「食材の王国」ふじのくに・静岡が誇る食材の生産現場をレポート!  

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静岡・富士山麓は上質な食材の宝庫!
 
 

 今や日本全国の美味しい食品が、SNSやふるさと納税の返礼品などを通じても広く知られるようになってきました。とはいえまだまだ、地元や業界で人気食材でも、全国的にはそこまで知られていない食の逸品は数多く存在しています。
  そんな中、「食材の王国」と言われる静岡の富士山麓にある食材の生産現場を見学するメディアツアーが開催されるとのこと。温暖で自然環境に恵まれながらもほどよく都会の静岡県。無意識のうちに美味しい食品を食べてきているため、静岡に住む人たちに認められた食品はヒット間違いないということで、全国区の企業が新商品をリリースするときは最初に静岡で試験的に発売することも多いとか。今回のツアーは、静岡では評価されつつも、全国的にはブレイク前夜の食の逸品の生産現場を見られる貴重な機会。冬のような寒い秋の早朝、私たち取材陣は新幹線こだまに乗り込んで、「新富士」を目指した。

 

 

 

 

信念と情熱で育まれる業界注目の「ハイブリッド牛」

■『富士山 岡村牧場』 

 

 

 

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 新幹線駅「新富士」下車後、一行を乗せたバスは、富士山麓の朝霧高原で乳牛と和牛を組み合わせた牛のハイブリッド生産のトップランナー「岡村牧場」へ。発育に優れた乳牛と肉質に優れた和牛を組み合わせる雑種強勢により、元気で良質の牛を生産できるという。
「特別なことはしていない。牛にとってストレスがないようなことを毎日コツコツとやって、牛が笑っていられる牧場を目指しているんです」
  牧場のオーナー岡村さんは、東京農大を卒業後、平成2年に家族でこの地に移住。
  現在、巷では赤身肉ブームだが、以前から試行錯誤しながらも、牛たちを牧場でのびのびとストレスなく育てていたため、岡村牧場で育った「富士山 岡村牛」は、ほんのりサシの入った上質な赤身肉として評判だ。
  以前、テレビ取材で岡村牧場を訪れた「レストラン キハチ」の喜八シェフも岡村牛を気に入り、レストランで扱っているという。
「いろんなブランド牛を食べてきた人が、うちの牛をセレクトしてくれるんです」一見、強面の岡村さんの顔がゆるんだ。
 

 

 

 

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晴れた日には大きな富士山が見える「富士山 岡村牧場」のオーナー・岡村千代次さん。

 

 

 

 牧場にある直売店では、岡村牛の数々の希少な部位の肉が販売されていた。モモ・ロース・ヒレ以外にもいろいろある。普段見かけることのない夢のようなラインナップに大興奮! 焼肉にして全部一通り食べてみたい! 
  岡村さんによると、牛一頭からはヒレだけでなくいろんな部位があり、手塩にかけた牛だから、「ヒレだけ」などのパーツ販売でなく、まとめて購入してくれる首都圏の業者を開拓中とか。岡村牛をもっと身近に、しかもたくさんの部位が食べられるようになるのは大歓迎だ。

 


 

IMG_7709直売店では岡村牛がパーツで販売されている。滅多にないので大人買いしてみたくなる!

 

 

 

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ハイブリッド牛を近くで見てみる。栗色がかった黒い毛並みが良質な肉を連想させる。

 

 

 繁殖力と肉質の良さの両方に優れた岡村さんのハイブリッド牛は、各方面からも注目されている。繁殖力もいいので、日本中にある荒れた耕作放置地での活用なども考案中だという。この日も、岡村さんは西日本で行われる学会に出席するため、午後は新幹線に乗って出かける予定だった。

  岡村さんの信念と情熱で育まれた美味しいハイブリッド牛の今後が楽しみだ。
 

 

 

 

富士山麓の豊富な湧水で育つ特大サイズの鱒

■『富士養鱒場』

 


 

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 牧場を後にして、次に案内されたのは雑木林の間にあるせせらぎの脇にある研究所?「富士養鱒場」。
そこでまずスタッフの方に見せられたのは、長さ20センチほどの鱒。よくある一匹丸ごと棒を挿して塩焼きにされているあのイメージのまんまの鱒。しかし、その次に見せられたのは…巨大すぎる鱒!? 
  驚く我々をよそに、説明が続けられる。
「この鱒は『紅富士』と言いまして、通常よりも長い2~3年の育成期間を経て、特大サイズになるまで育てるんです。じっくり時間をかけて育てているので、身の質もきめ細かくて適度な脂ののりもあり、旨味が凝縮されてるんですよ」

 
 

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通常の鱒と特大サイズの紅富士。通常の鱒が紅富士のエサに見えてくる!?

