日本全国 相撲めしツアー!

日本全国 相撲めしツアー!

#02

『ちゃんこ新(あらた)』

文・武田葉月

藤島部屋で活躍した元新花山のお店

 稀勢の里V2!
 大興奮の大相撲春場所が終わって、力士たちは伊勢神宮奉納大相撲(三重県伊勢市)を皮切りに、愛知、兵庫、神奈川、長野、群馬、茨城、千葉、東京、埼玉…と各地を巡業し、4月29日、30日の大相撲超会議場所(ニコニコ超会議)を最後に、1ヶ月間に渡る巡業が終了。
 そして、5月1日は夏場所(5月14日~28日)の新番付が発表されます。番付発表のあとは、夏場所に向けて力士たちは本格的な稽古に励むことになります。
 それにしてもお相撲さんって、ホントに忙しいですね!


 本場所と本場所の間におこなわれる巡業がこれほど増えたのは、1990年代の「若貴ブーム」以来のこと。当時は千代の富士、小錦、若貴、寺尾など、スター力士がたくさんいて、「1年のうち半分も東京にいなかったんじゃない?」(寺尾)というほどの人気ぶりでした。


 その若貴が所属していた藤島部屋(のち二子山部屋)で、彼らの兄弟子として部屋のリーダー的存在だったのが、『ちゃんこ新』のご主人・元新花山(あらたかやま)さんです。

 

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『ちゃんこ新』のご主人、元新花山さん(右)とスタッフ


 昭和55年、若貴の父親、大関・貴ノ花の内弟子として二子山部屋に入門、56年に現役を引退した貴ノ花が57年に興した藤島部屋へ移籍し、幕下13枚目まで昇進しました。
 弟弟子には、安芸乃島(現・高田川親方)、貴闘力、貴ノ浪、若乃花、貴乃花(現・貴乃花親方)ら錚々たるメンバーが揃い、厳しい稽古で知られた藤島部屋。十両まであと一歩というところで、病気の可能性を示唆された新花山さんは、平成4年、志なかばで現役を引退。相撲への情熱が捨てられず、東大阪市に現在の店の前身「ちゃんこ新花山」を開いたのが、その年の12月のことでした。


 大阪の中心地・難波から電車で約15分。住宅地にたたずむ店は、開店時間の17時からお客さんが次々に訪れます。店内の大画面テレビで相撲中継を見ながら、まずはちゃんこ鍋をオーダー。
 塩、みそ、しょうゆ、梅味のちゃんこは、1人前2500円。具材は、鶏肉、団子、豚肩ロース、水ギョーザ、エビ、鮭、イカ、もち巾着に白菜などの野菜類が入って、ものすごいボリュームです。

 

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一番人気の塩味のちゃんこ鍋(2人前)

 

 他にも、キムチ、にんにくスタミナチャンコ(各1人前2800円)のバリエーションがあり、体が温まります。

 ちゃんこ店らしく、相撲(角界)風メニューも豊富です。
 特製手羽先の唐揚げ(500円)、どすこいウィンナー(お相撲さんサイズ・500円)、力士味噌(400円)、角力豆腐(350円)はよく出るメニュー。

 

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手羽先唐揚げ


 もちろん、おつまみも充実していて、とうもろこしの天ぷら(400円)、カンパチ造り(700円)、地鶏焼ポン酢(500円)、手羽ギョーザ(2本、500円)など、お酒が進むメニューがたくさん。
 

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カンパチ造り

 

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地鶏焼ポン酢

 

 

 さらに、締めに、田舎おにぎり、角力おにぎり(各2個400円)もあるので、リーズナブルな価格でお腹がいっぱいになるのです。

 店内には、若花田、貴花田(当時)、貴闘力らの手形や、亡き師匠・藤島親方の写真が飾られていて、新花山さんの「藤島部屋愛」が感じられます。

 

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店内に飾られた藤島部屋の力士の手形や写真
 

 ちゃんこ料理屋を営む一方、新花山さんが力を注いでいるのが、地元の少年たちへの相撲指導です。東大阪相撲道場に集まる少年たちに、毎週土日稽古をつけているのですが、今春、教え子の一人が元寺尾の錣山部屋へ入門。聖冴(せいご)という四股名で初土俵を踏みました。175センチ、151キロの18歳。
「今、40近く相撲部屋がありますが、聖冴には厳しい稽古をする部屋に入ってもらいたいと思っていました。
 かつて私が所属していた藤島部屋は、師匠がとても厳しい方で、稽古場はつねにピリピリした雰囲気でした。稽古場では皆がライバルです。私より8年遅く入門し、ものすごいスピードで出世した若貴兄弟に対しても、『絶対に負けたくない!』という気持ちで稽古していましたからね。聖冴にはそういう環境の中で這い上がっていってもらいたいですね」
 と、新花山さん。また、弟弟子だった貴乃花の貴乃花部屋の力士たちにも、熱い視線を送ります。
「20歳の幕内・貴景勝、夏場所で新十両昇進が決まった貴源治(19歳)など、貴乃花が鍛え上げた若手がどんどん上に上がってきた。夏場所、彼らがどれだけ暴れるか、楽しみです」


 各テーブルをていねいに回って、
「お味のほうはいかがですか?」
 と、お客様とのコミュニケーションを取る新花山さん。これも相撲界から学んだ大きな財産なのでしょう。

 

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ご主人との会話もお店を訪れる楽しみのひとつ

 


*今回訪れた「相撲めし」のお店
『ちゃんこ新』
住所:大阪府東大阪市永和3-5-20
電話:06-6723-1213

 

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*本連載は月1回配信予定です。次回もお楽しみに!
 

 

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武田葉月(たけだ はづき)

ノンフィクションライター。山形県山形市出身。出版社勤務を経て、現職。おもに、相撲の世界を中心に、取材、執筆活動をおこなっている。近著に『大相撲 想い出の名力士たち』(双葉文庫)、『横綱』(講談社)など。文芸誌『小説推理』(双葉社)で「思ひ出名力士劇場」連載中。

ノンフィクション書籍 好評発売中!!

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大相撲 想い出の名力士たち
著・武田葉月

     

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