究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

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#02

「初めてのバックパッカー」モデルルート徹底解説〈2〉

文と写真・『バックパッカーズ読本』編集部

 

バックパッカーの聖地を歩く

 カオサン通りの喧騒の中にいると、心が沸き立ってくる。世界中からやってきた旅行者が歩き、屋台が並び、ゲストハウスや旅行会社の看板が乱立し、お祭りのようだ。旅に必要なアイテムもなんでも買える。日用品はもちろん、例えば電源タップとか自撮り棒とかGoProまで、旅行者が必要なものはたいていある。
 宿の相場は格安のドミトリーが100~150バーツ(約330~500円)、シングル200バーツ(約670円)が底値だろうか。700バーツ(約2300円)ほど出せば、エアコン、ホットシャワーのついたそこそこきれいな部屋にありつける。Wi-Fiはどこでもあるが、ロビー周辺だけということもあるので注意。
 予約はシーズンならしておいたほうが無難。「この宿!」と決めているならなおさらだ。その宿のサイトか、予約サイトを通そう。ただ飛び込みで宿を探すのもバックパッカーの醍醐味。カオサンに着いてから宿を探してもいい。メインとなるカオサン通りは混み合う上に、高いゲストハウスが多い。加えて騒々しい。その西側、ワット・チャナソンクラムという寺の周辺には、手ごろで静かな宿が点在している。カオサンの北側、バンランプー運河周辺にも最近は居心地のいい宿が増えてきた。
 なお最近は、カオサンに泊まる日本人は減少気味。バンコク中心部からは離れた場所にあってアクセスが悪いからだ。いまではバンコクの目抜き通りであるスクンビットや、ビジネス街のシーロム、それにスワンナプーム空港からエアポートリンクという高速鉄道で結ばれているパヤタイなどにも安いゲストハウスが増えている。

 

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バックパッカーなら一度は行きたいカオサン通り

 

 

アユタヤの遺跡に足を延ばすのもおすすめ

 バンコクでの見どころは、カオサンのそばにある王宮や寺院群、近頃「インスタ映えスポット」として知られるようになった寺院ワット・パクナム、スクンビットやシーロムの繁華街などだろうか。中華街での食べ歩きやナイトマーケットも楽しい。2、3日あればけっこう満喫できるだろう。
 少し郊外も見てみるならアユタヤあたりが手ごろ。14世紀から400年に渡って栄えたアユタヤ王国の遺跡が残る世界遺産の街だ。遺跡見物もできるし、象に乗って街をゆく体験も人気。なにより、タイの田舎町ののんびりとした風情、おおらかで温かいタイ人の人柄に、ほっとさせられるだろう。タイは地方にこそ本当の良さがあるのだ。
 アユタヤにはゲストハウスも多い。鉄道駅の周辺や、遺跡の並ぶ旧市街東部に集まっている。エアコンなしなら200バーツ(約670円)くらいからシングルが見つかる。こじんまりした居心地のいい宿が多い印象だ。こういう場所には自転車のレンタル(1日50バーツくらい、約160円)もあるので、遺跡巡りをしてみよう。
 アユタヤは日帰りか、1泊程度で訪れるといいだろう。

 なおタイでは、外国人の多い観光地ならカンタンな英語は通じる。

 

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仏教遺跡と風情ある街並みが楽しめるアユタヤ

 

 

バンコクを飛び出して、一路東へ!

 そして次なる目的地はカンボジアだ。世界遺産アンコールワットを目指すわけだが、カオサン通りに山のようにある旅行会社を通せばカンタンなんである。アンコールワット観光拠点の街シェムリアップまで、カオサンから直行の国際バスが多発しているのだ。料金は500~600バーツ(約1700~2000円)くらいだろうか。
 しかし、である。このバス、問題が多い。国境でバスを乗り換える際に、延々と待たされることがあるのだ。ようやく現れたバスに乗り込んでもシェムリアップに着くのは深夜となる。で、旅行会社が提携しているホテルの前で降ろされるのだ。深夜に、着いたばかりの国で宿を探すのはなかなかたいへんだ。そこで仕方なく旅行者はその宿に泊まってしまうというわけ。こういう旅行会社がけっこう多い。
 そもそもカオサン発のバスは外国人旅行者ばかりで、いまいち味気ない。せっかくのバックパッカー旅行なら、自分で移動しよう。
 バンコクからは、北バスターミナル、東バスターミナルから国境行きバスが出ている。「ロンクルア国境マーケット」行きに乗ればいい。200バーツ(約670円)ほど、所要4時間くらいだ。あるいは国境への拠点となる街アランヤプラテートまで行って、そこからトゥクトゥクやバイクタクシーで国境に向かう手もある。鉄道はバンコクのホアランポーン駅からアランヤプラテート駅まで1日2本、48バーツ(約160円)と格安。5時間30分ほどかかる。
 アランヤプラテートでは「カンボジアのビザを取ってやるぞ」という連中から声がかかるが、かなりボラれるので相手にしないように。