 

 

 

 この「富士養殖鱒」は養殖鱒の生産量で日本一という。そして実はこの地は、とても鱒の養殖に適した土地とのこと。
   その最大の理由は水。富士山麓に降る雨や雪は年間20億トンにも及ぶと言われ、ここには養殖に必要な、長い年月をかけ多くのミネラルを含んだ良質の冷たい湧水が豊富にあるのだ。また、養殖のため、寄生虫の心配がなく、生でも安心して食べられるという。
 

 

 

 

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試食で出された紅富士の刺身。味が濃くて食べごたえあり。酒がほしくなる…。

 

 

 

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ホースから豪快に出てくる鱒のエサやり現場。スタッフもポリポリ食べることもあるという安心素材のドライフード。
 

 

 

 紅富士は、「ふじのくに」内で様々な賞を受賞し、静岡の代表的な食品のひとつとなっている。業界での知名度もあるが、食材にこだわりを持つ料理人や鮮魚店を通じて、首都圏を中心にもっともっと販路も広げていきたいとのこと。なにしろ、世界で一番人気の魚はサーモン(&鱒)なのだから。目指せ、世界へ!
 

 

 

 

家族3世代に愛される乳製品が勢ぞろい
■『いでぼく』


 

 

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 次は、こだわりの乳製品で地元では老若男女から人気、受賞歴も多々ある「いでぼく」へ。

 買ったばかりの商品を食べられるオープンテラスがある直営店の横には、牛舎が。ホルスタイン種、ジャージー種、ブラウンスイス種の牛たちが、出迎えてくれた。
 なんて愛らしい顔をした牛たちなんだろう…!

 

 

 

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お客さんからも丸見えの手入れの行き届いた衛生的な牛舎で飼われている牛たち。写真中央にいるのはジャージー種。

 

 

「おれが牛の周りをウロチョロしている人生じゃないと不安で」と言う代表の井出さん。今でも泊まりで出かけるのは年に1、2回。とにかく牛舎から離れられないという。現在、会社を引き継いでいる息子さん含め、家族4人で写った写真はないとか…。まさにこの可愛い牛たちに人生を捧げたのだ。

「とにかく飲んでみれば、わかってもらえる」
差し出されたいでぼく牛乳(ジャージー種)。

 

 

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牛乳のデリケートな良さを生かすため、紙パックは使用しない方針だとか。

 

 

 

 生の牛乳は苦手だったけれど、これは濃くて美味しい! フレッシュさも実感できた。給食に出てくる牛乳がこれだったなら、牛乳嫌いな人も減るのに…なんて思ったり。この牛乳が原料の乳製品が美味しくないわけがない。ということで、次はしぼりたてのフレッシュミルクとオリジナルの生乳を使用した、評判のジェラートを頂く。これが、爽やかな甘さでかなり美味しい! やっぱり原料が良質だと、違うんですね。
 他にもいでぼくでは、自家製のチーズ作りにも力を入れているとか。また、1日8食限定の「まかないパン」なども人気。なんせ素材がいいので、どれもインパクトのある美味しさで、次々とヒット商品が生まれているのだ。

 

 

 

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陽当たりのいいテラスで食べるいでぼくのミルクジェラート。

 

 

 

 親子孫の3世代に渡り、地元で愛されてきたいでぼく。将来的には地元・富士宮にもっと人を呼べるような体験型牧場リゾートを造れたらと、井出さん。あの可愛い牛たちと牧場で戯れながら、いでぼくの商品を食べて1日過ごしたら、心身ともに癒される牧場リゾートになりそう。ぜひ実現させてほしい。
 

 

 

 

 

名門レストランがこぞって注文するマッシュルーム

■『長谷川農産』
 

 

 

 

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 次は、本場オランダの栽培技術を活かしたマッシュルームファーム「長谷川農産」へ。
私たちが案内されたのは、一見、工場のような建物内。普段はスタッフ以外入ることのできないその「農園」へ足を踏み入れた。初めて見る独特の近未来のような空間。これが長谷川式有機農法のマッシュルーム畑だった。
「農園」から場所を移った私たちの前に、大小の生のマッシュルームが差し出された。こんな大きなマッシュルーム、日本ではなかなか見かけない!
もとはキャベツ農家だった長谷川さん。90年代半ばに訪れたオランダで食べたマッシュルームの美味しさに衝撃を受けたのが、マッシュルーム作りの始まりだという。

 

 


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日本では珍しい直径9cm前後のブラウン種「ポットベラ」とホワイトマッシュルーム。

 

 

 

 「それまで日本にあるマッシュルームといえば、粒が小さい缶づめのものが主流で、美味しくなかった。でも、ヨーロッパでは生食が人気。ぜひマッシュルーム栽培の先進国オランダの技術者に日本へ来てもらい、本物のマッシュルームを日本で広めていきたいと思ったのです」
 オランダからの技術者には11年間滞在してもらい、ようやく長谷川さんの納得いくマッシュルームが完成した。しかしまだまだマッシュルームは日本人にとって身近な食材でないため、長谷川さんが作ったマッシュルームは、「育ちすぎ?」、「プロ向きだ」と言われ、地元では敬遠されがちだったという。そこで長谷川さんは、思い立つ。
「だったら、東京のレストランを攻めていく!」
 静岡から東京の有名レストランを巡り、飛び込みでマッシュルームを売り込むことにしたのだ。
 そして最高級フレンチレストラン「シェ・松尾」に行くと、なんとその場で長谷川さんのマッシュルームを扱ってくれることを快諾してくれたという。その後も、長谷川さんはレストランへ飛び込みを続けていく。
 富士山の伏流水で育ったマッシュルームは、ほのかに甘みと旨味があり、また歯ごたえのある肉質で、他を寄せつけないクオリティだ。今では、食材選びに人一倍厳しい多くの有名レストランのシェフから「マッシュルームは長谷川のもので」と指名買いされ続けている。
 

