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初のアート・ビエンナーレ開催&ハビターレ50周年 2020年夏、ヘルシンキに行くべき理由

 

取材・鈴木紗耶香

 

『かもめ食堂』や『ムーミン』でおなじみのフィンランド。2020年、首都ヘルシンキはアート&デザインイベントが花盛りです。フィンランド初のアートビエンナーレが6〜9月に開催され、9月には毎年恒例のインテリアフェア「ハビターレ」と、ヘルシンキデザインウィークが開催。北欧デザインと現代アートに興味がある方は、この期間にぜひヘルシンキを訪れてみてはいかがでしょうか。

 

ヘルシンキってどんなところ?

 

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ヘルシンキの中心部のデザインディストリクト ©️yOU(河崎夕子)

 

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フィンランドデザインの巨匠、アルヴァ・アールトらが立ち上げたインテリアブランド「アルテック」の本社兼ショールーム ©️yOU(河崎夕子)

 

 ヘルシンキは、バルト海東部のフィンランド湾に面したコンパクトな都市。日本からはおよそ10時間のフライトで行けるため、「日本から一番近いヨーロッパ」とも呼ばれます。

 目抜き通りのエスプラナーディ通りにはマリメッコやイッタラ、アルテック、ヴォッコなど、日本人にも人気のフィンランドデザインのお店が立ち並びます。

 街の中心部は「デザインディストリクト(デザイン地区)」と呼ばれ、デザイン、インテリア、ファッション、アンティークなどのクリエイティブなショップやギャラリーが200以上も密集。まさにデザイン好きの聖地と言える都市なのです。

 

軍施設があった離島で開催されるアートフェス

 

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Helsinki Biennial,Vallisaari Horizon/ヘルシンキビエンナーレの会場になるヴァッリサーリ島

 

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ヴァッリサーリ島内の朽ちかけた軍事施設 ©️Matti Pyykko

 

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長らく打ち捨てられた島は自然の宝庫に ©️Matti Pyykko

 

 ヘルシンキでは2020年6月12日〜9月27日、記念すべきフィンランド初のアートビエンナーレ「ヘルシンキ・ビエンナーレ2020」が開催されます。会場は、元軍事施設だったヘルシンキ市の離島ヴァッサーリ島および海辺。都市遺産と自然環境をそのまま生かして、35組の国際的な現代アーティストたちが、「サイトスペシフィック=この場のため」のアートを制作します。

 参加アーティストの筆頭は、フィンランド現代美術の重鎮、マリーア・ヴィルッカラさん。マーリアさんは、フィンランドの国民的デザイナーのタピオ・ヴィルッカラと、セラミックアーティストのルート・ブリュックを両親に持つ方。光と影、そして時間の経過を用いながら、「自分が目にするもの、目にしたくないもの」をテーマにした作品を制作しています。

 日本からは、廃材を用いて既存の公共建築のイメージを塗り替えるアートで知られる川俣正さん。川俣さんの作品は、たとえば薬物・アルコール依存者らと一緒に作り上げるなど、社会性が強く、制作過程も独特。ヘルシンキの離島を舞台にどんなプロジェクトを繰り広げるのか注目されます。現在、参加アーティストは、マーリアさんと川俣さんと、以下の12組が発表されています。春には参加アーティスト第2弾が発表される予定です。

Paweł Althamer、(ポーランド/1967年生)、BIOS リサーチユニット(フィンランド/2015年創設)、Alicja Kwade(ポーランド/1979年生)、Katharina Grosse(ドイツ、1961年生)、Laura Könönen(フィンランド/1980年生)、Gustafsson&Haapoja(フィンランド/2012年創設)、Tuomas A. Laitinen(フィンランド/1976年生)、Hanna Tuulikki(イギリス/1982年生)、Jaakko Niemelä(フィンランド/1959年生)、IC-98(フィンランド1998年創設)、Mario Rizzi(イタリア・ドイツ/1962年生)、Marja Kanervo(フィンランド/1958年生)

*ヘルシンキ・ビエンナーレ 公式HP→http://www.helsinkibiennial.fi/

 

50周年を迎えるインテリア・デザインフェア「ハビターレ」

 

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ハビターレ2019の会場 ©️yOU(河崎夕子)

 

