自転車で巡るニッポン麺の旅。

自転車で巡るニッポン麺の旅。

#01

埼玉中華そばの名店 激走105㌔

文と写真・高山コジロー

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新連載、自転車で巡る麺旅スタート!

 

 

 

第1回目は「どこに麺を食べに行こうか」と意気込んでいたのだが、肝心の「ママのチャリ」の調子が悪い。近郊のラーメン屋へ試走中、フル充電したのに突然バッテリーが切れて3キロほどで止まってしまう。10年以上も前の古い車種、取材にはなんとも心もとない。


「新しい自転車買うかな。」

 

元々、近所の移動に気軽に乗れる折りたたみ自転車の購入を検討していた。そしてコロナ禍の息詰まった自粛生活で、自転車欲はより高まっていたところだった。
一念発起し新しい電動自転車を購入することにした。10年前は「ビアンキ」「ルイガノ」とオシャレ自転車を乗り継ぎ、自転車通勤をしていたこともある。どうせ買うなら機能的でオシャレな電動バイクにしたい。ネット検索するとお目当てのオシャレな舶来ブランドは最低でも30万円オーバー! とても手が出ない。予算は、給付金でなんとか収めたい、、。国産に目を向けてみるとブリヂストン、ヤマハ、パナソニックの3社からママチャリタイプでなく、本格的な電動バイクがたくさん出ているではないか!
なかでも惹かれたのが「このバイク、走りながら自動充電。」というキャッチ!
ブリヂストンの2020年新型電動クロスバイク『TB1e(ティービーワン)』だ。
そもそも自動充電機能ってなんだ? 一回の充電で130キロ走行可能だという。現在は埼玉暮らしだが、東京を超え神奈川県の鎌倉あたりまで日帰り可能な性能だ。メカには弱いけど、メカ好きのオヤジは「自動充電」の機能に魅了されたばかりでなく、本格的7段変速ギア(もちろんシマノ製)、国産らしからぬデザインの美しさにも一目惚れ。
組み立て、メンテ、防犯登録も考え、ネットではなく近所の自転車屋さんで早速注文する。まさに衝動買い!予算は少々オーバー(泣)。
すぐに乗れるのかと思っていたら、納品は早くて8月のお盆明けとのこと。でも納品を待つ間はアマゾンで買い物三昧(笑)。かっこいいヘルメット、たぶん必要ない最新GPS電子メーター、オシャレな雨具とナイキのキャップ、携帯ホルダーなど、カタチから入るオヤジは準備万端だ。
 

 

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そして、待ちに待った納車日。フランスっぽい、ネオンライムの鮮やかな色が眩い。
ステンレスの前カゴだけは別注。クロスバイクでは珍しく、頑丈なサークル錠や前後の泥よけ、サイドスタンド、オートライトまで標準装備で実用性はバッチリ。
初めて自転車を買ってもらった時より、なんか、嬉しいかも(笑)

 

 

 

埼玉県・所沢市へ往復50㌔の初ロード

 

 

さて納品後、早朝に試し乗りを2度ほどして機能と操作を確認。週末はいよいよ麺旅に出発だ!
ところで自転車旅行でナビは必須だ。近所ならばグーグルマップで十分だが、自転車専用のナビが欲しい。無料アプリもあるのだが、使い勝手の良さそうな有料アプリ「自転車NAVITIME」のプレミア会員(月/250円)を試すことにした。
速度や走行距離、走行時間、高低差もわかり、「推奨ルート」ほか「裏通り優先」「サイクリングロード優先」など7つのルートから道を選べる。しかも自動車のナビ同様に、音声案内までしてくれる優れものだ。


