ジビエな旅【GIBIER】

ジビエな旅【GIBIER】

#06

西興部にある静かな村のホテルでエゾ鹿料理を楽しむ

西興部にある静かな村のホテルでエゾ鹿料理を楽しむ
ジンギスカン、シチュー、カレー、天丼で鹿肉料理三昧

ホテル森夢
―北海道・西興部村―
Hotel Rimu [Nishiokoppe Hokkaido]

興部6
ホテル森夢のレストラン・グリーンリーフで人気の「鹿シチュー」。ライスにスープとミニサラダが付いて1100 円。

 

いろいろな鹿肉料理が
いただける村のホテル

西 興部村に唯一ある宿がホテル森り夢むだ。街の中心部、国道239号線沿いに建ち、後述するエコツアーの参加者もここを利用する。
 ホテルのレストランでは地元で獲れたエゾ鹿料理がいろいろ楽しめる。ジンギスカンやロース天丼、オムライスやシチュー、カレーにそぼろ丼などで、ラーメンにも鹿肉のチャーシューが乗り、まさにジャパニーズ・ジビエのオンパレードといった感じ。
 鹿肉は低脂肪で高たんぱく。ビタミンB群が豊富で他の食肉に比べ体にいい成分も多い。現在、80万頭を超える鹿や猪が捕獲や狩猟で駆除されているが、そのうち
食肉として流通するのはほんの数パーセント。流通が進んだ北海道でも10数パーセントだという。ホテル森夢のように地元のジビエ料理を出すところが増えると、旅の思い出も増えそうだ。

興部8
村長が考案したピリ辛の村長ラーメン(1000 円)も人気。チャーシューが鹿肉で辛さが選べる。レストランは宿泊者でなくても利用可能。

興部9
宿の裏に清流も流れる静かな環境。夜は満天の星が望める村にある唯一のホテルのレストランで地元で獲れたエゾ鹿料理の数々をいただく。

興部7ホテルの裏には、秋になるとサケが遡上する興部川が流れる。釣り糸を垂れるとヤマメがかかる清流で、レストランではヤマメの天ぷらがいただける。

興部10

 

 

ホテル森夢【Hotel Rimu】

【住所】北海道紋別郡西興部村字西興部492
【電話】0158-87-2000
【料金】シングル4500 円~、ツイン6600 円~、夕食2500 円、
朝食1100 円 
http://hotelrimu.com/

 

エゾ鹿のエコツアーで
ガイドとともに生命と向き合う

NPO 法人
西興部村猟区管理協会

―北海道・西興部村―
[Nishiokoppe Hokkaido]

興部1
北海道でもエゾ鹿の多い道東では食害や交通事故などが深刻な問題となっている。エゾ鹿を害獣としてではなく地域の資源として活用しようという動きもあり、オホーツク海に近い西興部村ではNPOがエゾ鹿の生態を学ぶツアーを実施する。西興部村は人口が1100人ほど。平地が少なく中山間地がほとんど。基幹産業は酪農で、トウモロコシや牧草などが、森に多数生息する鹿の食害に遭っている。

NPOが管理する猟区で
エゾ鹿猟を体験する

 ライフル銃を撃った音が谷間に響く。その瞬間、大きな茶色い物体がザッーと森の方へと動く。命中したのだろうか……。
 
 10月中旬、ハンターに同行しエゾ鹿猟の現場を取材した。場所は道東の西興部(にしおこっぺ)村。オホーツク海から20キロほど内陸に入った中山間地である。
 猟は日の出から日没までと決められている。日の出前に出発しポイントを見て回る。その前週には釧路で雪も降っている。西興部でも霜が降り、うっすらと白い。猟場に精通したガイドの案内で、車で移動しながら獲物を探す。流し猟というもので、いろいろなところでエゾ鹿を発見する。10月から12月は鹿の発情期だ。オスは逃げることなく侵入者を威嚇することもあるとガイドの伊吾田順平さん。撃たれた鹿も逃げようとしなかった

エコツアーで猟を体験し
命や食についても考える

伊 吾田さんはNPO法人西興部村猟区管理協会に所属する。通常の猟場と違い、自主性も認められているのが猟区で、猟期も9月中旬から4月中旬までと長い。道外からも来るハンターの案内だけでなく、エゾ鹿を資源として活用することも図る。
 約1億円かけてつくった処理施設を有し、年間約250頭を解体する。肉だけでなく、皮や角をクラフト素材などにも利用し、なめすのも薬品は使わずオーガニック。また、毎年7月にはエゾ鹿の生態を知るエコツアーを実施し、一般向けに啓蒙活動も行う。
 2泊3日の体験プログラムで、猟の見学や撃った鹿の回収や解体、バーベキューでその恵みをいただくというもの。毎年多数の人が参加するが、特に20代女性が多
いそうで、子供連れたお母さんも参加する。
 現在、全国で野生鳥獣による農作物への被害は年間で約200億円という。鹿による被害が多く、特に北海道では被害総額50億円の8割がエゾ鹿によるものだ。エゾ鹿は本州鹿の倍ほどと大きく、幅広い食性で繁殖力も強い。駆除しないとどんどん増えていくが、ただ駆除するのでなく、命を無駄にしない活用方法を模索する。
 2017年からは2月にもエコツアーを実施するとのこと。雪に残された足跡を追う忍び猟(ストーキング猟)見学や、スノーモービル体験、極寒の中で焚き火を囲み星空を観察するなど、冬ならではの興味深い体験ができる。

興部4牧草は鹿にとってもご馳走で森と接する牧草地に出ることが多い。ガイドの伊吾田順平さんは、鹿が逃げた方向を推測する。30mほど離れた小川の側で倒れていた100㎏を超すオス。腹に命中したためその場で解体。本来なら処理施設まで運び内臓摘出するが、内臓にいる菌の汚染から肉を守るための処置。

興部2
伊吾田さんは年間250頭を解体するそう。10 年間やってきた結果、腱鞘炎にもなった。手術をしたおかげで痛みもとれて快適とのこと。ロースやフィレ、モモだけでなくバラやスネなども食す。命をいただく以上はできるだけ無駄にしない。ソーセージやジャーキー、缶詰などにも加工。

エゾ鹿の生態を学び猟にも同行
解体も体験し、その肉をいただく
興部3
村を抜ける国道239 号にも「シカ注意」の看板が。目が悪い鹿は前に続く習性があって車が来ても道路を渡る。大きな鹿だと大事故にも。

興部5エコツアーでは猟体験のほか渓流釣りやジビエ料理教室、クラフト体験なども。キーホルダーやケースなどの加工品をつくる。解体処理し、皮までなめすのは全国でも例がないそう。

興部1

 

西興部村猟区管理協会
「エゾシカエコツアー」

【住所】北海道紋別郡西興部村字西興部485
【電話】0158-87-2180
【実施】毎年7月と2月(2017年冬は2/10~12、2泊3日)
【料金】27000円(通常のエコツアー、学生は半額、宿泊・交通費は別)
http://www.vill.nishiokoppe.hokkaido.jp/Villager/Ryouku/

 

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「GIBIER(ジビエ)」


森の恵み、感動のジャパニーズジビエ73品

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