旬の地魚を味わう全国漁港めぐり

旬の地魚を味わう全国漁港めぐり

#10

【4月の旬魚】土佐「初鰹」・讃岐「鰆」

「本当に旨い魚を現地でいただく!」をテーマにお届けする「全国漁港めぐり」。
今回は四国の春の旬魚、土佐の「初鰹」、讃岐の「鰆」をお届けします。

katsuo&sawara
土佐:カツオのたたき               讃岐:サワラの味噌漬け


KOCHI
――NAKATOSA
「土佐のカツオ」【高知県中土佐町】
旬:3~5月

DSCF5014

 暖海性のカツオは春になるとイワシなどのエサを求め、黒潮に乗って太平洋沿岸を北上する。2月頃に九州沖、3月頃に四国沖、4月頃には伊豆や房総沖に到達する。東京はちょうど新緑の頃で、江戸中期の俳人山口素堂は「目に青葉山ほととぎす初鰹」と詠み、カツオに季節を感じた当時の人々の気持ちを表した。
 「勝男」の当て字もあるようにタイ同様、縁起物の魚でもある。江戸時代には、春出始める初ガツオが高値で競られ、今の値段で1尾数万円の値が付いたことも。庶民にはなかなか手に入らない、高値ならぬ高嶺の花だったようだ。新緑の頃、まばゆい光の中にキラキラ輝く銀色の魚はまさに人々の憧れの的であったろう。
 今では気軽に初ガツオを楽しめるようになった。食べ方もいろいろだが、人気は「たたき」。皮付きのまま身をさっと炙ることで、香ばしい香りとともに旨味を中に閉じ込めた土佐発祥の料理である。
 足の早いカツオには理に適った調理法といえ、皮と身の間にいる虫を焼き殺す効果もある。スライスにし、ネギやシソやタマネギ、ニンニクやショウガなどをかけ、土佐酢などでいただく。この薬味野菜と一緒に生魚を食べるというのは今でこそ一般的だが、カツオのたたきが元祖ともいえるだろう。最近では塩たたきも人気。


 

黒潮に乗ってやってくる
高知の春を彩る銀色の魚

_-カツオのたたき02

KATSUO

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

スズキ目サバ科カツオ属の魚。マグロの仲間で、熱帯・温帯海域に広く生息する。回遊性の魚で、日本近海では春、太平洋岸を北上し、8月頃に三陸沖に到達。9月頃にUターンし南下する。いわゆる「戻りガツオ」だが、さっぱりした初ガツオと脂の乗った戻りガツオと季節ごとに違う味が楽しめる。
大きいもので全長1mほどだが大体が50cmほど。漁法は大きく分けて、網で獲るものと竿で釣る2種類。竿釣りは土佐の一本釣りが有名。これは、カツオのなぶら(魚群)を発見したら活餌(イワシ)を撒き、散水ポンプで水を撒き、イワシの群れと勘違いしたカツオを一匹一匹釣り上げるという漁法。カツオは目がよく、疑似餌が付いた針に喰い付くが、頭上で跳ね上げたカツオを針から外して獲る「跳ね釣り」のコツを覚えるには2、3年かかるそうだ。

たたき、刺身、カツオ飯…。
中土佐町「かつお祭」

5月第3日曜日に開催予定!!

taisyomachi_top


久礼大正町市場
全国一のカツオ消費地が高知県だ。一人あたりの消費量は全国平均の5倍以上。県の魚にも指定されている。カツオはきれいな水を好み、東京湾などには入り込まない。高知は土佐湾沖すぐのところを黒潮が流れるため、釣ったその日にいただける。
高知では春告魚で、毎年5月の第3日曜日にはカツオを楽しむイベントも開催されている。中土佐町で開かれる「かつお祭」(10:00~15:00、雨天決行)だ。1万人以上が訪れる人気イベントで、たたきや刺身、カツオ飯など、いろいろなカツオ料理が楽しめる。昨年は約2トンのカツオが用意されたそうだ。
また中土佐町では、カツオだけでなく新鮮な魚介類や青果類を売る「久礼大正町市場」も名物である。漁港に近い、レトロな雰囲気のアーケード商店街で、露店も並び、その日獲れた魚を漁師の奥さんたちが売っている。

住所:高知県高岡郡中土佐町久礼大正町
営業:昼前~夕方(正月の3日間以外無休)
http://www.town.nakatosa.lg.jp/life/detail.php?hdnKey=168#k01

 

 

写真提供:高知県

 