 

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タイのバスターミナルでは簡単な英語は通じる。アランヤプラテートや国境行きは予約の必要もない

 

 

陸路で国境を越えていく

 この国境はカンボジア側の街の名前から、通称ポイペトと呼ばれている。
 日本人にとってはなじみのない陸路国境だが、出入国は空港と変わりがない。まずは出国カードに記入してイミグレーションに並び、タイを出国しよう。
 そして見上げるカンボジアの入国ゲート。いよいよここから先はカンボジアだという思いが込み上げる。ゲートをくぐった右手にはビザの発給事務所がある。ここでは窓口にある書類に必要事項を記入して、写真1枚を添えて提出しよう。料金は1000バーツ(約3300円)。いちおう公務員の働く役所であるのに、「申請書類を俺が書いてやるから1ドルくれ」とかいうやつが現れたり、窓口の係員にワイロをねだられることもあるが、やんわりと断ろう。すぐにビザのシールが貼られたパスポートが返ってくる。
 このパスポートを持って、今度はカンボジアの入国審査の事務所に行く。ここでは行列ができていて、ちょっと待つこともあるかもしれない。忍耐だ。
 なおこの国境越えについては、こちら→タビリスタ連載「越えて国境、迷ってアジア」#01も参照。

 

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いざカンボジア! いかにも国境という感じのゲートがたまらない

 

 

そしてアンコールワットへ

 ようやく手続きを終えて、晴れてカンボジアに入国すると、ずいぶん世界が変わっていることに気がつくだろう。タイに比べると、どこか荒々しい雰囲気。舞い上がる砂埃、汚れた街並み。すぐそばはタイなのに、なぜだかこちら側のほうが空が高く、雲が白く、そして暑い気さえするのだ。
 そして、あやしい連中からばんばん声がかかる。そのほとんどはシェムリアップまでの乗り合いタクシーの客引きだ。相場は20~30ドルくらいだろうか。これは1台あたりの料金なので、ほかの客がいれば一人頭は安くなる。国境を越えてきた旅行者や地元の人に声をかけてみるのも手だ。
 もちろんボッタクリも多い。あからさまに高い値段を提示してくる輩は無視したほうがいい。この国境では警戒心は常に持っておきたい。
 国境からまっすぐ延々と続く幹線道路の左右にも、小さな旅行会社のブースがあってバスやミニバンのチケットが買える。こちらのほうが安心度は高いかもしれない。5ドルほどだ。
 国境を出発すると、やがてカンボジアの雄大さに目を奪われるだろう。地平の果てまで続くジャングル。広大な田畑と、ところどころに立つ背の高いヤシ。壮大な入道雲。ささやかな村では高床式の家と、駆け回る子供たちの姿。まだまだ貧しさも目にするが、そのぶんだけ残る素朴さや懐かしさが胸を打つ。これらもまたタイとはだいぶ違う、カンボジアならではの光景だ。
 シェムリアップまでは2時間ほどのドライブだ。いまや世界的観光地として発展したこの街には、超高級ホテルから1泊2ドルのドミトリーまで宿の選択肢は幅広い。10ドル程度でも広々として設備の整ったゲストハウスに泊まれるので、タイよりもコスパはいい。有名な日本人宿(泊まり客のほとんどが日本人バックパッカーという宿)もいくつかある。
 アンコール遺跡群はじっくり見ればそれこそ何年もかかるが、代表的な遺跡だけを回るなら1~2日といったところ。3日あれば郊外のトンレサップ湖なども巡れるだろう。
 帰路はまた陸路でもいいし、あるいは飛んでもいい。シェムリアップからバンコクまではエアアジアが片道1万円前後。これなら1時間でドンムアン空港に帰着できる。
 この全行程、最低1週間あれば回れる。
 もちろん、シェムリアップからさらにカンボジアを、そのままベトナムやラオスに旅を進めていくのもいい。
 初海外でも、初バックパッカーでも、インドシナ半島ならきっと楽しく旅できる。もちろん多少の苦労はするが、それも含めて、やって来て良かったと思える旅になるはずだ。

 

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アンコールトム遺跡。こうした世界遺産だけでなく、シェムリアップではローカルな村などでの地元の人々との触れ合いが楽しい

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

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