 2020 年 9月9日から 13 日には、フィンランド最大のインテリア・デザインフェア「ハビターレ」も開催されます。期間中は、世界中からおよそ60,000人ものインテリアファンが訪れるフィンランドきってのビッグイベントです。13,000㎡にもなる広大な会場には400を超える家具、インテリア、テーブルウェア、ファブリックなどの企業が一堂に会し、各々センスを発揮したブースが立ち並びます。

 最新のトレンドを取り入れたインテリアを見てセンスを磨けるだけでなく、ショッピングも楽しめます。日本で発売されていないデザイングッズを手に入れるチャンスも。2019年は、表参道に日本初出展したファブリックブランド「ラプアン カンクリ」や、ムーミンマグなども手がけるガラスメーカー「ムールラ」、日本からは「ミナ・ペルホネン」が出展していました。とても1日では見切れない規模なので、じっくり見たい方は2日以上のスケジュールを組むのもいいでしょう。

 

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優しい色使いと肌触りが魅力の「ラプアン カンクリ」 ©️yOU(河崎夕子)

 

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繊細に木材をカーブさせた美しいランプシェードを扱うセクトデザイン ©️yOU(河崎夕子)

 

 50周年を迎える2020年のテーマは「Art of living!」。「いまこの瞬間を大事にし、未来を明るく見据え、実践できる私たちであるように」との願いが込められているそうです。

 会場の展示設計を手がけるのは、最も知られるコンテンポラリー・フィンランドデザインのデザイナー、イルッカ・スッパネン氏。インターナショナル・フレンドにはイギリス人建築家で、キュレーター、編集者、研究者などマルチな才能で活躍する持つジョセフ・グリマ氏を招聘。50周年を記念して、ハビターレの歴史とデザインの変遷を振り返る展示も企画されています。

 

*ハビターレ 公式HP→http://www.habitare.fi

 

オリンピックスタジアムをメイン会場にしたヘルシンキデザインウィーク

 

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ヘルシンキデザインウィーク2019のメイン会場にて。2019年のメイン会場にはエロッタヤパレスと呼ばれる1891年に完成されたネオルネッサンス様式の古建築が使用された  ©️yOU(河崎夕子)

 

 2020年9月3日〜13日は、「ヘルシンキデザインウィーク」も開催されます。これは、毎年9月にヘルシンキで開かれる北欧最大級のデザインイベントで、デザインディストリクトを中心におよそ250ものイベントが繰り広げられます。

 今年のメイン会場は、1952年のヘルシンキオリンピックの会場となった、ヘルシンキ・オリンピックスタジアム。このスタジアムは本来、第二次世界大戦のために中止になった1940年ヘルシンキオリンピックのメインスタジアムとして建設されたもの。実はこのオリンピックは、日本が日中戦争のために開催権を返上したため、代替地としてヘルシンキで開催が決まったという経緯があります。奇しくも今年は東京オリンピックイヤーということで、不思議な歴史の縁を感じますね。

 

*ヘルシンキデザインウィーク 公式HP→https://www.helsinkidesignweek.com/

 

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メイン会場にて。自然光に生えるカラフルな帽子たち ©️yOU(河崎夕子)

 

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メイン会場にて。自然な手染めの生地を使ったファッション ©️yOU(河崎夕子)

 

これからは旅もサスティナブルに

 

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ヘルシンキ市内ではローカーボンな移動手段としてキックボードが流行っている ©️yOU(河崎夕子)

 

 フィンランドは環境先進国として知られていますが、ヘルシンキ市は2030年までに二酸化炭素60%削減、2035年にはカーボンニュートラルを目指すという戦略を掲げています。今年のヘルシンキ・ビエンナーレ2020でも、VR技術を駆使して、その場に来なくてもイベントを体験できるようなシステムを準備中。その分、人の移動により排出されるCO2が減らせるというわけです! また、昨年スタートした「Think Sustainably https://www.myhelsinki.fi/en/think-sustainably

」というサイトでは、よりサスティナブルにヘルシンキの旅を楽しめるような、レストランやショップや宿、イベントなどを紹介しています。

 今年の夏は、アートやデザインを通して暮らしを楽しみながら、自然に寄り添うフィンランドの人々の生き方に触れてみませんか。