琉球島猫百景

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#21

西表島 ヤマネコの島の猫事情

写真・仲程長治 文・シマネコキネマ 

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こちらはイリオモテヤマネコではなく、西表島だけの特別ルールで飼われているイリオモテシマネコ


 西表島といえば、特に猫好きでなくても誰もが「イリオモテヤマネコ」を思い浮かべるのではないだろうか。
 改めて説明するまでもないが、イリオモテヤマネコは西表島だけに生息する野生のヤマネコで、島ではヤママヤーと呼ばれている。
 1965年に発見され、1977年には国の特別天然記念物に指定されたが、残念ながらその数は減少の一途にあり現在の推測生息数は約100頭。環境省のレッドリスト(絶滅が危惧される野生生物のリスト)では、「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い」絶滅惧種IA類に指定されている。

 

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玄関口の大原港から程近い西表大原郵便局では、ヤマネコシーサーがシャー!と出迎えてくれる

 

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「イリオモテヤマネコ飛び出し注意」の看板は、島唯一の幹線道路のあちこちで見られる

 
 イリオモテヤマネコの生息域は川や沢などの湿地やマングローブ林などの低地で、エサであるカエルや鳥やネズミが多い田んぼの近くにもよく現れる。そのことが、2018年に過去最悪の9頭という悪しき記録を残してしまったヤマネコの交通事故にもつながっていて、さらにその影には観光客数と共に増加している交通量や、環境の変化によってヤマネコたちが車慣れ、人慣れしてしまったという事情もある。
 西表は、今も島の面積の約80%がジャングルで覆われ、各集落に古の祭祀が脈々と息づいている島である。そこには、「島のすべては神々のものであり、人間はそこから必要な分だけを分けてもらう」という、大いなる自然に対する畏怖の念がある。西表島にいると、ヤマネコという野生に会いたい気持ちがあったとしても「自然と人間の間には、決して越えてはいけない一線がある」ことを実感させられる。

 

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仲間川に架かる仲間橋の欄干には4匹のヤマネコ石像が

 

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古見の後良橋には親子のイリオモテヤマネコの銅像がある

 

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船浦の海中道路展望台に建つヤマネコ像。ピナイサーラの滝を望める


「イリオモテヤマネコに会ってみたい」と西表島を訪れる人には、シーサータイプや銅像、石像など、バラエティ豊かなヤマネコ像めぐりをおすすめしたい。また、「西表野生生物保護センター」では2体の剥製が展示されているほか、交通事故に遭って保護され、14年8ヶ月に渡って飼育された「よん」の映像を見ることもできる。
 さて、肝心の島猫だが…竹富町では2001年から施行されている「竹富町ねこ飼養条例」が2008年にヤマネコ保護を目的に全面改正され、飼い猫由来の伝染性疾患や生息域の競合をさけるために「西表島だけの特別ルール」が設けられている。ウィルス検査、ワクチン接種、マイクロチップ装着、(完全室内飼育できない場合の)避妊・去勢手術、町への登録という徹底管理をクリアした島猫の数は現在145頭(動物病院を通じて確認されている頭数)だそうだ。そのほとんどは室内飼いなので、西表島で島猫に出会える確率は、沖縄の離島の中でいちばん低いかも知れない。

 

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各離島への船が発着する石垣港には「竹富町ねこ飼養条例」のポスターが貼られている

 

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上原港周辺ではときどき外猫に出会う。飼い猫だが、あまり人慣れしていない

 

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こちらも上原の集落で出会った黒猫。西表島では外猫も希少種?かも知れない
 

 

*島猫映画『Nyaha!(ニャハ!)』上映情報は公式フェイスブックをご参照ください。

 公式フェイスブック→https://www.facebook.com/nyaha28/

 

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*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

写真家のプロフ用

仲程長治(なかほど ちょうじ)

1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。20代の頃より沖縄県内であらゆる分野のアートデザインを手がける。琉球・沖縄の文化誌『モモト』の撮影とアートディレクションを32号まで担当。2018年冬に沖縄本島北部で開催された「やんばるアートフェスティバル2018-2019」の総合ディレクター。現在、西表島の自然と暮らしをテーマにしたドキュメンタリー映画『Us 4 IRIOMOTE』を撮影中。

シマネコキネマ

シマネコキネマ

島猫映画『Nyaha!』(ニャハ!)(撮影・編集・監督/仲程長治、音楽/宮沢和史、脚本原案/仲村清司)の制作プロダクション。

沖縄の猫メディアの面々と共に、沖縄の島猫の地位向上を目指す「島猫力向上委員会」を発足、「ニャハ市長選」などを企画・開催している。

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著・仲村清司 写真・仲程長治

     

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