日山親方)、琴の若関(四股名は当時)など、私を含めて7人の関取がいて、『7琴』と言われていたんですよ」
 と、当時を懐かしむ栗さん。
 ところが、十両在位は2場所に終わり、負傷の影響もあって、翌9年春場所で現役を引退します。
「早く転身したかった」という栗さんは、大阪・門真市に『地鶏家 琴嵐』をオープン。さらに、大阪・心斎橋に『どすこいDINING琴嵐』を開業するなど、飲食の世界で成功を収めます。
 26年からは、アクセスのいい現在の場所(北区・天満)に店を移転し、サラリーマンなどを中心に、連日賑わいを見せています。
『地鶏家』を名乗っている同店は、新鮮な鶏料理が自慢。
 まずは、鶏のお造りの盛り合わせを。むねのたたき、きも、ずりの盛り合わせで、まずは乾杯!

 

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左から、鶏むねのたたき、きも、ずり。790円。
 
 地鶏を楽しむには、定番のくし焼きの盛り合わせをいただきたい。

 

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くし焼き盛り合わせ、左から、ずり、なんこつ、せせりなど。8本1000円。

 

 テイクアウトするお客様も多いという人気メニュー、手羽先揚げ名古屋風。

 

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カリッとした触感の手羽揚げ。500円。


 地鶏に合わせるお酒は、本格焼酎。芋、麦、そば、しその焼酎に加えて、沖縄の泡盛「久米仙」なども用意している。

 

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左から、幻の露(1杯490円)、薩摩の一滴(430円)、伊佐錦(黒=490円)。いずれも、芋焼酎。

 

 さて、来店したお客様のほとんどが注文するのが、佐渡ヶ嶽部屋直伝のちゃんこ鍋。
 鶏の足(もみじ)を長時間強火で煮込んでいるため、鶏独特のうまみがしっかり引き出されています。そのスープは、コラーゲンたっぷりで、美肌効果も期待できるとか。

 

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ちゃんこ鍋は、ソップ、塩、ピリ辛(いずれも、1人前1850円)と、スペシャルちゃんこ鍋(1人前2450円)がある。


 鍋は、ちゃんこ以外に、もつ鍋も用意されていて、1人前1300円と手軽なお値段。


 店内には、「琴嵐」時代の雄姿をはじめ、同期生の貴乃花、曙、魁皇らと撮った写真なども飾られています。

 

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「また、みんなで同期生会をやりたいですね」とは、栗さん。

 

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店内は、老若男女のお客様でいっぱい。

 

 各種の鍋を注文した場合、追加でラーメン、雑炊、リゾットなども楽しむことができるのですが、意外な人気を誇るのが、特製ナポリタン。

 

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チーズがトッピングされた、ボリューミーなナポリタン。680円。

 

「今年の春場所は、無観客開催となってしまい、本当に寂しかったです。でも、佐渡ヶ嶽部屋に若い関取が誕生したことは、OBとして励みになりますね」(栗さん)
 相撲談義をしながら、気軽に地鶏が味わえるところも、『地鶏家 琴嵐』の人気の秘密なのでしょう。

 

 

*今回訪れた相撲めしの店
『地鶏家 琴嵐』

住所:大阪府大阪市北区天神橋4-10-5 上野ビル1F
電話:06-6882-0612
営業時間:17:00~27:00(ラストオーダー26:30)

定休日:月曜日

 

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*本連載は月1回配信予定です。次回もお楽しみに!
 

 

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武田葉月(たけだ はづき)

ノンフィクションライター。山形県山形市出身。出版社勤務を経て、現職。おもに、相撲の世界を中心に、取材、執筆活動をおこなっている。近著に『大相撲 想い出の名力士たち』(双葉文庫)、『横綱』(講談社)など。文芸誌『小説推理』(双葉社)で「ザ・大関 ~綱に手をかけた男たち~」連載中。

ノンフィクション書籍 好評発売中!!

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大相撲 想い出の名力士たち
著・武田葉月

     

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