日本全国 相撲めしツアー!

日本全国 相撲めしツアー!

#01

『力士料理 琴ヶ梅』

文・武田葉月

 大相撲春場所、盛り上がりましたね!
 千秋楽、新横綱・稀勢の里が、ケガを押して出場。まさかの逆転優勝を決めた瞬間、会場の大阪府立体育会館は、地鳴りのような歓声に包まれました。
 大相撲の見方は、多種多様だと思っています。ごひいき力士を見つけて応援すること、相撲場の和の雰囲気を満喫すること、行司さん、呼び出しさんなど裏方さんに注目すること……などなど、すべてが「大相撲」なんです。
 さて、ここで注目したいのが、大相撲の「食」の部分です。体が資本の力士たちは、とってもグルメ。日本全国のおいしいものをたくさん知っています。毎日食べるチャンコ鍋だって、いろいろなバリエーションがあるんです。
 そこで、本連載では、各地で話題の「相撲めし」のお店に実際に足を運んで、おいしいものを紹介していきたいと思います。

 

 

「花のサンパチ組」元関脇・琴ヶ梅

 第1回目は、東京・錦糸町の『力士料理 琴ヶ梅』。両国国技館のある両国駅からJR総武線で1駅、駅から徒歩2分の下町にあります。
 屋号でおわかりのように、ご主人は、元関脇の琴ヶ梅関。北勝海(現・八角理事長)、寺尾(現・錣山親方)、北尾(のち双羽黒)らと「花のサンパチ組(昭和38年生まれ)」と呼ばれ、昭和60年年代から平成9年まで、押し相撲で活躍された力士です。今は、錣山部屋の師範代として、若手力士に稽古の指導をする一方、夜はお店で接客をされています。

 

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19年目を迎えたお店の前で

 

 相撲めしの定番、ちゃんこ鍋の一番人気は、塩仕立ての「水晶鍋」です。
 博多が発祥の「水晶鍋」にヒントを得たこの鍋は、キャベツ、ネギ、もやし、えのき、ニラ、しいたけなどの野菜に加えて、鶏ミンチ、ゴマ油でいためた鶏肉が入った、ヘルシーな鍋。あっさりした塩味に、ゴマ油の香ばしさが効いていて、すりゴマをかけていただくスタイルです。
「飽きがこない味なので、リピーターの方が多いんですよ」(琴ヶ梅さん)
 鍋の締めは、チャンポン麺、おじやなどにアレンジすることも可能です。

 

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水晶鍋、1人前3500円

 

 ちゃんこ鍋は、しょうゆ仕立て、みそ仕立てのオーソドックスなもののほかに、トマト、ほうれんそう、チーズが効いたイタリアンちゃんこ、カレーちゃんこ、クリームちゃんこ、博多風もつ鍋があって、バリエーションが豊富です。

 

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鍋のバリエーションも豊富。写真はイタリアンちゃんこ、1人前3050円

 

 さて、一品料理が豊富なことも、『琴ヶ梅』の特徴です。
 軽めのおつまみだったら「力士みそ」。ひき肉、ニンニクを加えた特製みそできゅうりをいただくというシンプルな料理ですが、じつは相撲部屋の定番でもあるんです。
「食べることが仕事」と言われる力士でも、夏場などは、さすがに食欲が湧かないこともあるようで、
「食欲がない時に、白メシに力士みそを乗せると、不思議とゴハンがかき込めるんですよ。おかげさまで私の場合、『食欲がない』ということは、ほとんどなかったですけどね(笑)」(琴ヶ梅さん)
 とのこと。連日、仕出し弁当が続く地方巡業などに、この力士みそを持っていく力士や裏方さんも多いんだそうです。
 純レバ炒めも、絶品です。琴ヶ梅さんが若手力士の頃に過ごした、錦糸町の佐渡ヶ嶽部屋近くにある中華料理店で食べた、ソールフードがベースとか。甘辛く炒めた鶏レバーにたっぷりのネギが、食欲をそそります。

 

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力士みそ、670円

 

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食欲をそそる純レバ炒め、780円

 

 富山出身の琴ヶ梅さんは、地元の食材、酒にも力を入れています。時期によって、富山直送の白エビ、生ホタルイカ、山菜を使った一品料理を味わえるほか、琴ヶ梅さんの地元・八尾町の銘酒「風の盆」「満寿泉」「立山」などの地酒も提供。「琴ヶ梅」の屋号にちなんで、梅酒のラインナップも充実しているので、女性も十分に楽しめるでしょう。

 

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立山、風の盆、満寿泉、各1合710円

 

 店内には、現役時代の明け荷や、手形などが飾られて、相撲ムード一色。
 明け荷とは、相撲を取る時に必要な、締め込み、化粧まわし、浴衣、テーピングなどを入れておく行李なのですが、力士の場合、関取(十両)になると、始めて持つことができます。力士が出番を待つ支度部屋には、各力士の明け荷がズラーッと並んでいるんです。

 

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琴ヶ梅関の現役時代の明け荷(左)と手形(右上)

 

 さて、大盛況だった春場所を琴ヶ梅さんはどう見ていたのでしょうか。
「稀勢の里が横綱に昇進して、久しぶりに4横綱時代に突入しましたね。私が現役時代は、千代の富士、北勝海、大乃国、旭富士の4横綱時代を経験しました(平成2~3年)。大相撲に、活気がみなぎっていた時代です。
 前売りチケットが完売したり、一時、停滞していた相撲人気が、ここ1、2年でまたこんなに回復してきて、本当にうれしいですね。春場所、私が師範代をしている錣山部屋の阿炎(読み方=あび・22歳)という力士が幕下で優勝しました。十両復帰まであとひと息です。また、地元富山からは、朝乃山(23歳・高砂部屋)という力士が十両に昇進し、私以来の関取誕生で湧いています。
 こうした若手力士にも、注目してもらえたらいいですね」
 琴ヶ梅さんのこうした相撲談義も、楽しみのひとつになりそうです。

 

 

*今回訪れた「相撲めし」のお店

『力士料理 琴ヶ梅』
住所:東京都墨田区錦糸3-4-4サガラビル1F
電話:03-3624-7887

(八丁堀店もあります)

 

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*本連載は月1回配信予定です。次回もお楽しみに!
 

 

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武田葉月(たけだ はづき)

ノンフィクションライター。山形県山形市出身。出版社勤務を経て、現職。おもに、相撲の世界を中心に、取材、執筆活動をおこなっている。近著に『大相撲 想い出の名力士たち』(双葉文庫)、『横綱』(講談社)など。文芸誌『小説推理』(双葉社)で「思ひ出名力士劇場」連載中。

ノンフィクション書籍 好評発売中!!

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大相撲 想い出の名力士たち
著・武田葉月

     

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