台湾の人情食堂

台湾の人情食堂

#07

台湾ひとり旅入門

文・光瀬憲子

   

 

「台湾って、ひとりで行っても大丈夫?」

最近そうに聞かれることが多い。そんなとき私は「ぜひ! 特に台北はひとりでも行くべき」と答えている。私が初めて台北を訪れたのは20歳のとき。やはりひとりだった。当時はまだ英語には自信がなかったし、北京語だってニーハオとシェーシェーくらいしかわからない。でも、そんな人こそ台湾ひとり旅を楽しむことができるのだ。

漢字文化圏、日本語の通用度も高い

 

 台湾は日本人にとってもっともひとり旅がしやすい外国だと断言できる。理由はたくさんある。

 1つ目は日本と同じ漢字が使われていること。韓国のハングルはお手上げ、中国本土の漢字も簡略化され過ぎていてよくわからない。でも台湾では日本と同じ、または旧字体(繁体字/写真)が使われている。2つ目に、台湾人は驚くほど日本のことを知っている。日本のテレビ番組、食べ物や日用品などが台湾の至るところにあふれている。若者からお年寄りまで日本に親しみを感じているので、日本人旅行者のこともよく理解してくれている。3つ目に案外日本語が通じる。80歳以上のお年寄りなら日本の教育を受けた人が多いし、若者や中高年でも日本のテレビを見たり、日本へ何度も旅行したりしていて、少しは日本語が話せるのだ。

 

taiwan07_01

 

 こんなふうに、台北ひとり旅をおすすめしたい理由は挙げれば切りがない。では具体的にどうひとり旅をすればいいのかを考えてみよう。

宿はドミトリ―

 

 ひとり旅に絶対おすすめなのがドミトリーでの宿泊。男子部屋、女子部屋にそれぞれ4~8人が宿泊する。ベッド(写真)以外は他人と共有することになる。二段ベッドにカーテンがついているタイプが多く、貴重品はロッカーに入れる。大きなスーツケースはロッカーに入りきらない場合があるので、ベッドなどに固定できるようチェーンロックを用意しておくと安心。歯ブラシなどのアメニティーは持参、タオルはレンタルできるところが多い。音が気になる人は耳栓も用意するといい。

 

taiwan07_02

 

 ロビー(写真)やダイニングは共有スペースになっていて、コーヒーが無料だったり、雑誌やガイドブック、パソコンを自由に使える。もちろん、スタッフも親切に情報提供してくれる。ドミトリ―のいいところは共有スペースで友達を作れるところ。香港、中国、韓国の旅行客や欧米人と知り合って情報交換できる。

 

taiwan07_03

スマホと地図

 いまや日本国内でもグーグルマップや乗換案内アプリを利用する人は多いだろう。台北で自分のスマホを使うなら、日本の電話会社のローミングよりも台湾の空港でWi-Fiルーターをレンタルするほうが断然お得。日本にいながらネット予約と支払いを済ませ、台湾の空港のコンビニでルーターを受け取れる。Wi-Fiがあればグーグルマップを頼りに台北市内を歩くことができる。

 紙の地図も併用したいところ。ドミやホテルで提供している1枚の台北市内地図で十分だろう。また、MRT(都市鉄道)の路線図(写真)は必ず携帯したい。台北市内のMRTは路線が多くて入り組んでいるが、乗り方は簡単。目的地の最寄り駅までMRTを使い、あとは徒歩やタクシーで移動すれば交通費を節約できる。タクシーに乗る場合は新しくきれいな車が安全。運転手がきちんと車のメンテナンスをしていて対応も丁寧な場合が多いからだ。

 

taiwan07_04

 

 SuicaやICOCAに相当する悠遊卡(ヨウヨウカー)は最初に購入しておきたい。MRTの駅の窓口または自販機で、デポジット100元で買える。タクシーやコンビニでちょっとした買い物にも使えるので便利だ。300元ほどチャージすれば、2泊3日の台北市内の移動には事欠かない。

