<時間旅行>戦前日本の日記

<時間旅行>戦前日本の日記

昭和1

年:福岡県に住む旧制中学校の5年生で卒業間近の16歳の少年。進路や恋、性について悩んでいるようだ。1939年2月25日

2月14日の日記と同じ人物。
diary2016.2.25


ーーーーー ●余熱 青春の余熱が未だ冷めきれなくて苦しくてたまらない。その證様には前項の記事もあるし、今日の変な○○(?)を受けたことを見ても分かるものである。 お昼過ぎに階下に降りて行って余りうすら寒いので洋服を重ねようと思ったが冬服は洗小屋に出しているので夏服を出して見た。その時俺の青春の余熱が体内に残っている事を切実(?)に感じた。アア。俺はその時溜息を吐いた。この服こそ俺が最も同性○○(?)の熱にうなされていた頃着たものである。夏の暑い日○○(?)で古賀と俺がバスケットボールで場所をきめて排球のようにして勝負をして古賀が俺の場所にうち込みをしてきて苦しんだが俺は彼を負かすことを怖れて彼に勝たせてばかり居たので彼は面白くなかったのか「もう止めよう。」と言って彼の上着を脱いで袖のないシャツ一枚になって汗を乾かしたこと俺も同じようにして彼を飽かず眺めていて彼の血色の善い輝くばかりのほゝに、一粒一粒浮き上がっている汗を心密かに礼賛したこと。彼にこのズボンの廣いスマート(?)なのを見せたくて彼の前でパフパフさせて歩いたこと。等々。それから俺が○(?)区駅停前に下級生の前を行き来するときこのズボンを彼等が喜んで笑ったこと……或いは嘲笑したのかも知れない……それからこの服から始めて名標をつけさせられたこと等々。
俺にはこんな過去を思い出して苦しくなって来てその悩みの根源である夏服を急いで奥深くしまいこんでしまった。それでもあの変な苦しさは変わらない。 俺は自分の苦しさは現在もあの時の彼等を多少なりとも愛していることから来るのだと思わざるを得なくなってしまった。
苦しい。未だ胸が痛いようだ彼等を見ればなお。 ーーーーー 


この少年は少なからず同性愛の気質があったようだ。寒い日に夏服をふと取り出したことによって、夏の暑い時期に感じた同級生への思慕を思い返している。


【昭和14年の出来事】 1月 相撲で69連勝を続けていた横綱双葉山が破れる  1月 チリで大地震(M8.3、死者約8万名)  3月 ドイツがボヘミア・モラヴィアの保護領化を宣言  4月 イタリアがアルバニア王国に侵攻  4月 ドイツがドイツ・ポーランド不可侵条約破棄を宣言  5月 満州とモンゴル国境で日本・ソビエト連邦軍が衝突(ノモンハン事件)  7月 日本で国民徴用令公布  8月 独ソ不可侵条約締結  9月 ナチス・ドイツ軍とスロバキア軍によるポーランド侵攻  11月 アル・カポネがアルカトラズ刑務所から釈放

<時間旅行>戦前日本の日記
バックナンバー

その他のJAPAN CULTURE

ページトップアンカー