 

 

 

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間引きをしながら育てていく長谷川のマッシュルームは、無農薬・無着色。

 

 

 

 現在、長谷川のマッシュルームは、レストランだけでなく、安全かつこだわりの食材が揃う宅配の「らでぃっしゅぼーや」や「生協」での取り扱いも。また、ホームページで購入できるマッシュルームのギフトセットも洒落ていておすすめだ。
 マッシュルームは、ビタミンB1、B2、食物繊維、タンパク質を含む健康食品。健康ブームの日本で、まだまだ需要が広がる可能性はあるはずだ。でも、長谷川のマッシュルームを一度食べたなら、形と味の存在感に他との違いを感じざるを得ない。
 

 

 

 

 

富士山麓の食材を一番いいかたちで堪能できるレストラン

■『レストランMitsu(ミツ) 

 

 富士山麓には本当にいい素材があるんだなあと、見てきたところで実食へ!
案内されたのは、富士山麓の食材の良さを生かした美味しい料理が食べられると評判の「Restaurant Mitsu」へ。

 

 

 

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 フランスでの修行や大使公邸の料理人としての経歴を持つオーナーシェフの石川さんが手掛けると、今まで見てきた素材が、絵画のようなドラマチックで美しい料理に!

 

 

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 前菜は、富士山麓の有機野菜や、豚肉のハム、燻製、ペーストにしたものなどを一皿に。
それぞれ丁寧に料理され、滋味深い味わいです。

 

 

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 次は、長谷川農産マッシュルームといでぼくのミルクを使ったポタージュ。
品質に絶対の自信を持つ長谷川のマッシュルーム。歯ごたえから香り、フレッシュな味わいは生で食べてこそ、他との違いがわかるかも。さすがです。ジャンボマッシュルームのソテーも食べごたえがあります。
 

 

 

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 続いてあの特大鱒、紅富士のポワレ。
表面はカリッと香ばしく、中はあの鱒の旨みがたっぷり。鱒のポワレ、もっと食べたかったくらい。ポワレがこんなに美味しい料理法なんだとも改めて実感!

 

 

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 メインは岡村牛のもも肉の低温ロースト。低温で焼いているため、岡村牛のもつ赤身本来の美味しさを堪能!あの牧場でのびのび育った健康牛だから、フレッシュさも感じ、食べるほどに体が元気になっていくよう。

 

 

 

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 デザートは、朝霧高原のイチゴを使ったスイーツ。いでぼくのジャージーミルクと平飼い有精卵のバニラアイスクリーム。このアイスも極上な美味しさ!

 

 

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 最後は、国産紅茶の第一人者・村松二六氏が育てた静岡丸子紅茶のアッサムとダージリンを交配した紅茶とプチデザート。紅茶のふくよかな香りにも驚かされます!


 

 

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 食材の良さを生かしきった繊細な石川シェフの料理は、一皿一皿を五感で楽しみながら食べることができ、本当にドラマチックな食事の時間となりました。食材も幸せに違いない…!

 

 

 

 富士山パワーを実感。
「食材の王国」静岡で見てきて食したものたちは、それぞれみんな独自の魅力があり、新鮮な発見の連続でした。富士山の良質な湧水と豊かな自然の中で、毎日のように富士山を見ながらパワーをもらい作業する生産者たちのもとで作り出されていった生命力溢れた力強い食材たち。一度食べたらわかってしまうその味と魅力…。ふじのくにには、こんな食材がまだまだあるのかも。富士山麓の恵み、恐るべしです。

 もっと、食べたい…! 
後ろ髪を引かれるように、取材陣は新富士駅を後にしたのだった。

 

 

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■インフォメーション■

ふじのくに静岡農芸品メディアツアー参加企業。詳細は以下のホームページをご覧下さい

 

 

■「岡村牧場」

住所/〒418-0102 静岡県富士宮市人穴137−318
電話/0544-52-3668
https://m.facebook.com/tiyoji.okamura/?locale2=ja_

 

■「富士養鱒場」

住所/〒418-0108 静岡県富士宮市猪之頭579−2
電話/0544-52-0311
http://fish-exp.pref.shizuoka.jp/fuji/

 

■「いでぼく」

住所/〒418-0112 静岡県富士宮市北山4404−2
電話/0544-58-6186
http://www.ideboku.co.jp/

 

■「長谷川農産」

住所/〒417-0061 静岡県富士市伝法1320-9
電話/0545-51-4611
http://hasegawa-nosan.co.jp/
 

 

■「レストラン ミツ」

住所/〒418-0022 静岡県富士宮市小泉2343-102
電話/0544-22-4439
http://www.restaurant-mitsu.com/