料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

#04

京都・滋賀 余呉

 

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■選りすぐりの山海の恵みを愉しむ

今回の旅の目玉は、余呉の「徳山鮓」です。
余呉は琵琶湖の北端にあり、「徳山鮓」は余呉湖の畔にある宿泊施設つきの料理屋です。
四季折々の名物がありますが、12月1月2月は「熊鍋」が売り物で、それを目指して、食いしん坊のK夫妻と一緒に4人で出かけました。本当は、夕食をいただいて泊まりたかったのですが、あいにく部屋が満室で、京都に1泊して、翌朝出掛けることにしました。
前日の晩、食事に出掛けたのは「下鴨茶寮」。京都の老舗の料亭ながら、近頃、とみに評判の高い料理を若い明石料理長が作っています。入店前に下鴨神社にお参りし、近くにある「花折」で鯖寿しをお土産に買い求めました。そうそう、午後に時間があったので「今宮神社」の参道口にある「かざりや」で名物あぶり餅を食べました。白みそ風味の蜜が美味しい餅で、私のお気に入りです。
「下鴨茶寮」の献立でとりわけ素晴らしかったのが、「鯛のお造り」と「かぶら蒸し」。お造りは包丁が冴え、一度命を落とした鯛が食べると口の中で蘇るほどの美味しさでした。「かぶら蒸し」は厳しい寒さの京都の冬には欠かせない料理で、かぶらの香りと甘みが引き立った名品でした。
宿泊は京都駅からすぐの「ダイワロイネットホテル京都八条口」にしました。このホテルは全国にチェーン展開していてとても便利なうえ、新しいので清潔感に溢れ、とても機能的です。京都には「ダイワロイネットホテル」が2軒あるのですが、「京都八条口」は新幹線を使う場合も、朝早くJRで京都を発つ場合でもとても重宝します。
朝10時の新快速近江塩津行きに乗り、米原経由で出かけました。余呉まで約1時間半のローカルな旅です。この電車は、お店に予約を入れたときに薦められた電車で、余呉駅に着いたときには車で迎えに来てくださるとのことでした。余呉駅は駅員が一人しかいない、典型的な田舎の長閑な駅です。おかみさんが出迎えてくれ、車に乗り込み、今年は暖冬で雪がないことや余呉湖のワカサギ釣りの話などを聞きながら、あっという間に「徳山鮓」に到着しました。
料理はすっぽんの茶碗蒸しから始まり、鹿、猪、熊と森のジビエ尽くしです。その中にわかさぎのてんぷらと店名の「鮓」にある「さばの熟れずし」がテンポよく運ばれてきます。そうして、メインディッシュは「熊鍋」。見た目は脂身だらけですが、出汁の中に入れるとあっという間に脂が溶け出し、それを刻んだ葱と一緒に頬張ります。その熊の脂肪の美味さは筆舌に尽くしがたいほどで、香りは気品があって、舌触りはシルクを思わせます。刺しの入った霜降りの牛肉は、人間に媚びを売った肉ではなかろうかと思うほどです。この後の雑炊の透明感のある薄味の妙味は、洗練の極みと言ってよいかもしれません。
目の前に広がる穏やかな湖面を眺めながら思いました。「徳山鮓」の料理は「田舎っぽい」という形容からもっとも遠く離れたところにある料理ではなかろうと。


■京都 夕食「下鴨茶寮」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO

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老舗の風格を感じさせる門構え かぶら蒸し 鯛のお造り


■京都 おやつ「かざりや」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO

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きなこをまぶし備長炭であぶる 白みそ風味の蜜がおいしい  


■京都 お土産「花折」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO

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店内で食すのもいい 鱒寿し  

■宿泊 「ダイワロイネットホテル京都八条口」 

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ワイドデラックスツインルーム 京都モダンをイメージしたエントランス ゆったりしたロビーのソファーエリア

 

■滋賀県余呉 「徳山鮓」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO

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上質な和の風情が漂う暖簾 わかさぎの天ぷら さばの熟れずし
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Kご夫妻と妻の美穂子 野性味溢れる熊肉 日本最古のすし「鮒ずし」


 

【店舗情報】

■「徳山鮓」

住所/滋賀県長浜市余呉町川並1408

問い合わせ・要予約/0749-86-4045

営業時間/昼12:00~14:30 ¥8,000~(税別) 夜18:00~21:00 ¥12,000 ~(税別) 一泊二食 ¥22,000~(税別)

定休日/

http://www.zb.ztv.ne.jp/tokuyamazushi


■「下鴨茶寮」

住所/京都市左京区下鴨宮河町62
問い合わせ/075-701-5185
定休日/毎週木曜日
営業時間/昼11:00~15:00(LO.14:00)夜17:00~21:00(LO.20:00)

http://www.shimogamosaryo.co.jp

■「本家 根元 かざりや」

住所/京都市北区紫野今宮町96 今宮神社東門南側
問い合わせ/075-491-9402 
営業時間/10:00~17:00
定休日/毎週水曜日(祝日は営業し翌木曜休)
ホームぺージなし

■「ダイワロイネットホテル京都八条口」

住所/京都市南区東九条北烏丸町9-2
問い合わせ/075-693-0055

http://www.daiwaroynet.jp/kyoto-hachi

■「鯖街道 花折 下鴨店」

住所/京都市左京区下鴨宮崎町121
問い合わせ/075-712-5245
営業時間/9:00~18:00
定休日/1月1日

http://www.hanaore.co.jp

 

*この連載は毎月25日に更新です。次回もお楽しみに。

 

山本さん顔

山本益博(やまもと ますひろ)

1948年、東京・浅草生まれ。早稲田大学第ニ文学部卒業。卒論が『さよなら名人藝―桂文楽の世界』として出版され、評論家としてスタート。幾度も渡仏し三つ星レストランを食べ歩き、「おいしい物を食べるより、物をおいしく食べる」をモットーに、料理中心の評論活動に入る。82年、東京の飲食店格付けガイド(『東京味のグランプリ』『グルマン』)を上梓し、料理界に大きな影響を与えた。長年にわたる功績が認められ、2001年、フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。「至福のすし『すきやばし次郎の職人芸術』」「イチロー勝利への10ヶ条」など著作多数。 
オフィシャルブログ「マスヒロの食日記」http://msh.weblogs.jp/season/
2016年4月15日(金)山本益博さんがプロデュースする「第6回 COREDO落語会」(19:00開演)が、COREDO室町1(日本橋三井ホール)にて開催されます。出演は春風亭小朝・三遊亭円楽・立川ぜん馬・三遊亭王楽。

チラシ

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