ひとり飯がしやすい

  台北がひとり旅に適している理由のひとつに、その食文化がある。台湾の小吃(軽食)は一人前が少なく、屋台や小さな食堂でサッと食べて立ち去る、というスタイルが一般的なので、台湾人もひとりで食事をすることが多い。だから、旅人がひとりで食事をしてもまったく違和感がないのだ。

 手始めに夜市をひとりで巡ってみよう。台北の寧夏夜市や艋舺夜市は食べ物が充実していて屋台のハシゴに最適。臨江街夜市や士林夜市は雑貨も多いので女性にはうれしい。ひとりで座って食べるよりも、まずは買い食い。香腸(腸詰め/写真)や潤餅(生春巻き/写真)はパッと買って食べながら歩ける。

 

taiwan07_05

 

taiwan07_06

 

 次のステップは庶民的な食堂。夜市沿いにある蚵仔煎(牡蠣卵とじ)や麺の店は初心者にも無難な味付けで、ひとりでも入りやすい。店のドアがなく開放的な作りで、軒先で店主が料理していて奥にテーブルが並んでいるような食堂では、まず空いている席を探して座る。メニューは壁またはテーブル上にある。壁にしかメニューがない場合は店員さんを見つけて伝えるか、周りの人が食べているものを指差して「これください」でOK。テーブルに注文書(写真)がある場合は食べたいものにチェックを入れて店員に渡す。たいてい、食べ物と引き換えに代金を払うので、料理が運ばれてきたら小銭を取り出そう。

 

taiwan07_07

 

 きちんとドアがあるレストラン風の店は注意が必要だ。大皿料理が出てくる可能性があるので、ひとり飯には適さないかもしれない。

 美味しい店を見つけるにもコツがある。朝市、夜市、その周辺をぶらぶら歩き、人だかりができていたら覗いてみるといい。整然とした行列ではなく、店先で人々が群がるように集まっているような店(写真)は旨い店だ。

 

taiwan07_08

 

 席が空くのを待って、サッと座る。よほどの人気店で番号札でも配っていない限り、これでOK。忙しい店では店員が無愛想なこともあるが、そこは個人経営の飲食店。日本のサービス業のように笑顔を振りまいていられないこともある。それでも誠意を持って食べたいものを伝えようとすればちゃんと通じる。食べ終わったら「謝謝(シェーシェー)」「好吃(ハオツー)」と言って席を立てば、店員もきっとニコッとしてくれる。

困ったときは…

 

 注文の仕方がわからない、道順がわからない…ひとり旅では困ることもある。もし道に迷ったら、ひとりで立ち止まって地図やガイドブックを広げてみよう。人混みであればあるほど、誰かが声をかけてくれる確率が高い。台湾人は外国人、特に日本人にやさしい。そしてなぜか、台湾人は日本人旅行者を簡単に見分けることができる。

 自分から助けを求めるときは、70~80歳の優しそうな高齢者、または20~30代の若者のグループがいい。70~80歳は時間に余裕があって、日本語の話せるお年寄りが多い。20~30代のグループは、そのなかに日本語または英語が話せる人がいる確率が高い。留学経験者などに当たればラッキーだ。また、小さなメモとペンを必ず持ち歩こう。共通の漢字が多い日本と台湾なら、筆談で多くを解決できる。

 ひとり旅は出会いもたくさん。用心は必要だが、初めての海外ひとり旅に最適な台湾でまずは第一歩を踏み出してみてはどうだろう? 大きな達成感が得られるはずだ。

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

taiwan00_writer

著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『ビジネス指さし会話帳 台湾華語』『スピリチュアル紀行 台湾』他。auポータルサイトの朝日新聞ニュースEXでコラム「翻訳女」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/

紀行エッセイガイド好評発売中!!

taiwan00_book01

台湾一周! 安旨食堂の旅

taiwan00_book02

台湾縦断! 人情食堂と美景の旅

   

台湾の人情食堂
バックナンバー

その他のTRAVEL

ページトップへ戻る

ページトップへ戻る