旬の地魚を味わう全国漁港めぐり

旬の地魚を味わう全国漁港めぐり

#06

【2月の旬魚】小田原「石鯛」・和歌山「伊勢海老」

「本当に旨い魚を現地でいただく!」をテーマにお届けする「全国漁港めぐり」。
第6回は相模湾の「イシダイ」と和歌山からエビの王様「伊勢エビ」をお届けします。


KANAGAWA
――ODAWARA
小田原のイシダイ【神奈川県 小田原市】
旬:1~3月
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相模湾の定置網で獲れた
旨みと脂が乗った高級魚

 

相模湾に臨む城下町の小田原は、室町時代から始まったという古い漁師町。水産加工業も盛んで、全国ブランドの小田原カマボコ産地としても有名だ。
相模湾の魚種は豊富で1000種を超える。冬の幸でおすすめがイシダイ。特に小田原沖はすぐ深くなっていて定置網漁が盛んなところだが、なかなか釣れないイシダイも大量に獲れるのだ。
全国的にも珍しいが、イシダイには定着型と移動型の二つのタイプがあり、冬になると西に向けて移動するものがまとまって入る。場所によって幻にも近い高級魚が小田原ではかなりの確率で手に入る。

 

ISHIDAI 

神奈川県_小田原のイシダイ

石鯛日本沿岸の岩礁に広く生息し、甲殻類や多毛類、棘皮動物を食する。ウニや貝なども噛み砕いて捕食するほど強力な歯を持つ。白地に7条の黒色横帯が入るシマ模様が特徴。老成するとシマは薄くなり全体に黒っぽくなる。成魚は50cmほど。中には70cmを越えるものも。身はコリコリと歯応えがよく上品な脂も乗る。鮮度のいいものは刺身に旨いが、その独特の旨味を余すことなく食するためには煮るのもいい。煮付けでも鍋でも、あるいはイタリアンのアクアパッツァや中華風蒸し煮もおいしい。

 

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 箱根山を源とする早川河口横につくられた小田原漁港は第3種漁港に指定され、近年では毎週土曜日に開催される朝市が大勢の客で賑わっている。相模湾は陸、沖、海底の三方から養分が運ばれる豊かな海で魚種が豊富。12月になると定置網にイシダイも入り始める。複雑な網の迷路に魚たちが奥まで迷い込む定置網漁は、午前2時頃から明け方近くまで操業し、早朝のセリにかけられる。そしてその日のうちに市場へと出荷されるので、鮮度はバツグンだ。
 小田原漁港の朝市は原則、毎週土曜日開催。9:00から売切れまで。鮮魚以外の乾物やカマボコ、野菜などの地の食材は7:00~10:00で販売している。魚は主に定置網で獲れた、その日の早朝に水揚げされた新鮮なもの。ただ荒天などで開催されない場合もあるので事前に問い合わせを。JR東海道本線「早川駅」から徒歩2分。駐車場あり。
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/municipality/industry/fisher/p14096.html

 

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相模湾はもっとも深いところが1000メートルを超えるという、駿河湾、富山湾に並ぶ深い湾だ。表層を暖かい黒潮が、その下をプランクトン豊富な親潮系の寒流が流れ、また、1級河川の相模川はじめ30を超える川が陸からの栄養をたっぷり運ぶため、養分豊かな豊饒の海となっている。
さらに箱根や丹沢山系の伏流水が海底から湧き出ている。海底の地形によって起こった湧昇流によって、深海からミネラルなどが上へと送られ豊富なプランクトンが発生する。それを目当てにたくさんの魚が集まるのだ。
黒潮に乗ってやって来るマグロやカツオなどのほかに、ジンベエザメやマッコウクジラなども回遊する多様な海なのだ。
もう一つの大きな特長が、沖合がすぐに深くなっていること。特に湾西部が顕著で、小田原沖は1キロほどのところで水深が100メートルにもなる。その手前、水深60メートル辺りに定置網が仕掛けられ、そのブイが陸からも望めるという近さ。相模湾は日本でも有数の定置網漁が盛んな場所である。