KAGAWA
――SANUKI
讃岐のサワラ【香川県讃岐地方】
旬:4~6月

 

port00_ct01_hd

 

サワラ刺し身_520
 同じ四国でも、高知に春を告げる魚がカツオなら香川はサワラである。香川県民にとって昔から春を感じる魚であり、今もサワラ料理を振る舞う「春祝魚」(はるいお)という風習が残る。
 幼魚はサゴシ(サゴチ)やヤナギ、成長してサワラと呼ばれる出世魚。やわらかい白身ながらサバやサンマと同じ赤身の青魚だ。鮮度が落ちやすいため味噌漬けや粕漬けなどに加工することが多いが、香川では刺身でも食す。「タイの浜焼き、サワラの刺身」といわれるほどとても美味。新鮮なサワラが手に入る地元ならではだ。
 塩焼きや煮付け、照り焼きや酢の物、押し寿司など、香川ではさまざまな料理で味わう。江戸時代からサワラの卵巣でカラスミもつくり、今も伝統的な手法でつくり続けられている。
 県民が愛する魚ながら、漁獲量は1986年に1000トンを超えていたのが、1998年には20トンを切るまでなった。乱獲やエサのイワシやイカナゴが減ったことが原因とされるが、他県とも連携しながら休漁や種苗の放流など、サワラの資源管理に努めた結果、2014年には600トンを超えるまで回復した。
 香川ではサワラ漁の解禁は4月中旬から下旬。江戸時代から続く流し刺し網漁で獲る。通り道に網を沈め、泳ぐサワラをからめてつかまえるというもので、網にかかった痕の線が付くのが刺し網漁の印。

 

香川の人々に愛されてきた
伝統的な漁法で獲る春の魚
サワラH8内海043

SAWARA

15_sawara01

 

スズキ目サバ科の魚。鋭い歯とヒレを有するスマートな体型が特徴。魚ヘンに春と書いて「鰆」サワラと読むが、狭腹(さはら)が転訛したとされる。北海道以南の温帯、亜熱帯海域に広く生息。日本周辺では、主に日本海や黄海、東シナ海に分布するものと、西日本太平沿岸から瀬戸内海に分布する二つの系統がある。後者は春、産卵のため瀬戸内海に入り、5~6月に産卵を終えると外海へ移動し再び翌春、瀬戸内海に戻ってくる。稚魚は秋まで瀬戸内海で過ごし、その後外海へと移動する。肉食で小魚などを捕食。成長が早く、1年で60cm、2年で80cm、4年で1mに育つ。マダイやヒラメの2~3倍の早さというが、50cm前後の小さなものはサゴシやサゴチと呼ばれている。

3年に一度の開催年
瀬戸内国際芸術祭2016

poster

 

 

今年(2016)は3年に一度のトリエンナーレ「瀬戸内国際芸術祭」の開催年だ。2010年に始まった現代美術の国際的なイベントで、今年が3回目となる。
香川県が主体で、香川沖に浮かぶ直島や豊島、小豆島など12の島々と高松や対岸の岡山県宇野港が会場となる。会期は春(3/20~4/17)と夏(7/18~9/4)と秋(10/8~11/6)の3回。春は終了したが会期外でも見学可能な作品は多い。また、直島の地中美術館や豊島の豊島美術館などの常設施設は営業しているので、このGWに訪ねてみるのもいいだろう。
日本だけでなく世界を代表する現代美術家たちによる作品は、瀬戸内の自然や文化、歴史ともマッチし、とても刺激的。今年は瀬戸内の食もテーマで、グルメにも楽しみ。
http://setouchi-artfest.jp/


写真提供:香川県

thumbnail001


旬の地魚を味わう全国漁港めぐり
全国40港を収録したMOOKが絶賛発売中!

 

port00_ct01_hd

 

 

 

 


 

魚好きの定番!! 

「築地 ごちそう案内」2016年保存版・好評発売中!!

築地表紙

築地 ごちそう案内
2016保存版

本場の鮨が食べたい!
「TSUKIJIにきたよ!」 外国人インタビュー
市場人に愛される朝ごはん10選
魚河岸グルメの味覚 市場ごちそう案内
プロに愛される一品 市場お買い物案内
ここが築地の未来 場外ごちそう案内
最高の食材がそろう! 場外お買い物案内
築地にっぽん漁港市場
老舗の味探訪 ほか

WEBSITE「TSUKIJI GOCHISOU GUIDE」

 

port00_strada

旬の地魚を味わう全国漁港めぐり
バックナンバー

その他のTRAVEL

ページトップへ戻る

ページトップへ戻る