琉球島猫百景

琉球島猫百景

#08

奥武島 アンダーマヤーの島

写真・仲程長治 文・シマネコキネマ

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防波堤をテリトリーにしている愛嬌たっぷりのキジトラ。青い海を背に、いつも周辺をパトロールしている

 

 奥武島(おうじま)は、沖縄本島の南部にある小さな島。島といっても本島と橋でつながっていて、地元ではスク漁やトビイカの天日干しが夏の風物詩として、観光客には海産物のてんぷらが名物の島としてよく知られている。車で周ればわずか5分程の島内には行列の絶えないてんぷら屋や海産物料理店などがあり、その周囲でたくさんの島猫たちに出会うことができる。

 

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島のてんぷら屋にはてんぷら待ちの猫がいる。お行儀良く待っていれば、今日のランチにありつけるはず

 

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サバニの前を通り、漁から帰ってきた海人に餌をねだりに行く猫。 海と猫はやっぱり絵になる

 

 日本の一般的なてんぷらとは違って、沖縄のてんぷらにはぽってりとした衣がついている。てんぷらの具材は魚、イカ、もずくといった島の海産物が定番だが、そうした美味しい部分は人間がいただくので、猫たちにお裾分けされるのは、油をたっぷり吸って膨らんだ衣の部分が多い。

 

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何を見上げているのかって? 車の窓から時々てんぷらがもらえるんです。何事もじっと待つ姿勢を猫から学ぶ

 

 化け猫が行灯の油を舐めている姿は日本の怪談でもお馴染みだが、元来、猫は油好きで、本能的に油を求めることがあるらしい。猫の健康にとってどうかはさておき、この島の猫たちは人間のアンダー(足元)で、アンダ(沖縄の方言で油のこと)をおねだりしているわけだ。

 

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てんぷら屋の椅子の木陰が休憩場。椅子に人が座ると、あちこちから猫が集まってくる

 

 猫だらけの奥武島の中でも、いちばんたくさんの猫が溜まっているのは、橋を渡って左折した先にある駐車場のあたり。
 ここで袋をガサガサさせたり、何かを食べるような素振りをしようものなら、あっという間にたくさんの猫に囲まれてしまう。避妊・去勢を済ませた「さくらねこ」も多いが、これだけの数の猫が共存していくためには、やはり秩序を保つための彼らなりのルールがあるのだろう。

 

 

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なんという距離感! 神が示したような間を空けて、手前のボスから順に猫たちが座った

 

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カメラを向けると、ブルーアイのシャム系ボスが睨みをきかせてきた

 

 てんぷら屋の軒先で猫たちの様子を観察していると、集団生活をする上で彼らが大切にしている距離感や、人間に対する姿勢が見えてきて、その適切さに脱帽する。人間が失ってしまった本能を存分に研ぎ澄ませて生きる猫たちから、学ぶことは多い。

 

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お昼寝はアスファルトではなく草花ベッドの上で。この島にももうすぐ春が訪れる

 

 

 

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公式インスタグラム→https://www.instagram.com/nyaha_28/

公式ホームページ→http://www.nyaha.ryukyu/

 

*本コラムの姉妹企画「琉球百景」は、沖縄発信の季刊誌『モモト』(編集工房 東洋企画)で好評連載中です。

 

*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

 

写真家のプロフ用

仲程長治(なかほど ちょうじ)

1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。20代の頃より沖縄県内であらゆる分野のアートデザインを手がける。琉球・沖縄の文化誌『モモト』の撮影とアートディレクションを32号まで担当。2017年冬に沖縄本島北部で開催される「やんばるアートフェスティバル2017-2018」では総合ディレクターを務める。現在、初監督作品となる『Nyaha!(ニャハ!)』を鋭意撮影中。

シマネコキネマ

シマネコキネマ

2018年春に公開予定の島猫映画『Nyaha!(ニャハ!)』(監督/仲程長治、脚本/仲村清司、音楽/宮沢和史)の製作委員会。

現在、琉球朝日放送(QAB)の情報番組「旬感!Qアプリ」内にて、テレビ版の「琉球島猫百景」を第2・第3水曜日(16時35分〜)放映中です。

 

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著・仲村清司 写真・仲程長治

     

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