2020.08.23 09:00出発。朝から30度超えの猛暑である。
目的の所沢市の「自家製手もみ麺 鈴ノ木」まで、推奨ルートでの総距離は約25キロ。
自転車の走行速度を15㎞/hに設定すると、1時間45分ほどの旅だ。
電動サポートは「エコ・オート・パワー」の三段階あり、標準のオートに設定して走り出す。タイヤは太くグリップ力が強いので快適な走りだ。7段変速ギアは「4」に設定して15〜18㎞/h程度で進む。所沢までは国道463号線(浦和所沢バイパス)でほぼ一直線。10分ほどで荒川にかかる長い橋に差し掛かると緩やかな登り坂だ。すると前輪から「シュルシュル、シュル」と初期のプリウスのような静かな電子音が聞こえてくる。電動サポートが効いてギアを変えることなく同じ感覚でペダルを漕ぐことができる。この自転車の特長で前輪はフロントモーター、後輪は漕ぐ力による駆動でグリップ力が上がる。道路にピタリと張り付き、まるで自動車の4WDのような安定した感覚だ。
「これはいい。」
サポートが効くと前輪が浮くような感覚になる後輪駆動の電動自転車とは全く異なる感覚だ。走りは超快適なのだが、とにかく暑い! 30分ごとに休憩しながらゆっくり進む。
さいたま市から富士見市、志木市を抜けて所沢市に入る。予想外に起伏が激しく高低差は150メートルもある。急な登り坂ではパワーモードに切り替えてギアを「3」に落とすと、スイスイ登れる。結局軽いギアの「1」と「2」は一度も使うことなく、もちろん立ち漕ぎなど皆無。道中、風のように颯爽と追い越していったホンモノのサイクリストにも、長い坂道では追いついてしまうほどのサポート力だ。下り坂でペダルを漕ぐのをやめると「自動充電」が始まる。自動車のエンジンブレーキのように、自然とほどよいブレーキがかかるので、スピードを出し過ぎることもなく安全性も十分だ。
休み休み2時間かかり、西武池袋線の狭山ヶ丘駅に到着。駅前の大きな有料駐輪場に自転車をとめる。
 

 


 

「自家製手もみ麺 鈴ノ木」@狭山ヶ丘

 

ツイッターのフォロワーさんが絶賛するラーメン。「自転車de麺旅」で最初に訪れたいと決めていた名店だ。そのため、あまり考えてなかったのだが、最寄りの狭山ヶ丘駅からは1、2分ほど、アクセスのいいお店だった(笑)。
日曜日ということもあり、まだ開店前だったが店内、店内待ちスペース、そして外まで10人以上の行列だった。暑さと25キロの走行で思ったより足に疲労がきていて、正直並びがつらい。1時間ほどで店内に。隅々まで綺麗でぬくもりのある店内は、ほどよく冷房が効き、ホッとする。

 

 

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カウンターに案内され、しばらくすると「特製醤油ラーメン」(大盛サービス)が提供される。まずは、熱々のスープをひと口啜る。「うーん」思わず唸るほどの旨さ。まろやかな口あたりで鶏と醤油のコクのある深い芳醇な旨みが永遠に続くよう。
自家製の平打ちの手もみ縮れ麺は、小麦の香り、歯ごたえ食感もよく、またスープと好相性で絡み具合が素晴らしい。
 

 

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チャーシュー、ワンタン、味玉も秀逸で、九条ネギの塩梅がいい。もう一杯食べたい(笑)。
疲れも暑さも吹き飛ぶ、まさに至福の一杯。
おいしかったです。ごちそうさま。

 

 

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「自家製手もみ麺 鈴ノ木」/埼玉県所沢市狭山ヶ丘1-3003-83

 


帰路はきつかった。電動自転車といえ、自力で漕がないことには前に進まない(笑)。
単調な1本道、日曜日の午後は交通量が激しく車道は走りにくい。コンビニを見つけては休憩しながら、2時間半ほどかかりヘトヘトになり帰宅。

 

 

 

上尾市を経由して比企郡川島町へ 37度の灼熱ロード55㌔

 

 

2020.08.29 10:00。 この日は猛暑日の予報。朝からのあまりの暑さにちょっと無謀かな、、、とも思ったが、熱中症対策に凍らせたポカリスエットを5本持って出発。最初の目的地は上尾市郊外で15キロ、1時間ほどの道のりだ。自転車は快適そのもの。馴染みのある国道17号線を北上する。さいたま市内の旧与野市、旧大宮市を過ぎるともう上尾市だ。17号線は自転車専用道路が整備されていて、渋滞を尻目にスイスイ。平均20㎞/hで進み予定より早く「中華そば よしかわ 上尾店」に到着。最寄りの北上尾駅から徒歩20分。そのため大きな駐車場があり、バイクと自転車をとめるスペースもある。

 

 

 

「中華そば よしかわ 上尾店」@北上尾

 

 

 「煮干しそば 白醤油」「煮干し 黒醤油」「牡蠣そば」などは、デパートの催事場やイベントで食べたことがあるのだが、上尾店は初訪問だ。開店間もないのに外で10人ほど待ち。ひさしがある縁側に座って待てるので暑さがこたえない。回転はよく20分ほどで店内に。
 

 

