<時間旅行>戦前日本の日記

<時間旅行>戦前日本の日記

昭和3

:旧制第八高等学校文科乙の生徒。22歳の男性。#1928年3月19日

愛知県名古屋市在住。恋人がいるにも関わらず別の女性の事が好きになってしまった11月30日1月22日3月4日と同じ人物。
diary2016.3.19


ーーーー そうだ!後藤(?)先生の言う通りだ。僕の気持ちに之程ぴったり来る言葉はない。制止を憎む事で静寂の魅力を怖れる。不上則下不通則退不勝則負。まことに○○(?)が凡ての瞬間をして向上○○○○(?)たらしめよ。僕は上ろう進もう。そして勝とう。勝利それは真の意味の勝利だ。他人を押退けることによらず、堂々と戦って互いに進め合うのだ。この時、不断の努力を為す者を勝てる者と謂うのである。それはやがて人とも進める。 牧野奥様、朝一昇らず○○(?)先宜しい。栄屋で梨を買う。三松堂で参考大事記(?)を買う。今日はすず子さんの卒業式。朝、家へ寄ってそれから学校まで流れゆく清々した気持。 常盤で「海賊ピエトロ」「素晴らしき哉人生」(グリフィス)「殴られる彼奴」(シエストローム)を観る。みんないい「ピエトロ」の格闘の辺「人生」のストーリーと演出(「誰が俺達をこうさせたのか。戦争だ!」)中でも「殴られる彼奴」は好意の持てる写真。すっかり惹きつけられて、去年の暮れのあのとき日本館で観たのが「第7天国」でなく「彼奴」だったら?と思うと靖子の幸運?を祝したくなる。この対比は愉快だ。この映画を観た直後の今宵、僕はすず子の愛を得たのだ。笑うものは笑え。彼女が僕を愛しているのは純然たる事実。僕は遂に人から愛せられた。異性から。先生!○○(?)!誘惑!愛!肉欲!歓喜!人生カナ! ーーーー 


相変わらず理屈っぽい日記。でも、実のところ彼がしているのは映画を観てぶらぶらしたり、結局は恋人のすず子だの靖子だの遊んだりとそんなことばかり。いまの大学生とさほど変わらないようだ。


【昭和3年主な出来事】 1月 大相撲ラジオ実況放送開始  5月 済南事件。日本軍が山東省済南で国民政府軍と衝突  6月 張作霖爆殺事件  8月 パリ不戦条約調印  10月 蒋介石が国民政府首席となる  11月 昭和天皇の即位の礼

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