究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

#04

アジア地域の「暑さ」と「雨」に対抗するには?〈後編〉

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

食欲がないときの対策は?

 どれだけ暑くてもしっかり食べるのは旅の基本だ。暑さに負けて食欲を失ってしまうと、体力はどんどん削られていく。灼熱の太陽の下でもワシワシ飯を食べられることが、バックパッカーの条件のひとつかもしれない。
 東南アジアやインドは、スパイスやハーブを多用した料理で知られる。これらの香りには食欲増進の効果があるのだ。やはりその土地のものをしっかり食べることが、気候に対応する方法のひとつといえるだろう。
 とはいえ、どうしても食欲が出ないことだってある。そんなときは、まず南国のフルーツが挙げられるだろうか。カットフルーツは、とくにこの時期は衛生的な問題が考えられるので、自分で皮を剥いて食べるものがいいだろう。これにヨーグルトあたりを組み合わせるのがおすすめだ。しかし毎食フルーツではやはり無理がある。少しずつ普通の食事を摂るようにしよう。
 中国文化圏や東南アジアでは広くお粥も食べられている。日本のものとはだいぶ違い、卵や肉団子、モツなども入っておりボリュームたっぷり。こちらも食欲が落ちているときでも食べやすい。
 日本食レストランも手だ。いまや東南アジア以東のエリアでは幅広く普及しており、たいていのものは食べられる。バンコク、シンガポール、上海などでは本格的な和食店がしのぎをけずる。バックパッカー的な予算からするとけっこうな散財になってしまうが(宿代を超えてしまうことだってある)、ときには許されるだろう。あっさりさっぱりした日本食で体調を整えるのだ。

 

05
最近、タイ・チェンライで人気になっているワット・ローン・クン(ホワイトテンプル)。この白さは絶対に暑い。まぶしい

 

 

傘の意味をなさないほどの豪雨

 さて、続いては「雨」対策だ。雨具は持っていったほうがいいのだろうか。結論から言うと不要である。というのも、アジアの雨季に傘なんかさしたところで、サッパリ役に立たないからだ。
 それだけこの時期の雨は激しい。だいたい夕方を中心に黒雲が湧き上がり、すさまじい集中豪雨となる。傘の意味はあまりなく、足元を中心にだいたいズブ濡れになる。
 だが、1時間程度で上がることがほとんどだ。雨のおかげでいくぶん暑さも和らぎ、少しだけ過ごしやすくなる。
 このスコールの時間に当たってしまったら、どこかで雨宿りするのがいちばんだ。カフェで休む、ショッピングモールに飛び込む、寺院や博物館などでもいいだろう。実際、地元の人たちもそうして雨宿りをしてやり過ごしている。
 ただ注意したいのは渋滞だ。大都市では雨のために渋滞が巻き起こる。雨が降るのはたいてい仕事が終わる退社時間であることも拍車をかける。バスやタクシーに乗っていても、30分ほどまったく進まないことだって珍しくない。そもそもタクシーがつかまらないことも多い。この時間帯に、空港やバスターミナルなど行って移動する必要があるときは、早めに行動したほうがいいだろう。地下鉄などの都市交通システムがある街なら、そちらのほうが確実。
 またバイクによる事故も増える。交通事故にも気をつけたい。
 局所的に道路が冠水することもある。排水設備が貧弱なのだ。サンダル履きなら、とジャブジャブ歩き回ると、感染症の危険もあるし、怪我をすることもあるのでなるべく迂回を。
 傘は荷物にもなるし不要だが、もし自転車やバイクを借りて街を回る予定なら、ポンチョを持っていくか現地で買ってもいいかもしれない。急なスコールのときには助かる。雨に降られてコンビニの軒先あたりで佇んでいると、どこからともなくポンチョ売りが現れることもあって、アジアのたくましさを感じたりもする。

 

バックパッカーズ読本#04用雨のホーチミンシティだがバイクの市民たちはガンガン走っていく。けっこう楽しそう


 そしてこの時期、行き先としてちょっと厳しいのはビーチだ。海は荒れ、透明度は失われ、ときに船も欠航する。シーズンオフなのである。客も少ないため、宿もレストランも休業するところもけっこうあって、ビーチリゾートの雰囲気とはほど遠い。
 ただ、タイ南部はマレー半島の東西で気候がやや異なる。プーケット島のあるインド洋側はこの時期が雨季だが、反対のタイ湾側は1~8月くらいまでが雨の少ない乾季となる。この海域には、タオ島、パンガン島とバックパッカーに人気の島があるので、雨季に島旅をするなら狙い目だ。

 

06
雨季のマーク島(タイ)。せっかくの秘境リゾートもこれでは……

 

 

雨季の旅は体調管理もしっかりと

 この雨によって、どうしても衛生状態は悪くなる。食あたりなどに苦しむ旅行者も増える。インドやインドネシアあたりでは赤痢などの感染症の危険も出てくる。
 基本的なことだが手洗いは大切だ。そして飲食物に対する注意。よく火の通っているものを食べること。繁盛店であれば食材の回転率がよく、当たる確率が少ないともいう。生水や氷、生野菜もできるだけ避けよう。野菜不足を補うためのサプリを持っていく旅行者もいる。
 近年、世界的に増加しているのがデング熱だ。2014年には日本でも発生が確認されている。これは蚊が媒介する感染症で、40度近い高熱や頭痛、関節の痛みなどかなり激しい症状に見舞われる。だいたい3日から1週間ほどで治るのだが、旅の時間はかなり削られてしまうだろう。
 このデング熱が猛威を振るうのが雨季。媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカが大繁殖する時期だからだ。これらの蚊は、とくに都市部を好む。ちょっとした水たまりや、空き缶の中の雨水、バケツなどでも繁殖する。人の住処に近いのだ。いまや年間1億人が罹るともいわれ、とくにインドが多い。
 ワクチンはないので、対処法は蚊に刺されないようにすることだけだ。暑くても長袖長ズボンを着るのは方法のひとつ。蚊帳のある宿を選ぶのもいい。またよく現地では、ハーブを使った虫除けスプレーも売られている。タイではレモングラスを使った蚊除けスプレーがコンビニやドラッグストアで手に入る。
 そして万が一のことを考えて、海外旅行保険にはしっかり加入を。無保険で入院という事態になれば、高額な治療費がかかってしまう。保険があれば、安心して病院にかかれるというものだ。そのときには、できるなら日本語の通じる、あるいは日本人スタッフのいる病院を選びたい。アジア各国の首都ならたいていある。
 雨季の旅はいろいろとたいへんだ。しかしフルーツのシーズンだし、雨上がりの花々や、日本では見られない巨大な入道雲も美しく、雨季ならではの楽しさもある。

 

07
いっそ河で水浴びをするのも涼しくなっていいかも? ラオス、メコン河にて

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

紀行エッセイガイド好評発売中!!

okinawa00_book01

最新改訂版 バックパッカーズ読本

究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本
バックナンバー

その他の辺境・秘境の旅

ページトップアンカー