延岡テロワール(7)料理とは理(ことわり)を料(はか)ること。「きたうら善漁。」

取材・高山コジロー

 

 

 延岡市の「きたうら善漁。」の料理人 吉田善兵衛さんを訪れる。

 「TABILISTA」連載の第5回で山本益博さんが訪れているお店だ。

 『カウンターで展開される料理は、食材に最大の敬意を払った「のべおかテロワール」の日本料理の醍醐味を満喫できるはずです』。(連載より抜粋)

 

 

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 漁師をされていた吉田さんが、延岡の地に『きたうら善漁。』を開いたのは2008年。店を始めたのは、「お店を持ちたい」とか、「料理人になりたい」とかではないという。

 

 「漁師だったので、採ってきた魚をみなさんと分かちあいたい。そのためには、料理が絶対必要になる。それを自分がやっている」。

 「魚を一番美味しく食べさせることができるのは漁師さん。好みとかおいしさを超えた、真のおいしさがそこにはある。延岡の魚の真のおいしさを一番知っているのは、自分で魚を採っている延岡の漁師さん。だから誰かが、料理しなくてはいけない。料理人は、その真のおいしさに、お客さんをご案内するのが本来やるべきこと」。

 

 吉田さんは、料理とは、理(ことわり)を料(はか)ることだという。

 真のおいしさとは、時代の流行とか、人の好みではなくなく、本当の「真のおいしさ」だ。

 良いとか悪いとか、好きとか嫌いとかがなくなり、絶対的な価値観が、明確になるのではないか。だから驚きや面白さもいらない。

 味はきっかけであり、人と人との縁、出会いを大事にしているという。

 

 「魚の仕入れは自分で漁に行くこともあるが、自分の価値観を理解してくれている漁師さんが市場に出す前、まさに泳いでいるときから、自分のために選別してくれている。真においしい延岡の魚は、延岡に来ないと食べられない」。

 

 料理とは、理(ことわり)を料(はか)ることの意を再び問う。

 「不自然なことはしない。必要なことを必要なだけやる。料理とは決まっている。創作することではなく伝えること。自然の恵みをみなさんと分かちあいたい」。

 

 時代や流行は関係ない。あくまでも料理を究極する吉田さんは、自分の中の世界観のなかで、延岡でも人が寄り付かないところ、何にもない世界で新たに店をかまえたいという構想もあるという。

 

 「料理人とはなにか。真の自然の恵みをみなさんと分かちあう。パフォーマンスではなく、必然的な料理。お客さんのためではなく、その素材を分かち合う。それは家でやっていたこと。だから本来あるべき価格帯 10,000円ぐらいでやりたい。そして一年に一度でもいい。延岡の人、日本全国の人、世界中の人が来てくれるような店にしたい」。

 

 お話しを伺いながら、吉田さんの料理が食べてみたくなった。残念ながら予約でいっぱいかなわなかった。その吉田さんが「東九州バスク化構想」のイベントに参加する。

 「延岡の魚がおいしく食べられるのは、東京ではなく延岡。舌先は一緒だけど、本当は違う、ということをイベントで知ってもらいたい」。

 吉田さんの料理とは、理(ことわり)を料(はか)ること。期待が膨らむ。

 

 

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日本料理 きたうら善漁。

 

http://zenryomaru.jp

住所/宮崎県延岡市本町1-3-14

問い合わせ/0982-31-0051

営業時間/18:00~22:00 (L.O. 21:30)※要予約 定休日/日曜日