写真提供:JF(全漁連

WAKAYAMA
――WAKAYAMA
「和歌山の伊勢エビ」【和歌山県 紀南地方】

旬:12~2月
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和歌山県_和歌山県産 イセエビ

黒潮洗う和歌山のイセエビは
ぷりっと締まった歯応え自慢 

高級魚の王様といってもいいイセエビ。多々あるエビ類の中でも白くて甘いぷりっとした身は、刺身でも焼いても蒸しても揚げても旨い。食した瞬間に口の中いっぱい広がるおいしさは別格だ。
日本最大の紀伊半島西部に位置する和歌山県は、全国でも有数のイセエビ漁獲量を誇る。太平洋に突き出た半島南部を黒潮が流れ、約640キロある海岸線近くまで山並み迫る。そこは小さな湾が連なり、熊野をはじめとする森林からの養分が流れ込むリアス海岸となっている。
イセエビはその湾近くの岩礁地帯に生息する。全県で獲れるが主に紀南の宇久井、南部町、串本、 浦神、下田原が産地である。刺し網漁で獲り、9月中旬から翌4月末までがシーズンである。
昔から珍重されたイセエビは早くから養殖の研究がされてきたが、まだ商業的に合う技術が確立されておらず、現在流通するものはすべて天然。貴重な水産資源を守るため、和歌山県では120g以下、体長15cm以下は再放流し資源の保護管理に努めている。 

 

伊勢海老
 十脚目イセエビ科イセエビ属。宮城県以南、太平洋岸及び東シナ海に分布。水深20~30mの岩礁域に生息。夜間に活動し小型の甲殻類や貝類などを捕食。大きいものは体長35cmを越える。外骨格は硬く、頭胸甲は円筒形で大小の多くのトゲを持つ。産卵は夏期で腹部に抱卵。1ヶ月ほどでふ化し、フィロゾーマ幼生からプエルルス幼生、稚エビへと成長する。4年ほどで親エビになるが、フィロゾーマ幼生が日本沿岸で採集されることはほとんどなく、その生態は謎に包まれている。黒潮に乗って沖で成長し再び戻ってくるという説が有力だ。オスのほうが成長も早く大きい。漁獲される大物は大体オスで、2 番目の歩脚もオスのほうが長い。交接のときにメスをだき抱え込みやすいためである。また、5 番目の歩脚の先端の形状もオスとメスで違い、オスは他の歩脚同様トゲ状だが、メスは指のように曲がっている。腹に抱えた卵を掃除するのに都合がいいためである。


 

 

エルトゥールル号遭難事件

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紀伊半島最南端の岩礁地帯で1890年、オスマントルコ帝国のフリゲート船エルトゥールル号が遭難した。友好親善使節団一行が乗っていた船で、東京での滞在を終え帰国する途中だった。
同年9月15日に横浜港を出た同船は翌16日に串本町の大島樫野崎沖の船甲羅(ふなごうら)と呼ばれる、船乗りたちから恐れられている岩礁で遭難。折からの台風で航行の自由を失い岩礁に激突したが、機関の爆発を起こし587名が殉職、生存者はわずかに69名という大惨事になったのだ。
この遭難で当時の大島島民は不眠不休で生存者を救助し介護した。翌年2月には、遭難海域に臨む殉難者が埋葬された樫野崎の地に、地元有志によって「土国軍艦遭難之碑」が建立され、今もトルコ共和国との共催で5年ごとに慰霊の大祭を催している。
遭難から125周年に当たる昨年2015年に日本とトルコ合作で『海難1890』という映画も上映された。ちなみに69名の生存者はその後神戸で治療を受け、1890年10月に日本の軍艦に乗って帰国の途につき、翌年1月に無事イスタンブールに着いている。


写真提供:JF(全漁連)

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