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 数量限定の「冷やし煮干しそば」。キンキンに冷やされた綺麗に澄んだ黄金色の煮干しスープをひと口啜る。淡麗ですっきり、片口いわしなど4種のいりこの旨みが凝縮。冷たいスープだと目立つ煮干しの渋みや苦みがなく、カエシのバランスもよく、ジワジワと旨味が広がる。
 

 

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コシのあるモチモチの自家製麺とスープがよく絡み好相性だ。大振りのチャーシューは食感、肉の旨みが溢れる。最後まで旨み溢れる煮干しスープは、余韻が長く続き素晴らしい一杯。
おいしかったです。ごちそうさま。
 

 

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「中華そば よしかわ 上尾店」/埼玉県上尾市南97-5

 

 

 

時刻は11:40。上尾から比企郡川島町へ向かって走り出す。15キロほどの道のりだが、雲ひとつない快晴で灼熱の太陽が肌を焼き付ける。すでに35度オーバーの危険な暑さ。上尾の市街地を抜けると、のどかな田舎道になり人通りは全くない。
「暑い!」。「とにかく暑い!」。汗が滝のように流れる。15分ごとに水分を取りながら桶川市を過ぎると川島町に入る。国道254号線(川越街道)から少し入ったところに「中華そば 四つ葉」が現れる。最寄り駅はなく川越駅からだとバスで20分以上かかるという。アクセスは車でないと難しい。駐車場は20台ほど入るだろうか、入り口の係の方に案内されて自転車をとめる。

 

 

 

「中華そば 四つ葉」@川島町

 


店先にテントが張られていて10名ほどの待ち。埼玉の最高峰の中華そばと名高く、細麺(大成食品)の「蛤そば」「煮干しそば」「四つ葉そば(醤油)」、太麺(村上朝日製麺所)の「まぜそば」「つけそば」の5種類はどれも大人気だ。思ったより回転はよく20分ほどで店内のカウンター席に案内される。

 

 

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「四つ葉そば」。アツアツのスープをひと口啜る。エッジのきいた鶏の旨みが溢れ、唸る旨さ! 比内地鶏をベースに天草大王などの希少地鶏のコクと深みがジワジワと湧き上がるスープ。地元川島町の笛木醤油と川越の松本醤油をメインとした天然醸造醤油のカエシとのバランスが絶妙。大正創業の老舗、大成食品のストレート細麺と濃厚なスープがよく絡み相性はバツグンだ。

 

 

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特製でなくレギュラーなのだが、低温処理の豚チャーシューが4、5枚重ねられボリュームが凄い。とろけるような肉。

 

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そばばかりでなく、名物の「本日のにぎり」も堪能。元々お寿司屋さんというだけあり、本格的な握り、新鮮なネタは大振りで酢飯の具合よく、旨い。
「最高峰の中華そば」といわれるのも納得の秀逸の一杯。
おいしかったです。ごちそうさま。

 

 

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「中華そば 四つ葉」/埼玉県比企郡川島町伊草298-20

 

 

この日、同じ比企郡の鳩山町は38.7度を記録し全国1位。川島町からさらに川越に向かうが、もはや自転車で走れる暑さではなく、しばらく休憩する。ラーメンを食べたい食欲と意欲(笑)はあるのだが、酷暑のなか、すでに30キロ走ったカラダは思ったよりも重く動かない。持っていったポカリスエット500ml×5本=2500mlはすでに汗となって流れている。川越でのラーメンは諦めて、25キロを3時間ほどかけて帰路につく。
暑さはこたえたが、なんともお気楽極楽な、自転車de麺旅であった。

 

次回は、佐野ラーメン! 往復120キロ(笑)。

10月23日掲載予定。
 

 

 

 

*この連載は毎月23日に更新予定です。
 

顔

高山コジロー

編集者・旅人・たまにバーテンダー。大学卒業後、出版社にて男性ファッション誌、女性ファッション誌、漫画誌、トラベル誌、フリーマガジンなど25年に渡り20誌ほど編集長として携わる。現在は11歳の白黒の雄猫と暮らす気ままな旅人。JALの生涯搭乗数305回・2017-2021サファイア会員。忘れられぬ旅はJALファーストクラス(特典航空券)で行ったパリ一人旅。世界中の酒と旨いものに目がない「食いしん坊」ある。特に麺好きで2019年、日本各地で265杯を完食。2017年「マイル修行&麺の旅」、2019年「飛行機に乗って麺の旅」をTABILISTAにて連載。本編はその続編にあたる。Twitter/コジローKojiro(@takayama_kojiro)

 

 

 

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