旬の地魚を味わう全国漁港めぐり

旬の地魚を味わう全国漁港めぐり

#05

【2月の旬魚】鰊(北海道)、越前蟹(福井県)

「本当に旨い魚を現地でいただく!」をテーマにお届けする「全国漁港めぐり」。
第5回は北海道の「ニシン」と福井から冬の味覚「越前ガニ」をお届けします。


HOKKAIDO
――ISHIKARI-BAY
「石狩湾のニシン」【北海道 小樽市・石狩市】

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「ヤーレン、ソーラン♪」の唄で知られるソーラン節。ニシン漁の労働歌が原型の北海道民謡だ。「ニシン来たかとカモメにきけば~♪」というフレーズのように、ニシンの群来は漁民にとって待ち遠しいものだった。
アイヌの言葉で「漁獲が多い」「魚が群雄する」という意味の「ヌーシ」「ヌーシイ」が転化したといわれるニシン。かつては春(3~5月)になると産卵のため大挙して浜に押し寄せた。そのため春告魚とも呼ばれるが、1960年を前にその姿を見せなくなったのだ。 1897年には97万トンの漁獲が今では数千トンほど。それでも地元では食文化が残り、糠づけや身欠きニシンなどの乾物を使って三平汁にしたりする。小樽郊外の祝津では「おたる祝津にしん群来祭り」も開催され春の味を楽しんでいる。

NISHIN

北海道_石狩湾のニシン

ニシン科の魚。同じ科のマイワシに似ているが成魚は30cmを越える。北太平洋に産し、ベーリング海やオホーツク海、北海道沿岸などに広く分布。漁場は水深3~15mの岩礁地帯とその周辺で主に刺し網漁で獲る。産卵期は1月から6月頃で、5m未満の海藻などに産み付けられる。産卵場や産卵期などの違いでいくつかの系統に分けられ、北海道周辺では石狩湾系(産卵が1~5月)と北海道・サハリン系郡(3~6月)の二つが占める。産卵のため大量に浜に押し寄せてくるため、オスの精液で辺りが白濁することもある。

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ニシン御殿

昔、ニシンはあまりにも大量に獲れたため(明治期に北海道全漁獲高の60~70パーセントを占めた)食用より肥料に使われた。大きな釜で煮て魚油を絞ったあとのカス(ニシン粕、しめ粕)を綿栽培などに使うのだ。身は足が早いため、ぬか漬けや身欠きニシンなどに加工されたが、明治30年代以降にもう一つ、卵を塩漬けにするカズノコが加わった。日本で最初に塩カズノコが生産されたのが小樽(世界でも最古)である。正月に欠かせない高級食材がさらに莫大な富をもたらし、網元たちはこぞってニシン御殿と呼ばれる、豪華な番屋を建てた。

にしん御殿


鰊御殿とまり

小樽を中心とした石狩湾沿いの漁村にはいくつも「ニシン御殿」が建ち並び、その栄華を誇ったが、なかには今の価値で25億円というものも。積丹半島の西側の付け根にある「鰊御殿とまり」もその一つで、番屋と網元の住居が復元・移築され、当時の繁栄を偲ぶことができる。

【住所】北海道古宇郡泊村大字泊村59-1
【電話】0135-75-2849(鰊御殿とまり管理棟)、0135-75-2311(泊村教育委員会)★4月中旬~11月末の9:30~16:30、月曜休館(月曜が祝日の場合はその翌日) 料金:大人(高校生以上)300円、小人(小中学生)200円


写真提供:JF(全漁連

FUKUI
――ECHIZEN
「福井の越前ガニ」【福井県 越前町】

旬:11~3月
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身がぎっしりと詰まった
冬の日本海を代表するカニ 

カニといえばタラバや毛ガニ、ガザミなど、それぞれの味に好みも分かれるところだ。しかし、冬のカニといえばズワイではないだろうか。鍋の主役であり、冬の味覚の王者といわれている。ズワイガニは日本でもっとも獲れるカニだが、それもあって場所によって呼び名が変わる。なかでも鳥取の松葉ガニ、福井の越前がにがよく知られている。福井ではオスを越前がに、メスをセイコガニと呼ぶ。オスのほうが、産卵に養分をとられないため、体は大きく、旨みもたっぷりだ。
越前がにが数あるズワイの中でも評判なのは、越前沖が絶好の棲み家となっているから。エサが豊富で、また、漁場が近く鮮度も抜群。絶妙な旨みだけでなくミソも濃厚で、まさにカニの女王だ。

 

越前蟹(ズワイガニ)
 クモガニ科のカニ。日本海やオホーツク海、北太平洋沿岸の主に水深200~600mの砂泥底に生息。オスの甲幅の幅は最大14cmほどでメスは半分ほど。メスは産卵準備に入ると脱皮しなくなり、大きく成長しない。ズワイガニは成長が10年ほどと遅く、その間に10回ほど脱皮する。オスの脱皮は10月頃で、直後の殻が柔らかいものは水ガニと呼ばれ、また趣が違う。ちなみにカニは脚がとれてもトカゲの尻尾のように再生する。何回か脱皮する間に生えてくる。カニ類にはその他、ガザミを代表とするワタリガニ科や毛ガニのクリガニ科などがあり、脚は10本だが、8本のタラバガニは同じ甲殻類でもヤドカリの仲間。カニ類は腹部が腹側に折りたたまれているため短尾類と呼ばれ、エビは長尾類、短尾類でも長尾類でもないヤドカリは異尾類に分類されている。

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唯一、皇室に献上されているカニ

越前がには底びき網で獲るが、資源を守るため漁期(11月6日から3月20日まで、メスは12月31日まで)がしっかり決められている。甲羅の幅も9cm以下は獲らず、禁漁期間中は「越前網」と呼ばれる網を使ってカニを逃がせるような工夫もしている。水揚げした港名が印字されている黄色いタグを取り付け、徹底した品質管理を行っている。福井県民も自慢する、福井を代表する魚介で、県魚にも指定されているのだ。セイコガニは、背中(甲羅)に子を持つことから名付けられたが、オレンジ色の未成熟の卵はまた格別のおいしさである。
 

SPOT

越前がにミュージアム

「越前がにミュージアム」はカニの形を思わせるユニークなデザイン。愛称の「ビックラブ」は、ビックリとクラブとラブを掛けたもので、公募で選ばれた。カニや魚の生態を知る展示などがあり、レストランや海鮮市場も併設されている。ただし現在はリニューアル中。2016年7月にパワーアップして再開するとのことで、漁船シミュレーターで実際に漁船に乗った体験もできる予定だ。旧国道を挟んで海側には道の駅「越前」がある。季節には日本海の漁火を眺めながら入浴できる露天風呂や、いくつかの温水プールが楽しめるスパ施設などもある。また、カニはもちろん、それ以外の新鮮な魚介を買ったり食べたりできる店もあって越前の観光スポットになっている。

 


「越前がにミュージアム」
現在リニューアル中。2016年7月にパワーアップして再開するとのことで、漁船シミュレーターで実際に漁船に乗った体験もできる予定。

【住所】福井県丹生郡越前町厨71-324-1
【電話】0778-37-2626
http://www.echizen-kk.jp/


写真提供:JF(全漁連)

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